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86日目 酒田~温海

20070701214212
30日。深夜3時にガストの店員が全てのテーブルのメニューを片付け始めた。3時閉店か、と思い店を出たが、店の外にあった看板を確認したら、4時閉店であった。
外はまだ暗い。とりあえず、近くのコンビニへ移動して夜明けを待つことに。3時半頃になると空がうっすらと白みはじめ、4時、自分は歩き始めた。
徹夜である。これはいけない。睡眠不足は大敵だ。しかし、今から寝たら昼に起きたとして、また日差しの強い日中を歩かねばならず、どうせなら昼まで歩いてから寝ようと決めた。昼までの目標地点は、湯野浜温泉に設定。温泉に浸かって休憩所で昼寝をしよう。我ながら名案、と頷いてリュックのベルトをキュッと締めた。
湯野浜温泉に着いたのは10時過ぎであった。ここは有名な温泉地らしく、付近一帯にはホテルや旅館が立ち並んでいる。その中から日帰り入浴が可能な施設を探す。これは案外難しい作業で、日帰り入浴をやっているホテルとやっていないホテルがあるのだが、地元の人に聞いても地元の人は近くのホテルで日帰り入浴などしないようで、「分からない」と言われることが多い。交番に聞きにいったら、「パトロール中です。緊急の場合は110番」なんてボードが置かれているだけであった。
えっと、ホテル海王、ちさごや?うーん、なんて探していたら、満光園というホテルを見つけた。満光園?!満光園とは、どう読むのだろう。危険な香りがする。結局、コンビニで聞いてみたら、自分のような人間のために日帰り入浴可能施設ガイドマップが置いてあり、助かった。やはり、コンビニはオアシスだ。
そのガイドマップの中から自分が選んだ温泉。入浴料がなんと90円である。これはこれで怪しいものだが、その安さに釣られて向かった。
建物の中に入ると番頭が一人、休憩所は見当たらない。券を買って、風呂の中へ。まず思ったのはシャワーがない。大きな浴槽が一つと、浴室の壁から蛇口が2つ、1m半ほどの間隔でニョキっと出ているだけであった。まず、浴槽に入る。
あつっ!あつい!!かなりの高温だ。江戸っ子が喜びそうである。我慢して体を沈めたが、毛穴がブアッと広がって1分も入っていられない。堪らず風呂から出て、体を洗おうと蛇口を前にして床に腰を下ろしたが、まさかな、と思いつつ蛇口を捻ってみると、つめてっ!つめたい!!まんま水道水である。
参った。目の前は冷水、振り返れば熱湯。正に前門の虎、後門の狼ってやつである。あぐらをかいたまま、蛇口の下に頭を突っ込んで、震えながら頭を洗う。体もその調子で洗い終え、風呂に入ると、縮まっていた毛穴がまたボンッと開く。毛穴ボンキュッボンである。昼寝どころか、ゆっくり入浴も出来ない。この旅史上、最速で風呂からあがった。
その後、どこか寝れるところ、ウァー、と睡眠ゾンビと化した自分が入っていったのは食堂である。飯を食って、小上がりで一睡させて貰おうと考えたのだ。ところが、この店の女将がなにやら急ぎの用事でもあるのか、やけに仕事を早く切り上げたそうな調子である。自分は自分で、その店が焼き鳥屋でもあったせいで、ビールと焼き鳥で一杯、いや何杯もやってしまった。食べ終って、うとうとし始めると、もう店を閉めるから、と追い出されたのだった。
酔っ払って睡眠不足。最悪である。とても歩ける状態でない。とにかく睡眠を、と思い「もう、どこでもいいや」と目の前の浜辺で寝ることにした。
夕方、寒さで目が覚めると、空が厚い雲に覆われている。おかしい、天気予報では雨のマークはなかったはずだが、今にも降り出しそうな勢いだ。自分は起き上がり、ゆっくりとタバコを吸ってから歩き始めた。

泣きながら歩け
泣きながら歩け
いつかそれが良かったと
思える日が必ず来るから
止まって泣くな
泣きながら歩け

これは自分がその時に考え、歩きながら口ずさんでいた詩である。酔いからくる喉の渇き、睡眠不足による疲弊、今日の目標地点までの30kmの道のり、雨が降りそうな空。本当に泣きが入りそうであった。
横を走っていくトラックがスピーカーから大音量で水前寺清子の「365歩のマーチ」を流していた。
♪ワンツッワンツッ休まないであーるーけぇー
うるさーい!うるさいうるさい!!余計なお世話だバカヤロー、と思ったが、確かに休んではいられない。自分は水前寺清子を口ずさみながら、笑って、そして歯を食いしばって歩いた。
深夜、目標の道の駅を目前にした海岸線で雨が降り始めた。自分は走った。歩道がない道路だったが、トラックの通りが激しい。ひかれるのも雨に打たれるのも嫌だったから走った。
その途中にバス停小屋を発見。ここで一時雨宿りしようと思ったのだが、雨は止まないし、そこが、まあ、A級のバス停小屋だったので、そこでそのまま寝ることにした。久しぶりのバス停で堕ちるように眠。

天候
曇り
気温
朝23℃ 昼26℃ 夜20℃
歩数
67732歩
累計2473988歩
出費
ガスト代(目玉焼きハンバーグ、スープセット、ドリンクバー)・・840円
風呂代・・90円
ラーメン・・580円
ジュース・・120円
タバコ×3・・900円
おにぎり×2・・200円
パン・・92円
昼食代(瓶ビール×2、焼き鳥×7)・・1730円
計4552円
累計340346円
食事
朝・・おにぎり×2
昼・・瓶ビール×2、焼き鳥(ぼんじり、ネギ間、つくね、皮×2、かしら、軟骨)×7
夕・・ラーメン
道中・・ジュース、水
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87日目 温海~村上

20070704145433
7月1日、10時半起床。前日の徹夜があってか、目を覚ましたのは10時半。遅すぎである。しかし、実に寝心地のいいベンチであった。バス停のベンチというのは今まで、小屋と一体になった木製のモノが多かったのだが、ここのベンチは後から備え付けた合皮のもので、自分にとってソファーベッドのような感覚。寝床が柔らかいというのはいい事だ。立つ鳥跡を濁さず、小屋内に落ちていたゴミを持ち帰ってと、うっ、くせえ、このゴミ腐ってやがる。厳重に袋を縛ってリュックにぶら下げ、出発した。
昨日の目標であった道の駅「あつみ」には、間もなく到着。ここで昼飯。売店でタコめしと、この辺りの名物らしい、玉こんにゃくを買って食べた。
後、新潟進入。
男鹿半島を周った辺りから段々と海水が濁りはじめて、この辺りまでくると、もう海底を覗くことが出来ない。緑色をした海面からすぐのところに、わずかに藻が揺れ動くのが見えるばかりである。
海岸沿いを歩いていると海の向こうに島が見えた。これは粟島という島で、この島には去年の夏に友達と遊びに来た。外周数十kmの小さな島で、夏の海水浴シーズンともなると観光客で賑わう。火の中にくべて熱した石を椀の中に落とし、魚と一緒にぐつぐつと煮る「わっぱ煮」という汁物料理が名物である。 海は穏やか。奥のほうで静かにたたえている海面は、浜に近づくにつれ若干の起伏を伴い、波となり、白く泡立っては砂に消えてゆく。産まれては消え、産まれては消えを繰り返す、その波の光景を眺めていた。時折、気が早い奴もいて、浜までたどり着かずに沖で消えてしまう波もある。 「バカだなあ。あんなに早く産まれたら、早く消えちゃうじゃないか」
と、くだらぬ事をバカにしては、その波間に浮かぶサーファーに視線をずらし、思い直して、歩くスピードを速めた。
実は自分には、明日までに行かなければいけない所がある。というのは、新潟市内にある豊栄という町なのだけれども、ここに親の実家があるのだ。この旅の通過点であるので、前々から立ち寄ろうと考えていたのだが、その約束の日が明日なのである。もちろん、自分はある程度の算段をつけて、そこまでのスケジュールを立てたのだが、いかんせん一昨日の雨である。半日分の移動を損なってしまい、結果、そのツケを昨日と今日で被ることになってしまった。この2日間の移動距離は100kmを越える。いや、明日その家に着くまで、酒田からの3日間で150km以上を歩かねばならない。「1日遅れる」と言えば融通がきかないわけでもないが、自分で「2日に行く」と連絡した手前、それも気が引けるし、26日の敦賀にも影響しかねない。だから自分は昨日、今日と少し焦りながら歩いていた。
夜、新潟の名勝地、笹川流れを通過。今日は昨日と打って変わり、すっきりとした夜空である。月明かりでくっきりと影が出来るほど今夜の月はこうこうとしている。夜中、ちょっと休憩していこうと立ち寄った公園で、カップルが抱き合ってキスをしていた。自分はそのあまりの気まずさに即刻その場を立ち去ったが、向こうも自分の存在に気づいたようで、そそくさと車に乗り込んで自分の脇を走り去っていった。
仕方なく、そこから2、300mほど行った自動販売機の前で地べたに座り休憩していたのだが、間の悪いことにその前をパトカーが通りかかった。一度は通り過ぎていったのだが、Uターンして戻ってきて(この時、自分は面倒臭いから逃げようと思ったのだが、逃げるほうが面倒臭いことになりそうなので、気持ちとしてはパトカーがUターンしてくるのを待っていた)、職務質問が始まった。 「もうちょっと向こうに公園があったのに」 と、お巡りさんが言うので 「あそこはカップルが抱き合っていて、とても気まずくて入れなかったんですよ」 と言うと、ハハハと笑っていた。 別れ際、「世の中には悪い人もいるから気をつけてな」とは、いつも聞くセリフであったが、お巡りさんに言われるとさすがに説得力がある。具体的に、悪い人というのはどんな人のことを指すんだろうか?
金目当てに自分を拉致監禁しようとする輩があるかも知れぬ。
発狂したジャンキーが深夜の地下道で自分に凶刃を向けるやも知れぬ。
そういったとこだろうか。ああっ!しまった!こんなことなら合気道でも習っとくんだった。いざとなった時、自分は喧嘩が苦手である。どう対処したらいいか、悩むなあ。インスピレーションか。
パトカーが去った後、自分も行こうかとリュックを見やると、リュックの脇をゴキブリが這っていた。 「そっか、ここまでくるとコイツもいるんだよなー」 北国にゴキブリはいない。自分はゴキブリが苦手である。これからは頻繁に付き合うことになるかもしれない。一抹の憂鬱。でも、なんだか今は妙な仲間意識みたいなものを感じる。なんだろ、これ。
今日の目標地点である村上に到着したのは深夜2時。コンビニ前で眠。
天候
曇りのち晴れ
気温
朝23℃ 昼26℃ 夜20℃
歩数
66382歩
累計2540370歩
出費
タコめし・・200円
玉こんにゃく・・100円
ジュース×4・・437円
サンドイッチ・・240円
カップラーメン・・150円
おにぎり・・105円
タバコ・・300円
缶ビール・・140円
計1672円
累計342018円
食事
昼・・タコめし、玉こんにゃく、ジュース
夕・・サンドイッチ、ジュース
夜・・カップラーメン、おにぎり、缶ビール
道中・・ジュース×2、水

88日目 村上~豊栄

20070704182157
2日、6時半起床。村上のセブンイレブンから出発して今日の夕方までに豊栄の家を目指す。歩き始めてすぐ、道端に自分のものと全く同じ地図帳が落っこちているのを見つけた。多分、旅人が落としていったのだろう。旅人にとって地図帳は命綱、とまでは言わないけど、大事なものだから困っただろう。まあ、無くしたらまた買えばいいんだけど、そういう出費ってのは自分の凡ミスだから口惜しい。これは恐らくみんなそうだろうけど、その無くし物に気づくのが遅ければ遅いほど、探す気力、取りに戻る気力もそがれる。先へ進んでしまえばしまうほど、よほど大事なものでないかぎり諦めて溜息をつくしかない。
途中のコンビニで小休止をしていたら、自分に話しかけてくるおっちゃんがあった。齢60といったところか。これから粟島へ遊びに行くのだと言う。
「娘と、娘のボーイフレンドの3人でさ」
と言いながら、後ろをチラと振り返るので、自分もそちらに目を向けると、そのボーイフレンドらしき男性がいた。金髪の外人さんである。サングラスをしている。
口髭と顎鬚を蓄えたワイルドな感じのおっちゃん、サングラスをした金髪のボーイフレンド、そして娘さんはノースリーブのポニーテール。すっげ、なんか理想的。と自分は思った。
新潟では今、高速道路を建造中であり、自分が歩く道ではダンプカーの通りが激しい。この高速道路、どこまで延びるのだろうか。村上までか。自分が小学生くらいの頃から、豊栄の家にくると工事をしていた記憶がある。
東京から新潟までの高速道路建造を指示したのは、時の総理大臣、田中角栄だと聞く。小学校卒で、新潟の豊臣秀吉と言われた首相は、その姿なき今も地元で絶大な人気を誇るという。いや、人気と言うよりは畏敬だろうか。自分は政治のことなどとんと疎いが、もしかしたら今でも田中角栄の息は政治界で生き続けているのかもしれない。そう思うほど、新潟という町は今も目覚しい発展を続けている。今年の4月には政令指定都市にもなったそうである。
午後になると、朝から曇りだった空が一層どんよりとし始め、ついには雨が降り始めてしまった。天気予報は外れである。梅雨というのに今までが幾分調子よかっただけ、そのツケがまわったのか、ここで雨とは参った。ここから豊栄の家に着くまでは、どんなに急いでもあと3時間はかかる。すでに手には仏前に供えるための菓子折りを持っていたし、あまり雨の中を歩きたくはない。コンビニで雨宿りしながら、しばし悩んだ。
タクシーを使おうか、しかしタクシーを使うとなると、そこで旅は一旦ストップになるから、翌日またここまで引き返してきてスタートしなければいけない。それは面倒だし、タクシー代だってここからじゃ3、4000円はかかるだろう。往復で考えて、それは痛い出費だ。だが、どうもタクシーを使う以外に手はないようである。だが、本当か?本当にそれ以外手はないのか?どうなんだ、里ちゃん。自分は外を見ながらじっと待った。コンビニをウロウロしながらギリギリまでじっと耐えた。

1時間。

1時間半。

2時間。

もう、これ以上は待てない。すでに時計は3時半を越え、これ以上待つと夕方までにたどり着けなくなる。
2時間半が経った。その時。光明か!雨が止んだのだ。いや、正確に言うとまだ完全に止んではいなかったが、ほんのわずかな霧雨のような状態である。このチャンスを逃したら、もう後はないだろう。勢い勇んで外へ出た。雨の中を出来る限りの最速で歩く。少し降りが強くなると、商店の軒下を貸してもらって雨宿りしつつ進む。カッパを持っているが、こんな時に着用しては自分の汗の発散が逃げ切らず、蒸れて、逆に体を濡らしてしまうので、そのままの恰好で歩いた。
豊栄の家に着いたのは19時近くである。仏前に手を合わせ、線香をあげてから、風呂、食事の世話をしてもらった。自分の祖父と祖母はすでに他界してしまい居ないのだが、ここには伯父さん夫婦が住んでいる。小さな頃から、夏休みになると遊びに来ていた馴染み深い家である。晩酌までつけてもらい、自分の顔を見に来てくれた近所の人も交えて談笑したのだが、ここ最近の疲れからか、自分がウトウトし始めてしまい、解散の後、用意してあった布団に案内され、麻酔が効いたように眠。
薄れゆく意識の中で、天井を見つめながら「布団ってこんなに気持ちよかったんだあ」ニヒヒヒッと笑って、そのまま沈。

天候
曇りのち雨
気温
朝21度 昼(忘) 夕(忘)
歩数
54460歩
累計2594830歩
出費
チョコ菓子・・50円
ジュース×3・・319円
アイス・・51円
おにぎりセット・・258円
杏仁豆腐・・105円
パン×2・・227円
クッキー詰め合わせ・・1050円
計2060円
累計344078円
食事
朝・・パン、ジュース
昼・・おにぎりセット、パン、杏仁豆腐、ジュース
夕・・ご馳走、ビール
道中・・チョコ菓子、アイス、ジュース、水

ダボ

服で威圧すな
車で威圧すな
態度で威圧すな
言葉で威圧すな

裸になってみい
一体お前に何が残る

服でなめるな
車でなめるな
態度でなめるな
言葉でなめるな

惨めはどっちだ
弱さをいじめて強がるな

なんでもっと自信もてんのじゃ
なんでもっと敬えんのじゃ
騙し騙されるな
もっと強くなれ
ダボ!

酒飲もう

20年前に拾った石がそのまま捨てられず
宝物になっちまったんだ
うちの机の上にまだ置いてある
それを見せてやるから おい
今日うちこいよ

酒飲もう 酒飲もう
酒飲もう 酒飲もう

知りたい価値なんてそんなもん
ゾウリムシのうんこだろ
知ったところでうんこはうんこに変わりないだろ
だから おい 今日今夜

酒飲もう 酒飲もう
酒飲もう 酒飲もう

白髪染めのマジシャン

町の噂に聞いてきたの
みんなが褒めるわ あなたのこと
しなやかな指
優しい言葉
そうそうこの香り
間違いない
あなた噂通り白髪染めのマジシャン

ちょっといいかしら
どんなリンスを使っているの
グリチルリチン酸
パラベン
駄目 さっぱり分からない
やっぱりあなたにお任せするわ
この町でよかった
あなた噂通り白髪染めのマジシャン

89日目 豊栄~新潟

20070704223452
3日、7時起床。昨夜は22時前には寝たが、まだ寝たりないような感じがする。朝食の準備をしてもらって、頂く。
外では、昨日からの雨がまだ続いている。止みそうで止まない雨。おばさんと一緒に、散歩がてら昨日一緒にお酒を飲んだ近所の親戚の家へ行って挨拶したり、TVを見るなどしていたが、完全に止みそうもないので見切りをつけて、10時半頃出発。昨日の近所の親戚の人や伯父さんに餞別までもらってしまった。おばさんが、「ちょっと重いかも知れんけど、すぐ食べちゃうでしょ。持ってったらいいよ」と、おにぎりやらキュウリ、枝豆、トマトと色々持たせてくれた。
「里詞君もいい人見つかるといいねえ」
「あー、そっか。僕ももうそんな歳なんですね」
「そうよ。旅ん中でいい人見つけんかもねえ」
「うーん、そうですね」
「そうなったら、それが縁ってもんよ。本当よ。縁ってそういうもんなんさね」
そう言われ、自分は左手の手の平を見つめた。この旅に出る前、地元の公園で遊び半分に占い師に手相を観てもらったことがある。その時、占い師が「あなたはとてもいい結婚をしますよ」と言っていたのを思い出したのだ。
結婚ねえ。
出会いかあ。
どうだろうか?今の自分には微塵もそんな気配はない。何しろ、今の自分はとても家庭を持てる状況ではない。しかし、それでも出会ってしまったのなら、やはりそれはおばさんの言うとおり、縁なのかもしれない。自分だって人の子だ。親があまり歳をとらぬうちに孫を見せてやりたい気持ちもあるし、でも、それを兄弟に任せて自分はフラフラと好きなことをしていたい欲望もある。酒飲み、博打打ち、ロックンロールで踊ってる足臭、おまけに居住定まらぬこの風来坊に果たして縁などやってくるだろうか。疑問である。
そうそう、この手相占いだが、なんで自分が手相を占ってもらおうと思ったかと言うと、先にも書いたように遊び半分であるが、もう半分はちゃんとした理由がある。ここ2、3年で死相が出ていないか確かめてもらったのだ。と言うのは、この旅の間に自分にそういった危機があれば手相に出ているはずである。それを占ってもらった。
結果。
「アハハ、そんなこと言う人初めてですよ。死相なんて全然出てませんよ。ほら、ここ、生命線を見てください。ここ3年はまず健康ですね」
いやー、よかった。これは安心した。そして自分は旅の荷物をまとめたのである。
豊栄の町でコインランドリーに入り、昨日洗濯してもらった服が乾ききっていなかったので乾燥機にかけた。阿賀野川にかかる長い橋を渡り、新潟市街へ。今日はとりあえずここまでが目標地点である。携帯電話でインターネットカフェを検索して、夕方入店。とりあえずブログを書こうと思ったのだが、何故か「カイジ」を全巻読んでしまった。気づけばもう朝である。ああ、また徹夜してしまった。今日は天気予報で雨だと言っていたし、一日ゆっくりしようと決め、小さく仕切られた個室のマットに横になって、ぼーっとしている。

天候
雨のち曇り
気温
朝22℃ 昼23℃ 夕(室内)25℃
歩数
28370歩
累計2623200歩
出費
コインランドリー・・100円
タバコ・・300円
インターネットカフェ代・・3300円
ゲーム代・・2600円
計6300円
累計350378円
食事
朝・・家庭食
昼~夜・・おにぎり、キュウリの浅漬け、ドリンクバー
道中・・水

90日目 新潟滞在

20070705101943
4日。というわけで、今日一日ずっとインターネットカフェにいる。外に出たのは、先ほどビールを買いに行こうと思って出た時だけである。このインターネットカフェではビールを販売していないのだ。
しかし、そのビールを売っている場所も近くになく、あえなく断念。昨日、今日とビールを飲んでいない。もう、ドリンクバーのコーラとメロンソーダは飲み飽きてしまった。
それにしても、こうインターネットカフェ、と言うか個室という閉塞した空間にいると時間の感覚を失う。さっき、友達から電話があり、何気なく腕時計を見た自分は驚愕した。まだ昼過ぎくらいかと思っていたら、もう21時を回っているではないか。いや、冗談ではない。友達なんか、仕事中にでも電話してきたのかと思ったら、もう寝るところらしい。あじゃぱーでごじゃるよ、誠にもって。
翻って、それでは今日一日何をしていたかというと、思いつくことがない。これである。原因はこれだ。つまり、いつもに比べて時間の密度が遥かに薄い、これが自分の時間の感覚を狂わせているのだ。ああああ!ってことはいかん!!このままでは感覚的に昼過ぎ、仮に14時としよう、この14時から21時までの7時間、自分は丸々時間密度を損したことになる。その代償は・・皺0.2mmってとこか。くあー!自分はみすみす皺0.2mmを無駄に体に刻んでしまったのである。およよ、およよよ、およよんぱっと。
しっかし、インターネットカフェってのは快適だね。若槻千夏がTVで「以前、漫画喫茶に住んでいた」と言っていたのを見たことがあるが、それがよく分かる。ここには「住める」。生活空間として成り立っているのだ。
自分のいる部屋というのは、マットタイプの部屋で、これは寝床になる。部屋にはパソコンがあり、これによって情報を得ることが出来るし、空調だって完璧。個室なのでプライベートも確保されているし、ドリンクは飲み放題で、これは店によってマチマチだが、おやつや軽食を出してくれる店もある。もちろん無料で。また、この店にはないが、シャワールームがある店もある。ということは、あと必要なものは衣食住の衣だけであって、これは自分で準備すればよろしい。漫画などは、そこら辺の本屋を凌駕する豊富さであるから、全く完璧な生活空間である。イケる、イケるぞ、これは。
だが、もちろん弊害もある。その一つが先に述べた無駄な時間の経過であって、これは否めない。3日もいたら、まず人間は堕落しそうな気がする。もう一つが、これは過激な内容になってしまうが、さっきからすぐ近くの部屋で色事に戯れているカップルがいてムカつく。個室といってもその仕切りは簡易なもので、音が筒抜けの店内でスリルを味わおうというのか、声を殺しているようだが、漏れる漏れる、いやらしい音が。文体で表現するなら
ニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャニチャ
という感じである。ね?いやな感じでしょ。もうヤメテ、早くイッて!と心の中で祈った。
ここでは、道中で聴けない音楽も堪能できる。ヘッドホンをして爆音でロックを聴く。やはりロックは、こうやって爆音で聴くに限る。激しい曲もバラードも。いいなあ、実にいい。
明日はどうしようか。今夜もここでこのまま寝そうである。どうしようかって、そりゃまあ明日の朝にはさすがにここを出るが、天気予報では明日も雨なのである。カッパの準備をしなければいけない。心の平静を保つべく、また漫画でも読むかなあと店内をウロウロしている。

天候

気温
室内のため26℃一定
歩数
なし
累計2623200歩
出費
タバコ×2・・600円
計600円
累計350978円
食事
昼・・トマト×3、おにぎり×5(店のサービス)
夕・・メンチカツカレー
随時・・ドリンクバー

91日目 新潟滞在2日目

20070706101222
5日、9時半起床。インターネットカフェで目を覚まし、外の様子を見に行くと雨は降っていないようである。ドリンクバーの所にサービスの食パンとジャムが置いてあったので、これを頂きつつ、パソコンで音楽を聴いていたら、店員がやって来た。
「お客様、あの、24時間が経過しましたので、一旦清算して頂きたいんですけど」
24時間か。昔、そんな曲があったなあ。
♪24時間戦えますか、ビジネスマーン、ビジネスマーン、ジャパニーズビジネスマーン
あれは栄養ドリンクのCMだったか。
「あと1時間位で出るんで、待ってもらえますか」と言うと、「分かりました」と言って下がっていった。
その後、11時に清算。歩き始めた。新潟の町はでかい。歩いていると、面白そうな店がたくさんある。
「そういえば、携帯灰皿を買わなければいけなかったんだ」
この前、買ったばかりの携帯灰皿だが、リュックにぶら下げて歩いていたら、いつの間にか壊れていたのだ。たまたま通りがかった道にロフトという百貨店があったので、ここで買うことにした。
店の一角に携帯灰皿のコーナーがあり、まず、その種類の多さに驚いた。JTのCMで携帯灰皿のデザインを増やすんだ、とやっていたが、ははあ、これはもうファッションである。およそ灰皿とは気づかぬようなデザインのものが展示されている。一つ例を挙げるなら、板チョコの形をした携帯灰皿。想像しにくいと思うが、手に取り確認してみると、確かに灰皿(というか灰袋)である。他にも、布製のものや革製のもの多数。思わず迷ってしまいそうだが、自分は珍しく迷わなかった。実用的で一番安価なものを選んだのである。
その後、出発が遅めということもあり、新潟の町を抜けるべく先を急いだのだが、全く、新潟の町はでかい。また、駅前からの国道は商店街になっていて、活気に溢れている。その中をテクテク歩いているうちに一軒のアウトドアショップが目に入った。モンベルという店である。
「兄貴が言ってたのはコレか」
秋田で兄貴と会った時に、兄貴はこのメーカーの寝袋を使っていた。それが自分の使っている寝袋よりコンパクトにまとまるので羨ましかったのだが、こんな所で出会うのも、これ、何かの縁である。どれ、折角だからちょっと覗いていこうという気になった。
あったあった、これだ、兄貴の使っていた寝袋は。値段を見ると、23800円。高っけ。あ、この水筒いいなあ。初めは、ちょっと覗くだけのつもりだったが、そうして店内をウロウロして、様々なアウトドアグッズを見ている内に、自分の頭にそれらの装備で旅をする自分の姿が思い浮かんできて、欲しくなった。自分の装備品なんて安物の寄せ集め。こういった専門店で品定めをしていたら欲しくなるのは当たり前である。アレとアレがあればいいのになぁ、と子供の瞳で商品を矯めつ眇めつしていたら、ついに意識は買う方へと傾いた。どうせ、九州に着いたら装備を見直すつもりだったのだ、ここで買ってしまおう、と。
しかし、資金の問題がある。資金がないから九州まで持ち越すつもりだったんじゃないか。だが、それに思い当たるお金があった。
ここでこそ、使うべきである。皆さんに貰った餞別。自分は餞別というお金は、ギャンブルや酒などに使う金とは別のものとして、封筒のまま、お守りのようにして持っていた。野暮なことを言うが、これが4万円。あった。これをありがたく使わせて頂いて、装備チェンジすることに。
餞別を下さった皆さん、ありがとうございました。このように使わせて頂きました。
25Lリュックと、ズボン、寝袋、ブランケット、水筒。一品一品、本当に必要かと自分に問いかけながら選んだ5品。全部で4万4千円。足りない分は自費で。要らなくなった荷物は、店側がサービスで家まで送ってくれるという。店員に「頑張ってくださいね」と見送られ、店を後に。だいぶ悩んでいたから、外はもう夕方であった。
今、自分を町で見かけても、リュックを背負った学生くらいにしか見えないだろう。それほど装備が軽くなった。まるで日帰りの支度である。結局、今日も新潟に残ってしまったが、明日からこの装備で移動は楽になる。
夜、焼き鳥屋で一杯ひっかけたが、歩いていないせいか、ビールがうまくない。新潟の外れまで移動してコンビニの近くで眠。屋根のかかった駐輪場、新品の寝袋に潜って寝た。

天候
曇り
気温
朝(室内)26℃ 昼23℃ 夜22℃
歩数
31159歩
累計2654359歩
出費
インターネットカフェ代・・6090円
タバコ×2・・600円
携帯灰皿・・525円
ジュース・・126円
飲み代・・2500円
ズボン・・7300円
リュック・・8400円
寝袋・・23800円
ブランケット・・2184円
水筒・・2365円
計53890円
累計404868円
食事
朝・・食パン、ドリンク
夕・・瓶ビール×2、焼き鳥×6、フライドポテト
道中・・ジュース、水

92日目 新潟~寺泊

20070707102147
6日、6時半起床。コンビニでのり弁と野菜ジュースを買って朝食。すぐ近くが女子高であり、朝から大勢の女子高生が目の前を通り過ぎていった。基本的に学校近くの宿泊はタブーである。何か揉め事が起こった時、不審者扱いされる可能性が高い。
後、出発。歩いていると畑にタバコがズラッと並んで栽培されているのを見かけた。タバコって、そのまま植物の名前なんだろうか。って気になって、今辞書で調べたら、植物の名前らしい。昔は観賞用、薬用の植物だったようだ。薬用はなんか効きそうな気もするが、観賞用ってのは腑に落ちない。だって、タバコの栽培を見たことがある人なら分かるだろうけど、あの植物は気持ち悪い。ジャングルに生えていそうである。
スイカ直売所の脇でコーラを買って休憩していたら、直売所の人がスイカをくれた。今日はいい天気だ。半袖、コーラ、そしてスイカ。ん~、夏だなぁと伸びをする。冷蔵庫から出してくれたスイカは甘くて瑞々しくって、おいしかった。
通りを歩いていると、よく交通安全標語の看板を見かける。よく見るのが、「お父さん 今日も無事故のお土産ありがとう」とか、「気をつけて メール一文字 事故一生」とか、「してますか 心と体にシートベルト」なんてなものなんだけれど、今日見かけた看板には「ダメ、ゼッタイ!暴走」とあった。
海沿いのこの道は結構とばす人が多いようで、これ以外にも暴走関連の看板は多い。「この国道で暴走による死者、4名!」とか、「暴走族、お断り!」とかね。で、そんな看板を頻繁に見ていて、自分はあることを思い出した。数年前、仕事で軽トラを運転していた時のことである。
運転中に、交差点の角に立てられた一枚の看板が視界に入ったので、そこに書かれていた文字を目で追った。何て書いてあったか。
「そのよそ見が危ない!」
と書かれていた。自分は全く納得出来なかった。目につくところに看板を立てておいて何を言うか、という憤り。あれは逆効果である。
夜、寺泊という町に着。目標地点はこの先の道の駅だったが、温泉を見かけたので入ることにした。脱衣所で体重を計ってみると、60kgを切っている。仁木を出る時の体重が66.5kgだったから、1ヶ月半で約7kgの減量である。元々、痩せ型体型である自分のどこにそんな肉がついて、消えたのだろうか。そしてこれからどこまで落ちるのだろう。自分ではそのつもりはないが、この旅そのものが画期的なダイエット方法なのかもしれない。
そりゃそうだよな。病的なものを除き、誰だって食って動かなけりゃ太るし、食わずに動いてりゃ痩せる。
風呂からあがって外にあったベンチに腰掛け、これからの旅の予定を組み直していたら、重大なことに気がついた。自分のこれからの食費を計算したら、1日あたりの使用限度が500円だったのである。自炊もせずに、出来るのかそんなことが。とりあえずコインランドリーは諦めて、今、下着をイスにひっかけて干している。雨は大丈夫そうだ。

天候
晴れ
気温
朝22℃ 昼28℃ 夜25℃
歩数
43640歩
累計2697999歩
出費
のり弁当・・290円
ジュース×4・・444円
風呂代・・600円
カップラーメン・・162円
おにぎり・・120円
タバコ・・300円
計1916円
累計406784円
食事
朝・・のり弁当、野菜ジュース
夕・・カップラーメン、おにぎり
道中・・ジュース×3、飴、スイカ、水

93日目 寺泊~柏崎

20070708132009
7日、8時半起床。近くに結婚式場があり、結婚式が行われているようである。
「ようこそ、私たちの結婚式へ 勇太〓葉子」
と書かれたバルーンがあがっていて、風に吹かれ揺れている。その横を通り過ぎる際、真っ白なドレスを着た新婦と、これまた真っ白なタキシードを着た新郎が準備をしているのが見えた。結婚式ってのは、見知らぬ人のものであっても、見ている人間を幸せな気分にさせてくれる。
「どんな悪人でも、人生で3度褒められる」と言う。一つは生まれた時、「よく生まれてきた」と。一つは死ぬ時、「あいつも思えば、いいところがあったよな」と。もう一つは結婚した時、「おめでとう、よくやった」と。結婚なんて紙一枚の契約だ、と斜に構える人もいるが、それが他人の幸せも呼ぶのであれば、それはとても有意義なことである。石原裕次郎は、結婚式に一番金をかけたそうだ。蓋し、粋であると思う。自分も自分の結婚式があるならば、三日三晩酒を絶やさず、来客をもてなし、海の幸山の幸は尽きることなく、皆が「もう、たくさん」と言った後に、「そうですか、それでは僕はここで」と空いた酒樽の中で眠るぐらいのことをしたい。怪訝な顔をする来客方に「布団を買う金も使い果たしてしまってね」と言って、グーグー眠る。それぐらいの粋でありたい。
って、こんなこと言ってるから縁なんてこないのだよ、自分は。バカッ!
寺泊からしばらく行くと、道の駅に到着した。道の駅は、全体的に高速道路のサービスエリアに似ている。たこ焼きや焼きそばを売る店が並んでいた。昨日、一日の食費を500円以内でと試算を打ち出した自分は、ここでしばらく悩んだ。たこ焼き400円である。とても買えない。だが、金がないわけじゃない。振る袖はあるのだ。振る袖はあるが、その袖は消耗品である。調子よく振りすぎて、擦れ、ここまで来るのに3分の1程までに縮んでしまった。つんつるてんはすぐそこだ。2時間ほど売店を凝視して我慢した。出発。
だけど、結局駄目だった。夜、見つけたスーパーで割引きされた弁当やらジュースを買って、はみ出した。やけになって、缶ビールも買ってしまった。
柏崎の国道を歩いていると、ブルボンの本社工場を見かけた。自分の頭の中に、でかい会社なんて本社はみな東京にあるんだろうな、という思いがあったが、そんなこともないらしい。以前も、どこかでTDKの本社工場を見た気がする。あれは鰺ヶ沢だったか。
柏崎の町中に入り、セブンイレブンを発見。酒田からセブンイレブンを見かける回数が増えている。北海道からここまでくるのに、コンビニの勢力図みたいなものがあって、それはそれで面白い。自分の地元は、セブンイレブンとローソンが中心で、ついでサンクス、ミニストップなどである。北海道で強いセイコーマートなどは、思い当たる限り一軒しかない。よって、地元ではセイコーマートというコンビニを知る人は少ないだろう。カップ焼きそばも、ペヤングは東北より上では売っていないし。旅中で、そういうことを見て回るのも案外楽しい。
コンビニ脇で眠。

天候
晴れ
気温
朝26℃ 昼(忘) 夜23℃
歩数
60450歩
累計2758449歩
出費
カップラーメン×2・・268円
パン・・92円
ジュース×2・・214円
のり弁当・・208円
揚げ出し豆腐・・73円
タバコ・・300円
缶ビール・・195円
計1350円
累計408134円
食事
朝・・カップラーメン、パン
夕・・カップ焼きそば、コーラ
夜・・のり弁当、揚げ出し豆腐、ジュース
深夜・・缶ビール
道中・・飴、水

94日目 柏崎~直江津

20070709100440
8日、7時50分起床。最近、コンビニ近くでの睡眠が多い。町の外れで寝床をとってしまったがために、そこから先しばらく朝食にありつけなかった、という失敗からの恐怖だろうか。コンビニ近くならその心配がない。が、そう言っても寝場所はいつも地べたである。雨が降ったら終りの地べた。一番いいのは閉店したスーパーのベンチだ。ひさしの下のベンチ。
・雨の心配がない
・寝やすい
・見た目が自然
・割引きされた商品
細かいことを言えばもっとあるが、眠スタイルも以前とだいぶ変わった。夜型歩行になったということもあるのだろうか。
国道8号線からのスタート。1桁、2桁国道は、道路も歩道も広くて快適である。3桁になると、ちょっと危なっかしい道路もある。なんて思っていたら、そうでもなかった。国道8号線にも、歩道のない橋がいくつかあった。橋の手すりを擦るようにして進む。下は深い谷だったり、流れの速い川だったりして、おっかない。
道の駅にて、しばし休憩。この辺りまで進んできて思うのは、町の雰囲気が段々と地元に似てきたこと。漠然とだが、空気だろうか、建物の感じだろうか、町の密度だろうか、道路や人の姿だろうか、そういった、ある一定の感覚が地元のそれに似てきた。それと関係あるのかは分からないが、あまり人にも声をかけられなくなった。「都会」に近づいてきたということなのかもしれない。賑やか、華やか、盛んな物流、そんな都会の弱点が人間関係の希薄だとしたら、東北からこの辺りにかけてが、都会的な生活へと変わる一つのポイントのようである。人が好んで干渉してくるようなことがない。
それからちょこちょこ歩くものの、暑さで長くは歩いていられない。残りは夕方以降に回して、休憩休憩また休憩。トイレの脇で昼寝して、ぼーっとしていたら、自分のくわえていたタバコの先にクモが糸を張っていた。
歩いていると「おいっ」という声が聞こえたので、声のした方を振り向くと、反対側の歩道で自転シャーのおっちゃんが防波堤に腰かけて休憩をしていた。こちらに手を振っていたので、手を振り返し「どうも」と言って去ったのだが、よく考えれば少し話をすればよかった。暑かったから素通りしてしまった。
スーパーに入って休憩していたら、誘惑にあっさり負けてビールを飲んでしまい、「早くて安くててんこもり」という看板に釣られて食堂にも入ってしまった。も、ダラダラである。
食堂では有線が流れていた。こういうところでしか新しい曲を聞けないんだけど、旅に出てから「このバンドいいな」というバンドが二つある。一つはチャットモンチー。ギャルバンであるということしか知らないが、「シャングリラ」から出す曲、全ていい。もう一つは、バンドじゃないんだろうけどYUI。こちらも「ローリングスター」から、パンク色強くて好き。はは、個人的な趣味でした。
マック正面の床屋駐車場で眠。

天候
晴れ
気温
朝24℃ 昼28℃ 夜23℃
歩数
51583歩
累計2810032歩
出費
ジュース×3・・313円
タバコ・・300円
ハム野菜サンド・・230円
おにぎり・・105円
ヨーグルト・・105円
パン×3・・340円
バナナ・・38円
イカゲソサラダ・・270円
缶ビール・・158円
頭痛薬・・598円
豚汁定食・・500円
計2957円
累計411091円
食事
朝・・ハム野菜サンド、おにぎり、ヨーグルト、ジュース
昼・・パン×2、ジュース
夕・・パン、バナナ、イカゲソサラダ、缶ビール、ジュース
夜・・豚汁定食
道中・・飴、水

95日目 直江津~能生

20070712092027
9日、7時起床。床屋の駐車場で目を覚ましてすぐ、向かいのマクドナルドに移動。ここは24時間営業の店舗らしい。コンビニでもファミレスでも24時間営業というのは助かる。さらに、ここのマクドナルドはモバイルシートなる、各席にコンセントが設置されているコーナーがあり、これが実にいい。飯を食べながら、気兼ねなく携帯を充電でき、とても助かる。
そこに座って携帯電話をいじくっていると、斜め後ろの席で友達とお茶をしているらしきおばちゃんの声が聞こえてきた。どうやら誰かからかかってきた電話を受け取ったようである。
「うん、そうそう、ちょっと待って、聞こえない。え、何?うん、ほらほら、聞こえない、あ、聞こえた、大丈夫大丈夫、バンバン聞こえる。それで?・・うん、あっ、また聞こえない!もしもーし、ああ、ああ、ちょっとママの声全然聞こえないのよ。うん、うん、はい、はい、わかった、それじゃあね」
パタッ(携帯を閉じる音)「駄目ね、全然聞こえない」
斜め後ろだったので声しか聞こえなかったが、他人の会話って面白いね。吹き出してしまった。
昼、海沿いを歩いていると、自転シャーのおっちゃんが向こうからやってきた。これは最近気づいたことだが、旅人同士というものは、その道中であまり会話をしない。というのは、旅をしていると人から話しかけられることが多いのだけど、最初のうちはいいが、それが続くうちにペース、というかテンポが狂ってくるんだね。やっぱり調子よく進んでいる時は、人に止められたくないからね。それが嫌で、軽い会釈で済ませるか、人によっては話しかけるなオーラを発している人もいるんだけど、そのおっちゃんもその一人で、自分が近づいていったんだけど目を合わせてくれない。けれど、自分は自分で情報交換がしたいから話しかけたのさ。そしたら、そのおっちゃんは茨城の人で4月4日に出発して日本一周をしているということが分かった。だから自分は
「そうですかー!実は僕も4月の6日に宗谷を発って日本一周してるんですよ」
と話したんだけど、はは、ただの自己紹介だった。おっちゃん、うざかったろうなと反省した。
上越から糸魚川までは歩行者、自転車用の道があり、快適だった。とある中学校の前を通ると、下校途中の生徒か、数人が一様に自分に挨拶してくる。
「さようなら」
学校の教えなのか、決まり文句のように、さようなら、さようなら、と皆が言う。自分も釣られて「さようなら」と返すのだけど、皆揃って、さようならと言うので、なんだか寂しくなってきた。さようならという言葉は、どこか寂しさが潜む言葉である。今の若者は、あまり「さようなら」という言葉を使わない。それは決して若者の語彙が脆弱になったからではなく、やはり皆「さようなら」という言葉に一抹の寂しさを感じているからだろう。
まあ、でも、うんちくだけど「さようなら」ってのは漢字で書くと「左様なら」で、(そういう理由であれば私は失礼しますよ)という意味の、元々は相手を気遣う言葉らしい。日本語って、ホント素敵だね。
その後、歩いていると急な腹ピー。なんだろう、さっき飲んだブドウジュースだろうか。これまでも何度かそんなことはあったが、今回のは強烈である。繰り返すビッグウェーブ。腹をガンガン殴りながら高見盛のような息遣いをして進む。もう、もれる寸前である。と、そこに道の駅が見えてきた。もう、トンネルの出口でやってしまおうかと考えていた自分は、思い直して、間に合え間に合えと念じながら駅内に進入。すると、そこにあった変な彫刻が目に入った。この変な彫刻、まるで弛んだケツの穴にしか見えない。よりによってなんでこんなところに弛んだケツの穴の彫刻を置くんだ、と憤りながらギリギリ、トイレへ。間に合った。
今日の目標は糸魚川の町で、20時頃にそこから15kmほど手前の能生という町に到着した自分は、通りがかったスーパーで夕飯を買うことにした。すると、そのスーパーの入り口で旅人らしき人を発見。前出の反省もあるが、気になったので話しかけてみた。
ところが、この人は旅人ではなかった。お坊さんだったのである。鹿児島から、徒歩で日本全国のお寺を回っているとのこと。今日は自分と同じように糸魚川まで行く予定だったらしいが、夜も遅いので能生で寝ることにしたそうだ。
「1日、どのくらい歩いていますか」
と聞くと、なんと6、70km歩いていると言う。
このお坊さんに強く惹かれた自分は「一緒に寝させてもらってもいいですか」とお願いして、快く了解してくれたお坊さんと二人して閉店したスーパーの前で寝床の準備をすることに。
「どうやったら、煩悩を消せるのですか」など様々な質問をして、3時間くらい説法を聞かせて頂いてから眠。

天候
晴れのち曇り
気温
朝25℃ 昼25℃ 夜24℃
歩数
41820歩
累計2851852歩
出費
マック(ソーセージマフィンセット)・・350円
マックシェイク・・100円
ジュース×3・・330円
パン×2・・204円
カップ焼きそば・・198円
おにぎり×2・・131円
タバコ・・300円
計1613円
累計412704円
食事
朝・・マック(ソーセージマフィンセット)、マックシェイク
昼・・カップ焼きそば、パン、ジュース
夕・・ハムポテトサンド、おにぎり×2、麦茶
道中・・飴、ジュース、水

96日目 能生~入善

20070712101811
10日、5時半起床。携帯電話にセットしてある目覚ましアラームより早く目を覚ますと、お坊さんはすでに起きていて、座禅を組んでいた。すげぇ。
歩く方角が同じということもあり、歩きもご一緒させてもらうことに。誰かと一緒に歩くというのは、函館のF君M君と歩いて以来である。二人で歩くというのは、一人で歩くのと違い、会話をしながら歩けるから楽しい。一日中、お坊さんとずっと話をしながら歩いた。
お坊さんは、鹿児島の枕崎という町にあるお寺から出発して、まず東京方面へ各地の寺院をお参りしながら歩いたらしい。関東では坂東三十三ヶ所と呼ばれる33の寺を回り、後、北上。大間からフェリーで北海道に渡り、ここでも北海道三十三ヶ所と呼ばれる函館、稚内、根室と各地に散らばった33の寺を歩いて回り、フェリーでまた大間へ。恐山をお参りして、むつから横浜、野辺地、青森と自分と同じようなルートを辿り、羽黒山から月山へ雪が残る山道を登り、この日本海側へと抜けてきたのだという。黒い袈裟をまとい笠を被り、杖をついて歩いていたが、ずっとその恰好で歩いてきたそうだ。北海道では寒さで霜焼けになったそうで、腕にはその傷痕が残っていた。全く休まずに、多い時で一日80km歩いてきたという。自分とは桁違いの行程である。同じ人間なのかと疑うほどだ。
お坊さんは、これを総じて「行(ぎょう)」と呼んでいた。仏教の修行らしい。他にどんな行をするのですかと問えば、33日間全く食べずに水だけ飲んで堂にこもったりするのだという。「死なないんですか?!」と驚き聞けば「ガリガリに痩せるけど死なない」と言う。
何故、そんな苦行をするのですかと問えば、「その先に見えてくるものがある、正しい目を持てるようになる」とのこと。行を積んだお坊さんは霊が見えるようになるのだそうだ。霊が見えて、初めて供養が出来る。行を積まないお坊さんは霊が見えないから供養が出来ない。法力とはそういうものらしい。
さらに驚くべきは、その歳である。自分はずっと20代の後半くらい、もしかしたら年下かなと思っていた。聞いてビックリ。46だという。えぇぇぇ!って、ぶったまげた。20も読み違えたのだ。大袈裟だと思うでしょ?本当に若い。誰もが間違えるらしい。行をしているから若いのだそうだ。食事は一日二回。肉も酒もやらないと言うし、もう理解出来る範疇じゃない。
それでも、それでもだよ。煩悩は消えないのだという。人間が煩悩を消すのは容易じゃないと言う。
「お坊さんでも欲望があるんですか」
と聞くと、言葉を濁していた。
仏教の成り立ちから、宗派、弘法大師、成仏、地獄、因縁、守護霊、祈願、戒名と、本当に色々なことを教わり、聞くことには全て答えてくれた。先祖を供養することが、どうして大切なのか分かりやすく説明してくれた。お経を見せてもらったが、もうボロボロである。道行く人にも声をかけられれば、お経を読んで供養してあげるのだという。
一緒に親不知子不知の断崖絶壁の道路を歩き、富山入り。途中から降りだした雨を物ともせず、気づいてみれば歩いた距離は60kmを超えていた。これも一重にお坊さんのお陰である。自分一人では、とてもこんなに歩けない。
今日もお坊さんと一緒に西入善という駅の待合室で寝させてもらうことになった。あれだけ高尚な話を聞かせてもらったのに関わらず、自分のビールが飲みたいという欲望はやまなかったが、お坊さんの手前、それはやめておいた。これも一つの行か。んなアホな。二人並んでベンチ眠。
そうそう、余談だけど今日、間違い電話があった。この電話番号を使い始めて3年。ずっと「マンゴクさん」という歌舞伎役者への間違い電話がかかってくる。落語家から電話がきたこともあった。人には、ドコモに言った方がいいよ、と言われるんだけど、面白いからほったらかしにしてある。

天候
曇りのち雨
気温
朝23℃ 昼25℃ 夜22℃
歩数
83465歩
累計2935317歩
出費
ジュース×3・・319円
カップラーメン・・78円
タバコ・・300円
傘・・350円
パン×4・・507円
チキンカツフライ・・99円
おにぎり・・110円
せんべい・・105円
計1868円
累計414572円
食事
朝・・カップラーメン、パン、チキンカツフライ、ジュース
夕・・おにぎり、パン×3、せんべい、ジュース
道中・・ジュース、パン、水

97日目 入善~富山

20070712200831
11日、5時50分起床。昨日からの雨のせいか、家が水没する夢を見た。
今日もお坊さんと一緒に歩く。雨の国道8号線を進み、今日はまあ色々な世間話をした。
お坊さんの言葉のイントネーションに関西弁のそれが混じるので、出身を聞いてみると大阪生まれとのこと。だから自分は、大阪に行ったら新世界という通り?盛り場?に行って串カツを食べたいんです、と言った。串カツというのはそこの名物らしく、店内で揚げた肉やら野菜の串ものを各席に設置されたソースが入っているバットに突っ込んで食べるという、まあ、B級グルメっちゅうことになるんだろうか、そういう料理らしい。自分がそれを知ったのは、好きな作家のエッセーの中に出てきたからで、関東にないこともないが雰囲気が全然違うということで、大阪に行った際は食べたいと思っていたのだ。
すると、お坊さんは「八重カツって店がうまいよ、あとは天狗って店もうまい」と教えてくれた。高校、大学の頃はよく遊びに行ったらしく、「そこに通天閣もあるから行ってみるといいよ。通天閣ってのはあれ二つ目なんよね、一つ目は戦争の時に鉄の需要があったでしょ?あれで解体しちゃったのよ」とも教えてくれた。
お坊さんが、通りを歩きながら「マクドナルドとモスバーガーって、どう違うの?」と聞くので、「モスの方が高いですよ。マクドナルドは今ハンバーガー1個80円位ですね。モスはうまいけど倍しますよ」と答えた。
「えっ、マクドナルドってそんなに安いん?期間限定とかじゃなく?」
「そうですね」
「自分の頃はハンバーガー120円だったかなあ。メニューが3つくらいしかなくてねぇ。ハンバーガーとチーズバーガーと、・・ダブルバーガーだったかなあ。ビックマックは後から出たね」
「今はメガマックっちゅうのがありますよ」
「えっ!何それ?」
「ダブルバーガー2個分ですね」
「ははは、口に入らないやん」
「そうなんですよ、だから、こうやって潰して食べるんです」
「マクドナルドと言えばあれやなぁ・・シェイク!不思議な飲み物やった。昔のシェイクは飲んでも飲んでも減らんでねぇ」
そんな話をしたが、今は全く行かないから分からないらしい。
その後も、ハンバーガーショップの話から、ミスド、吉野家、すき家と当時の飯屋の話やコンビニの話など四方山話はとどまらず、やがてゲームの話に至り
「インベーダーゲーム、知っとる?」
「はい、知ってますよ」
「1回100円。こう、100円玉を積んどいてね。あれは子供じゃなく大人が熱中しとったな。その次に出てきたのがポーカーゲームやった」
「何ですか、それ?」
「知らん?!ポーカーゲーム、1点100円でね、これは本当にお金を賭けんのよ。ロイヤルストレートフラッシュが出ると500点。まあ、それは基板がいじくってあって絶対出えへんのやけどね。どこの喫茶店にも置いてあったよ。その内、それが社会問題になってね。大変な騒ぎやった。それで捕まった警察官もおったね」
ファミコンが出たのは22、3の頃らしく、マリオをやったと言う。
「当時はマリオだけ売ってくれず、他の売れんソフトとくっつけて店が売るのよ。けど、マリオを作った人いうのは偉いなあ」
と話していた。
途中、立ち寄ったすき家で、肉は食べないから二人で納豆ご飯を食べた。吉野家には朝しか納豆がないから、すき家はいつでも納豆があっていいね、と言う。そこで、寝床の探し方も教えてもらった。高校の時はロックを聞いたというので、ロックの話で盛り上がったり。矢沢永吉が好きだったらしい。「夜のヒットスタジオという番組に出た時、それまで全然テレビに出なかったから、司会者に、どうして急にテレビに出ることにしたんですか、と聞かれて、矢沢が一言、洒落かな、って言ったのがカッコよくってねぇ」と。
これは持論だが、ロック好きの人というのは信仰心が強いように思う。
その後、お坊さんは金沢を抜けて比叡山延暦寺へ向かうということで、能登に向かう自分とは別れることになった。
「鹿児島に来たら、お寺に寄りなさい」
「はい、そうさせて頂きます」
と話して握手をし、お坊さんは左へ。自分は青に変わった横断歩道の信号をまっすぐに進んだ。
それからすぐ、自分はファミレスに入って生ビールを2杯飲んだ。我ながら全くふざけた男だと思う。もっと精進しなければならない。
そこで食事をしていると、友達から電話がかかってきた。なんか最近、全国各地のトイレで手紙付きのお金が見つかっているらしいね。
「高沢くん、見つけなかったかい?」
と友達が言うので
「見た気がする」
と言った。
後、店を出てパチンコ屋の駐輪場で眠。

天候
雨のち曇り
気温
朝23℃ 昼24℃ 夜24℃
歩数
55152歩
累計2990469歩
出費
タバコ×2・・600円
温度計・・105円
レインポンチョ・・105円
菓子・・105円
すき家代(大盛りごはん、みそ汁、納豆)・・330円
パン・・105円
ジュース・・84円
ファミレス代(生ビール×2、ポテトフライ、焼き鳥盛り合わせ、ドリンクバー、スープバー)・・1546円
計2980円
累計417522円
食事
朝・・すき家(大盛りごはん、みそ汁、納豆)
昼・・パン、コーヒー
夕・・ファミレス(生ビール×2、ポテトフライ、焼き鳥盛り合わせ、ドリンクバー、スープバー)
道中・・クッキー、水

98日目 富山~氷見

20070714001245
12日、7時50分起床。すぐ近くのすき家に移動して豚丼のセットを食べる。何故か知らないが、この通りにはすき家が多い。昨日と今日、2日間で8軒のすき家を見かけた。しかし、それは逆を言えば願ってもないこと。安くてうまいチェーン店はこちらにとって都合がいい。断固支持する、自分は、すき家を。好きです、すき家。って、そんなキャッチフレーズがあったね。これを関西弁にして、好きや!すき家。と、こんな心境です、自分は。
それからたいして移動せずに、今度はファミレスに入った。昼飯である。ここは、ジョイフルという名前のファミレスなんだけど、このファミレスも昨日と今日で3軒見かけた。このファミレスは安くていい。あの、ファミレスにも色々あって、値段に結構差があるよね。高い印象が強いのは、ロイヤルホストとかデニーズ。安い印象が強いのは、サイゼリヤとか、このジョイフルかな。ジョイフルなんか生中(この前、友達に生中が通じなかったので一応申し添えておくと、生中=中生。生ビールのこと)が299円である。発泡酒でなく、ビールが。居酒屋でも、こんな安い店はない。だから、って訳で、ここでビールを飲んだ。お昼に飲む生中299円。つまみのポテトフライ199円。その一時、プライスレス。お金で買えない価値がある。お金で買えるものはマスターカードで。って、おい!ハイ、ピーピーピーヒャラピー。
ラジオが欲しい。旅に出る時に買ったんだけど、調子が悪くなったので、この前要らない荷物と一緒に実家へ送ってしまった。音楽というのは偉大である。村上龍だったか、「音楽に意味はないが、音楽は自殺を抑止する力がある」と何かで読んだことがある。音楽は、人の内に秘めた普段は出てこないエネルギーを呼び覚ます、盛り上げる力がある。自分は勝手にそう思ってるんだけど、自分と音楽の関係は不思議なものである。何が不思議かというと、元々自分は音楽が大嫌いだったのだ。
小学校と中学校で、音楽の授業があるでしょ。あれが元凶である。何故にピアニカで、何故にリコーダーで、何故に皆が同じ曲をやり、何故にその優劣で可不可が決まり、何故に皆それに従うのか、さっぱり分からない。音楽の底辺に流れているものは「自由」である。なのに、何故束縛するか。例えば、音痴が音痴な歌を歌っても、それに心があれば人は少なからず惹かれるものである。だけど、学校で習う音楽というのは、「課題はこれ。あなたは上手いから○、あなたは下手くそだから×」である。今はどうだか知らないけど、自分の時はそうだった。これは音楽じゃない。これでは心の入れようがないのだ。
先に述べたように音楽が持つ力、これを個々に合わせて気づかせてあげる、というのがより有用な音楽の授業じゃなかろうか。もっと広い視野でやるべきである。自分はそう思うのだけど。
そんな訳で一転、自分が音楽を好きになったきっかけはロックンロールとの出会いであるが、こちらは割愛する。でも、すんげーいいよ、音楽は。もう、ハマっちゃう。すでにハマってるんだけどさ。
この辺りの国道沿いには車屋が多い。車屋と言っても、ディーラーとか中古車販売でなく、港が近いからか、輸出業のようである。店の看板は、英語やらアラビア語みたいなのばかりで、外国人が経営しているようだ。町を歩いているのも外国人が多い。昼飯を食べたファミレスも外国人だらけであった。モスクと書かれた建物の中で礼拝をしている人を見た。ターバンを頭に巻き、長い顎髭を蓄えた人を追い越して歩いた。
夜、ラーメン屋に寄り、とんこつラーメンin腹。お坊さんに教えてもらった経を読みながら、街灯のない道路を歩く。暗くておっかないのさ。
目標の氷見市街に到着したのは深夜2時。コンビニ前にベンチを見つけin。そしてmin。

天候
曇り
気温
朝25℃ 昼24℃ 夜22℃
歩数
47126歩
累計3037595歩
出費
すき家代(大盛り豚丼とん汁サラダセット)・・550円
ファミレス代(日替わりランチ、ポテトフライ、生ビール、ドリンクバー)・・1027円
タバコ・・300円
とんこつラーメン・・605円
計2482円
累計420034円
食事
朝・・すき家(大盛り豚丼とん汁サラダセット)
昼・・ファミレス(日替わりランチ、ポテトフライ、生ビール、ドリンクバー)
夜・・とんこつラーメン
道中・・紅茶、水

99日目 氷見~七尾

20070714145644
13日、6時50分起床。13日の金曜日だね。最近、映画を見てないなあ。コンビニで映画のチケットが売っていてね、前売りチケットを2枚買って、誰かを映画に誘いたくなった。そんな歌があったな。爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」だ。あの歌いいよね。はは、初っ端から脱線しまくり。
コンビニのベンチで目を覚まし、後、昨日チェックしておいたマックへ。お決まりのソーセージマフィンセットを注文。朝マックって、いつからやってるんだろう。ああ、子供はいいなあ。今、子供が近づいてきて、何かと思ったら手を振って「バイバイ」だって。笑顔で。会ったばかりなのに。全く、屈託しているのが阿呆らしくなる。
自分が何を屈託しているかって、25日までの敦賀までの道のりである。何度か書いてきたのでご存知の方も多いと思うが、自分は友達の結婚式に出席すべく今月の25日までに福井県の敦賀港へ行かなければならない。フェリーを予約してあるのだ。そのために青森から全て日程を立てて移動してきたのだけど、その行程がもうパンパンに詰まってしまった上に、なんだかでかい台風がやってくるというじゃないか。梅雨と相俟ってここ数日は雨だし。どうしたもんか。この雨に関しては、皆さんに心配する声をたくさん頂いて、申し訳ない、ありがとうございました。でも、雨の中を歩くっていうのも一つの試練。無茶をしてはいけないが、多少の無理は押し通していかないと、甘えてばっかりになってしまう。ハイ&スローで行こう。
氷見から1時間半くらい歩いて見つけた、岩井戸温泉という温泉に入浴。ここはいい温泉だった。しっぽりしたい人にはオススメ。
12時23分、石川突入。
石川大阪ウォウウォウイェエエ、と口ずさみながら進む。これは大塚愛の曲。能登半島は先日の能登半島沖地震で甚大な被害を被り、やっと復興してきたところらしい。「頑張ってます、能登」「能登に来まっし」といった感じのポスターがスーパーやら道の駅など至る所に張り出されている。
自然災害というのは悲惨だ。自分は関東平野の真ん中に住んでいて、災害という災害に見舞われたことがないから現場の悲惨さを知らないが、TVでその様子を見るだけでも辛い時がある。旅をしていて気づいたのは、海岸沿いに住んでいる人々の津波に対する恐怖である。どこを歩いていても、道端に津波がきた時の避難指示の看板がある。避難場所は高台に確保されていて、そこに住む人々がいつやってくるか分からない津波に常に気を払いながら生活している様子が窺える。
作っては壊され、壊されてはまた作る。災害に見舞われた、そんな人々の気力を見習いながら、自分もこの雨の能登路を一歩一歩着実に歩きたい。
歩道を歩いていると、たまにクラクションを鳴らし、手を振ってくれるドライバーがいる。そういう細やかなことが、自分のテンションを上げてくれるので助かる。
夜、七尾の町に到着。閉店間際のスーパーで半額商品買い。ビニール袋を手に提げて七尾駅に移動し、そこで食事。ここの駅は、それほど大きな駅ではないが、能登半島への入口ということもあるのか、ただ金曜日の夜だからか、駅前には深夜まで人が盛んに行き交っていた。タクシーもよく出ている。活気があるというのはいいことだ。囲いがしてある駅前のバス停ベンチで眠。

天候

気温
朝21℃ 昼22℃ 夜21℃
歩数
50070歩
累計3087665歩
出費
マック代(ソーセージマフィンセット)・・370円
タバコ×2・・600円
カップメン×2・・300円
風呂代・・500円
アイス・・105円
ジュース×3・・328円
菓子・・50円
日替わり弁当・・199円
ツナサラダ・・64円
発泡酒・・190円
計2706円
累計422740円
食事
朝・・マック(ソーセージマフィンセット)
昼・・カップ焼きそば、カップうどん
夕・・日替わり弁当、ツナサラダ、菓子、発泡酒、麦茶
道中・・アイス、ジュース×2、水

100日目 七尾~穴水

20070715150309
14日、7時半起床。100日目か。早いもんだ。バス停のベンチで目を覚ました後、近くのコンビニへ。ここで、朝食をとった。
時々、休憩所を併設したコンビニに出会うが、このコンビニにも店内にテーブルとイスが置かれた休憩スペースがあり、店内で買ったものをここで食べた。この休憩スペースがあるコンビニは重宝する。ミニストップというコンビニには、どこに行ってもこれがあるが、まだミニストップを1軒も見ていない。ミニストップ、いずこ。
朝食を食べ終り、さあ出発するかと店を出て、時計を見ると9時。どうやら駅前のデパートが開く時間らしい。丁度いい。もしかしたら、ラジオを売っているかもしれない。自分は足を止め、このデパートに寄っていくことにした。
家電売り場を探し、目当ての場所にたどり着くと、あった、自分が欲しかった小型のラジオが売っている。迷わず、これを買った。
いい、いい、いいよ、ラジオ。途切れることのない時事とトークと音楽のループ。台風4号情報もバッチシだ。旅withラジオ。オーイエーって歩いていたら、親から電話がきた。台風が心配のようである。「お前、ラジオも持ってねえんだろ?」と言うので「今、買った」と答えた。
能登に入る手前から、段々とまた海水が透明になってきた。ラジオからハイロウズの「日曜日よりの使者」という曲が流れてくる。イントロを聴いた瞬間、思わず「あーっ!」という叫び声をあげてしまった。町中だったので恥ずかしかったが、自分はこの曲が大好きなのである。北海道でラジオ局にリクエストを送ったのも、この曲だった。音量をMAXにする。
♪このままどこか遠く連れてってくれないか君は君こそは日曜日よりの使者
シャララーラ、シャラララーラと、シャラシャラ言いながらスキップするように歩いた。
途中、道の駅で休憩して、今日の目標地である穴水の町に続く林の中の道を歩く。能登には大きな山がなく、道はずっと平坦だと聞いていたが、いくらか緩やかな上り下りの道。ヒグラシのカナカナという鳴き声が聞こえる。
夜、穴水着。とりあえず寝床を探すために駅へ向かった。だが、いい寝床が見つからない。まあ、いいや。酒だ。駅前通りを一歩きして、居酒屋、焼肉屋、寿司屋、レストランを確認した。だが、それぞれの値段設定と営業時間が分からないので、駅にいたタクシーの運転手に安くて遅くまでやっている店を聞いて、駅前のレストランへ移動。
ここのレストランは変わっていた。自分は瓶ビールとつまみを注文したんだけど、値段はまあ普通、問題はメニューである。ソフトドリンク、アルコール、定食、一品料理、デザート、ケーキなどとジャンル分けされたメニューの、デザートの欄。
バニラ・アイス・クリーム
フライド・ポテト
トリ・カラアゲ
とあったのだ。
「デザート?」
頭をひねり、疑問に思ったのだが、フライドポテトと鶏唐揚げをつまみに食べたかった自分は、これを注文。ポテトフライの上にチョコがかかっていたり、唐揚げのマヨネーズが生クリームだったらどうしよう、と恐る恐る待っていると、出てきたのはボリューム満点、至って普通のポテトフライと鶏唐揚げであった。安心した。
ビールをおかわりしようとして、「すいませーん」と店主を呼んだが、返事がない。あれ、どうしたんかなと厨房を覗いてみると、店主は厨房のテーブルの上でサンダルを修理していた。やっぱり変わった店である。
その後も、ビールをちびちび飲み、つまみを食べながら雑誌を読んでいると、後ろのテーブルで食事をしていた男3人のグループが席を立ち、帰っていった。客は自分一人になった。この店の閉店は24時と書かれていたが、まだ22時だし、もう少しいるかと思っていたら、その直後「お客さん、もうしまいだから」と店主に言われ、追い出されてしまった。全く変わった店である。
外はまだ雨が降っていた。とりあえず屋根があればいいやと、近くにあった鉄道会社の事務所入口で眠。

天候

気温
朝23℃ 昼26℃ 夜23℃
歩数
48161歩
累計3135826歩
出費
タバコ・・300円
ラジオ・・3129円
コーラ・・108円
マス寿司・・108円
ヨーグルト・・100円
おにぎり・・135円
パン×3・・450円
夕飯(飲み)代・・1850円
計6180円
累計428920円
食事
朝・・おにぎり、レタスハムサンド、麦茶
昼・・マス寿司、パン、ヨーグルト、コーラ
夕・・食堂(瓶ビール×2、フライドポテト、鶏唐揚げ)
道中・・麦茶

101日目 穴水~能登

20070717025554
15日、6時50分起床。寝床を片付けて、移動開始。駅の待合室で昨日買ったパンを食べ、今日は行けるところまで行こうと気合いを入れて歩き出してすぐ、町中のポスターが目に入った。どうやら今日、この町で大きな祭りがあるらしい。それ自体は大したことじゃないのだが、特筆すべきはその出し物である。夕方から和太鼓の演奏会があると書かれてあったのだ。
自分は和太鼓が好きだ。太鼓は旋律を奏でることが出来ないが、一音一音は深く潔く、魂が感ぜられる。その不器用ながらも芯の強いイメージ。それが恰も、日本人の気質そのもののような気がして、自分は太鼓が好きなのだ。例えば、オーケストラが愛を美しく奏でる吟遊詩人ならば、和太鼓は「愛してる」と言えないが、溢れんばかりの愛を確かに感じる頑固おやじのようである。
自分は悩んで、結局この演奏会を見てから移動することにした。となると、それまでの時間が暇である。とりあえず今朝の駅まで戻ろう。そう決めて、今来た道を戻っていった。
なんだかんだで時間は過ぎ、昼。腹も減ったので、昼飯を食べようと昨日のレストランへ向かった。ここは無休とのことである。それは昨日チェックしておいたのだが、店に入ると、カウンター席に座り、新聞を読んでいた店主がこちらを見て、「いらっしゃい」と言うのかと思ったら、「今日は日曜だから休み」と言った。本当に変わった店である。
仁木の奥さんとメールをしていて、いい言葉を頂いた。
「一日生涯」
とてもいい言葉だ。そう言われてみれば、あと何年あるか分からない自分の生涯に確かな日程なんか組めないのだ。確かな生涯とは、今日、今、この瞬間である。だからその日その日を精一杯に生きろと、そういうことじゃなかろうか。つまり、ショートケーキの苺は先に食え、と。次の瞬間にはなくなってるかもしれんだろ、と。違うか。
その後、駅のホームのベンチで昼寝したりしながら時間を待った。この駅に限らず、この辺り、というか今まで通ってきた駅のほとんどがそうだったのだろうか、切符を買わなくてもホームに入れる。無人駅でもないのに、フリーである。待合室には持ち出し自由の傘が置いてあるし、平和的な印象が強い。
夕方、演奏会に向かう前に商店街の屋台が並ぶ通りを歩いていると、その中心で吹奏楽のアンサンブルが行なわれているのを見かけた。演奏されていたのは、中島みゆきの「ヘッドライトテールライト」、美空ひばりの「川の流れのように」、ZARDの「負けないで」など。この3曲を聴いて、その場を後にした。
吹奏楽も好きだ。自分自身、大学時代に吹奏楽サークルに所属していたことがある。アルトサックスを担当していたが、2年やって1曲も吹けなかったってのは悲しい事実である。でかいホールで演奏会もやったが、ただ楽器を持って、吹いているフリをしていただけであった。そんなサックス奏者いるのだろうか。このサークルで、自分がまともにこなしていたのは酒席くらいなもので、これは十八番だったね。宴会部長もやったりした。よく音頭をとったっけな。まあ、あんまりふざけたことを書くと、あとで怒られるかもしれないから、この辺にしておこう。今、書いたことだって秘密だったのだ。しかし、その縁があってか、自分の大学時代の友人というのは全てこのサークルの人達で、中途退学したのに関わらず、未だに付き合いがある。
演奏会は素晴らしかった。全日本の大会で優勝したチームの演奏などもあり、演出も凝っていて、かなりレベルが高い。会場となったホールには入りきらないほどの観客。自分は舞台袖から写真を撮りまくり、しばし見入った。この演奏会には、災害で傷ついた能登を元気にしようという意図があるらしく、奏者や司会者が挨拶でそのようなことを言っていた。
演奏会が終わったのは22時過ぎ。さあ、これから歩かねばならない。どこまで行けるだろう。途中のコンビニで腹ごしらえをして出発した。
真っ暗闇の山道をセンターラインを頼りに進む。恐怖はあるが、それよりは遅れをとった焦りの方が強い。ラジオからは怒髪天が流れてきた。どんな時も音楽は、ロックは、自分を勇気づけてくれる。
台風一過で、空は天の川が見えるほど満天の星だった。山の奥の方へ行くと、霧がかかって、それも見えなくなってしまったが。しかし、今度は目の前を青白い光が行ったり来たりしているのが見えはじめた。
「あれが噂の人魂か」
自分は何かの感覚が麻痺していたのだろう。そう呟いて見ていると、あら、周りは人魂だらけである。森から道路から青白い光が飛び交っている。
試しに一つ、触れてみることにした。アチチ。人魂って熱いんだ。火傷してしまった。なんてことはない。光の正体はホタルであった。
自分はホタルを初めて見たよ。きれいなものだ。案外、明るいものだね。タバコに火をつけ、自分もホタルになってみた。吸い込むと、激しく光るオレンジの光。
深夜2時過ぎ、妥協して能登町のバス停小屋にイン。いっけね!さっきのホールに傘を忘れてきた。

天候
曇り時々雨
気温
朝22℃ 昼28℃ 夕21℃
歩数
38179歩
累計3174005歩
出費
タバコ・・300円
絵はがきセット・・500円
50円切手×3・・150円
飲料×3・・341円
おにぎりセット・・190円
パン×3・・224円
計1705円
累計430625円
食事
朝・・パン、ミルクコーヒー
昼・・パン×3、ジュース
夜・・おにぎりセット、ウーロン茶
道中・・麦茶、ウーロン茶

102日目 能登~珠洲

20070718004906
16日、10時20分起床。昨日、深夜まで歩いていたので、今朝はついつい二度寝、三度寝をしてしまった。バス停小屋のベンチで寝ていると、なんだかガタガタと横揺れを感じ目を覚ました。それほど大きな揺れには感じなかったので、「まだ、この辺では地震があるのか」と簡単に考えて四度寝をしようとすると、町内放送が流れて「ただいま震度5弱の地震を観測しました、津波情報に注意してください」と繰り返し言っている。それで、「えーっ!本震じゃねえかよ」と起き上がり、荷物をまとめて、近くの商店へ移動した。
商店の中に変わった様子はない。朝食を買って、店のおばちゃんに地震のことを聞くと、新潟の方がひどいらしいと教えてくれた。だけど、この店でも酒瓶がガチャガチャと揺れたのよと、おばちゃんは少し興奮気味に話していた。自分は、てっきり能登沖の地震かと思っていたが新潟とは。ひどいもんだ。弱り目に祟り目ではきかない。地震、豪雪、台風、復興の中、去年は暖冬でスキー客の減少。そして、また地震。ここ2、3年の新潟は最悪である。
刈羽原発、柏崎と通り抜けてきたのは、つい先日のことだ。その辺りで出会ったおっちゃんが「今月末に柏崎で花火大会があるんだけど、あれは見ていった方がいいよ。俺は毎年見に行ってるんだ」と話していたが、どうなるのだろう。昨日だって、能登の人は復興を喜ぶ太鼓の音を響かしたばかりである。色々なことが頭を錯綜し、ため息ばかりがよく出る。個人的には台風とか地震が好きで、そういうことが起こるとワクワクしてしまう質なのだが、新潟から石川にかけて、町が復興する様子をまのあたりにしてきたばかりだったし、今回の被害はまた甚大である。
原発も恐ろしい。今回の地震で少量の放射能が漏れただの、たいしたことないだの言っているが、そんな不確かさの中で生活など出来ないだろう。チェルノブイリは今でも人が住めないのだ。原子力は人間の進歩に不可欠だと言うが、この不完全さ。払う代償が大きすぎる。
朝食を食べ終え、歩いていると、空を海上自衛隊のヘリが飛んでいく。さっきの地震で何かあったのだろうか。
能登の町に着いたが、ここでもやはり混乱した様子はない。パチンコ屋を覗いてみたが、客も皆、普通に打っている。自分はアイムジャグラーという台に座って周りを観察していたが、隣のおっちゃんは連チャン中で嬉しそうだ。柏崎のパチンコ屋はどうだったのだろう。10時開店で朝一連チャンした客は「よっしゃ、今日はいける」と思っただろうに、10時13分、打ち止めである。最高にツイてない。
ただ、地震とは別に、自分の旅は全くと言って影響はない。もしかしたら寸断されてしまった道路があるかもしれないと思ったが、そんなこともなく予定通りに進む。ラジオでは頻繁に地震情報が流れていたが、夏フェス特集の番組などがあり、それを聴きながら軽快に歩いた。
能登から珠洲にかけては廃線になった鉄道があり、レールは撤去されているのだが、枕木や駅舎がまだそのまま道路に沿うようにして残っている。その駅の一つに恋路駅という駅があり、ここはその駅名が人気を呼び、観光名所になっているようだ。北海道の幸福駅のようである。恋路の町を歩きながら、映画「卒業」のダスティン・ホフマンがあの後どうなったんだ?!と、この前友達と電話で話したことを思い出した。
夜、珠洲のコンビニ着。昨日、傘を忘れてきたと書いたが、実はその傘を置いてきた傘立てが鍵式のもので、自分はその鍵を持ってきてしまった。別に傘はもう要らないのだが、この鍵は返さなければいけない。かと言って、引き戻す気にもなれないので、封筒に入れ、詫び状と一緒に送り返すことにした。これをそのコンビニで行い、夕食も食べて、向かいのガソリンスタンドに移動。
夜中に雨が降るらしいから、屋根がかかっている場所を借りた。地面にシート、寝袋を展げて眠。

天候
曇り
気温
朝24℃ 昼26℃ 夜24℃
歩数
50475歩
累計3224480歩
出費
ジュース×3・・373円
カップラーメン・・105円
パン・・179円
おにぎりセット・・190円
タバコ・・300円
80円切手・・80円
発泡酒・・211円
ポテトチップス・・124円
計1562円
累計432187円
食事
昼・・カップラーメン、パン、ウーロン茶
夕・・おにぎりセット、ウーロン茶
夜・・発泡酒、ポテトチップス、ウーロン茶
道中・・ジュース×2、ウーロン茶

103日目 珠洲~塩田

20070718161908
17日、7時10分起床。朝、ガソリンスタンドで寝ていると、店主がやって来て「起きなさい」と起こされた。慌てて起き、荷物整理をしていると、その店主のおっちゃんが聞いてくる。
「あなた中国人?日本人じゃないでしょ。ジャパニーズ?」
寝起きのかすれた声で「日本人です」と答えたが、これはショックであった。
向かいのコンビニに移動して朝食。やっぱりサークルKサンクスのおにぎりはうまい。最近、各コンビニがおにぎりブランドっちゅうんだろうか、やたらおにぎりを宣伝し、売り出しているが、ここのおにぎりが一番うまいと思う。ふんわりしているのだ。
渚百選「鉢ヶ崎海岸」を通過。ここでいくつ目だったろう。昼に寄った商店で買ったファンタオレンジに炭酸が感じられないので、賞味期限を見てみると、061018とあった。大丈夫だろうか。もうだいぶ飲んでしまった。なんだか胸やけがしてきた。以前、旅行で北海道のとある島に行った時、酒のつまみを買いに入った商店で、賞味期限が切れていない商品が一つもなかったことがあったが、確信犯は困る。
今日は、道中に色々なものを貰う日だった。地図、ぽんせんべい、お守り、麦茶、トマト。休憩所のベンチに座って休んでいると、隣接した売店のおじちゃんとおばちゃんに話しかけられ、やがてやって来た地元の人達としばらく話しこんだ。
能登は昔、空前の旅ブームが起こり、カニ族と呼ばれるリュック一つ背負った旅の若者が大挙して押し寄せたらしい。全ての民宿は飽和状態で、廊下で寝る者もあったというから、余程だろう。カニ族という言葉は旅に出てから知ったのだが、時々自分もお年寄りからカニ族と呼ばれたりする。その名の由来は、でかいリュックを背負って歩く姿がカニのようだから、とのことだが、それならばもうちょっといいネーミングがなかったのか、疑問に思うところである。子守族。やだな。なんとか族っていう呼び名はずっとあるけど、例えば首都高をグルグル回るローリング族とか、いいネーミングじゃないか。たけのこ族、これはどうなんだろう。そういえば池田貴族さんは亡くなられましたねぇ。あれは、もう何年前になるか。とにかくカニ族はダサい。バックパッカーという呼び名は、カッコよすぎて嫌いである。気取っている感じがする。星矢族とかどうだろうか?昔、セイント星矢という漫画で主人公が重そうなバックを背負っていた気がする。
夕方、商店で買い物。奥能登にはあまりコンビニやスーパーがなく、町々に個人商店が2、3軒あるばかりである。店内に揚げ物のパックがあったので、何の揚げ物か店主に聞くと、「いやぁ、よく知らんのよ」と言う。ここで作っているわけではなさそうだ。カツであることを祈りつつ買うと、白身魚のフライであった。「ソースをもらえませんか」と頼むと、店の棚からウスターソースを取ってきて封を切り、よこしてくれた。実に太っ腹である。
夕陽が美しい。今まで、何度こんな夕陽を見てきたか。これは旅の醍醐味である。海をつたって自分の方へとのびてくる一筋の乱反射する光。どこまで行っても自分の方にのびてくる。夜になれば、月がどこまで行ってもついてくる。
道の駅「すず塩田」に到着。自販機の前で携帯電話をいじくっていたら、コクワガタのメスが飛んできた。塩田というのは町の名で、その名の通り、この辺りは昔から塩の名産地らしい。僅かに褐色を帯びた色の塩だ。道の駅の入り口にシートを展げて眠。

天候
曇り時々雨
気温
朝23℃ 昼22℃ 夜22℃
歩数
59370歩
累計3283850歩
出費
飲料×3・・365円
カップラーメン×3・・484円
おにぎり・・110円
タバコ・・300円
パン×2・・215円
チョコ菓子・・21円
白身魚フライ・・265円
発泡酒・・210円
計1970円
累計434157円
食事
朝・・カップラーメン、おにぎり、ココア
昼・・カップラーメン、パン、チョコ菓子、トマト、ぽんせんべい、ジュース
夕・・カップラーメン、白身魚フライ、パン、発泡酒
道中・・ウーロン茶、コーラ、麦茶、ぽんせんべい

104日目 塩田~輪島

20070719074739
18日目、7時50分起床。あのー、最近、「どんだけ~」ってギャグ?セリフ?流行ってない?雑誌とか町でよく見聞きするんだけど。
道の駅で目を覚まし、昨日もらったぽんせんべいを食べて出発。奥能登の方は、つい最近まで通行禁止の道もあったようだが、もう大丈夫らしい。所々、道路脇の法面工事などで片側交互通行になっているが、ちゃんと車も通れる。その工事の看板には「頑張っています能登」の文字。町を通れば「元気です能登」という文字をよく見るし、一丸、そんな言葉を連想する。
珠洲市では全域でラジオ電波が入らなかった。海沿いの地域には、電波が入らない所が多い。AMがかろうじて聞こえる程度である。もう少し、FM電波の範囲が拡がらないものだろうか。
海の先を見やるが、能登の根元から福井県へと繋がる陸地はまだ見えない。水平線である。敦賀はあの辺だろうか、と遥か先の水平線に目を凝らし、そこに自分の姿を重ね合わせながら、曲がりくねる海岸線の道を歩いた。
昼頃に立ち寄った道の駅で、売店のおばちゃんと旅の話をしていると、おばちゃんが「あんた、医者の子供か」と聞いてきた。
何故、そんなことを聞くのか分からなかったが、「いやいや、まさか」と答えると、「貧乏人の子供なら、そんな旅行できんよね。金持ちの子でしょう」と言う。
「貧乏旅行ですよ」と返したが、今一つ信用していないようであった。
なるほどなぁ。確かに生活が貧乏で、借金にでも追われていたら、旅なんて出来ることじゃない。でも、自分は去年は極貧だったよ。一人暮らしだったけど、夏も冬も冷房と暖房はほとんど使わなかったし、仕事に持っていっていた弁当は、梅干しも入れられず米だけの弁当だった。日の丸弁当梅なしさ。ふりかけもケチって、食卓塩をふりかけて食っていたよ。土方仕事だったから、仕事先の人が哀れんでか、よく食べ物をくれてね。うまかったなあ。餃子やらフライドチキンやら。仕事をしていると、土を掘り返した時に玉ねぎが出てきたりしてね。それを家に持ち帰って食べたりしていた。
卓ちゃんに電話をもらってからの一年、そうやって貯めた金なんだよ、今回の資金は。だから、金持ちの子だからそんな事が出来るんだ、なんて言われるのは心外である。
そこの道の駅でしばらく休んでいたが、後、輪島まで移動。コンビニに入り、夕飯を買って、それを食べつつ悩んだ。何を悩んだかというと、これからの予定である。今日は門前という町まで進もうと思ったが、門前まではまた山道のようだ。そろそろ、風呂にも入りたい。輪島で止まるか、予定通り先へ行くか、コンビニ前でしばし悩んで、結局、風呂をとった。
町の人に日帰り入浴が出来る施設を聞いて、そのホテルへ。いや、さっぱりした。着ていた下着も洗って、無料のマッサージ機にかかって、ジュースを飲んだ。ふにゃあ、となって道の駅「輪島」へ移動。ベンチ眠。きゃあっ、パトカー!
また尋問されてしまった。

天候
曇り一時雨
気温
朝24℃ 昼26℃ 夜24℃
歩数
34919歩
累計3318769歩
出費
飲料×4・・510円
タバコ×2・・600円
風呂代・・600円
パン×2・・366円
カップラーメン×2・・354円
缶ビール・・135円
チョコ菓子・・52円
うまい棒×7・・70円
靴下・・580円
茶豆セット(送料込み)・・4300円
計7567円
累計441724円
食事
朝・・ぽんせんべい、アクエリアス
昼・・カップラーメン、パン、ウーロン茶
夕・・カップラーメン、ハムマヨサンド、缶ビール、チョコ菓子、うまい棒×7
道中・・飲料×3、ウーロン茶

105日目 輪島~志賀

20070720074304
19日、7時起床。輪島と言えば漆器である。と、突然こんなことを書いて、別に漆器に興味があるわけじゃないのだが、折角輪島にきたのだから、ちょっとくらい漆器について触れておこうと思う。漆器というのは、漆(うるし)を使って装飾する調度品、と言ったらいいんだろうか、お椀や箸などのことで、輪島というのは全国に誇る漆器の名産地である。普通、味噌汁などをつぐ時の朱色のお椀、あれをどうやって作るのか知らないが、だいたい安物は、機械で木をくりぬいて、色を付けて、仕上げをして、3工程。いいとこそんなもんじゃなかろうかと素人考えには思われるのだが、輪島の漆器は160の工程を踏むらしい。完成した漆器というのは、それら一つ一つが芸術作品であるが、製作者によれば「もったいぶるのではなく、普段使いの中でこそ味が出る」とのこと。それに見合う丈夫さも兼ね備えているらしい。才色兼備といったところだろうか。生活の中にさりげなくそういうものがあると、なんだか暮らしが豊かになりそうで、自分も一つ欲しいものだが、分不相応なんて言
葉もある。自分には、ちと早い買い物かもしれぬ。まあ、輪島に行けば、この漆器を扱う店が色々とあるので、興味のある方は足を運ばれたらどうですか。
輪島大使より

今日は山の中で野グソをした。トイレがなくて困ったことは何度もあるのだが、意外にも、この旅において野グソを垂れたのは初である。世の中には野グソを愛する人もいて、そんな野グラーに言わせれば「あれは解放感があって最高だよー」とのことだが、自分はやはりトイレがいい。
思い起こせば、自分の野グソデビューは高校の時。部室の脇でしたのが初体験だった。ああ、いけね、また秘密が漏れる。どうして自分はこう、お喋りなんだろうか。それからしばらくして、何かの授業中だったか、自分がクソを垂れたところの草を刈っている奴がいて、あれは可哀想だった。「ちょっと、そこは私がクソを垂れました」なんて、当時の自分には言えなかった。
昼、立ち寄ったスーパーで昼飯を買って休憩。横に灰皿が設置された、コカコーラの赤いベンチに腰かけて小説を読んでいると、黒い作務衣を着たお坊さんらしき人が「こんちはー」なんて言いながらやって来て、灰皿を挟んだ隣でライターをカチカチとやりはじめた。
カチ
カチ
カチ
カチ
なかなか火がつかないらしい。
自分がライターを手に取り、「どうぞ」と言いかけたところで、ようやく火がついたようである。カチという音が止んだ。なんだかこっちまで安心して、また小説に目を落とした瞬間、なんと坊さんは、今火をつけたばかりのタバコを灰皿に投げ捨てた。二口吸ったろうか。思わず灰皿の中を覗きこむと、先っちょだけ黒くなったタバコが水に浮いている。
なんたらもったいないことをする坊さんだろうか。自分はケチくさくも、毎度毎度、フィルターぎりぎりのところまで吸っているのだ。よく考えてみればそれも体に悪いが、いくらなんでもこれはもったいない。だって、このタバコを鉛筆に置き換えてみてよ。1、2回削ってポイである。オラには無理だ。そんなこたぁ出来ね。
って、こういうのが価値観の相違ってやつだね。人と人との不和の原因だ。世の離婚原因の第1位でもある。ケチをつけても始まらない。自分はそのタバコを3秒位見つめて「よし」と言った。受け止めたよ、その価値観。
浜辺の道を歩いていると、どこからか、浮き輪のにおいがしてきた。ビニールの臭いと言った方がいいだろうか。畳まれてくっついたビニールの浮き輪やビーチボールをビリビリと展げると臭いたち、空気を注入する際には、ウッとなる、あの臭い。けれど、その臭いが何故かひどく懐かしく感じられて、夏だというのに、夏が恋しくなった。或いはそれは、少年時代の夏が恋しくなったということかもしれない。
この辺りにも義経伝説はある。門前という町から金沢方面へ向かう海岸線の道に義経の舟隠しと呼ばれる景勝がある。ここはかつて、義経が追手から逃げる際に7隻だかの(あやふや、すみません)舟を隠したと伝えられている場所らしい。直接見たわけじゃないのでよくは分からないが、写真を見る限りでは海と繋がった大きなクレバス、大地である岩の裂目といった感じ。ジブリ映画「紅の豚」で見る主人公の基地の出入口のようである。
それにしても今日はすこぶる好調であった。やはり、昨日風呂に入ったのが正確だったかもしれない。休憩も2回で、あとは歩き続けた。能登沖の地震で土砂崩れがあったのだろうか、峠にはまだ工事中の箇所も多い。
富来という町のスーパーで夕飯を買って、店内の休憩スペースで夕食。近くにいい感じのバス停小屋があったので、ここで寝ようと思い、入居してベンチに腰かけると、信じられない数のゴキブリがいた。
1、2、3、4、5、6、7、8、無理である。背筋がゾクゾクして、とても居られない。自分はゴキブリが大の苦手なのだ。どうやら、このベンチの下がゴキブリのメガロポリスらしい。巣穴と思われる穴が無数にあり、そこから触角がチョロチョロとしている。堪らず退散した。
そして現在、コンビニ前で今夜の寝床を思考中。

天候
曇り
気温
朝28℃ 昼29℃ 夜28℃
歩数
59092歩
累計3377861歩
出費
飲料×6・・624円
おにぎり・・110円
パン×6・・388円
ヒレカツ・・100円
いなりずし・・210円
絵はがきセット・・473円
惣菜×3・・274円
缶ビール・・170円
タバコ・・300円
計2649円
累計444373円
食事
朝・・おにぎり、パン×4、ウーロン茶
昼・・いなりずし、ヒレカツ、コーラ
夕・・イカの唐揚げ、牛肉コロッケ、フライドポテト、缶ビール
道中・・ソフローズン、コーラ、ウーロン茶

106日目 志賀~羽咋

20070721095103
20日、6時50分起床。昨日、コンビニから近くの道の駅に移動して、そこのベンチで寝た。屋根無しだったが、大丈夫だろうと考え(決めつけ)寝ていたら、朝になって肌寒い風が吹き始め、やがてポツポツと雨が降ってきた。
どうやら、今日一日雨のようである。昨日、スーパーで買っておいたパンとジュースで朝食とし、レインポンチョを着込んで出発。何度も溜め息をついて、雨の中に飛び出すと、10分もしないうちに靴下まで水が染み込んできた。靴が浸水すると、やるせない気持ちになる。
溜め息を一つすると幸せが一つ逃げていく、と言う。誰が言ったか知らないが、それは逆だろう。幸せを一つ逃がしてしまったから、人は一つ溜め息をするのである。それは諦めの合図であり、逃がした幸せを追いかけるための覚悟でもある。面をあげて、歩きだすと横を走る車が撥ねた水が顔にかかった。頭を振り、車に一瞥くれ、歩き続けた。
この辺りでは地産地消という言葉を看板などでよく見かける。地産地消とは、地元で生産した食品を地元で消費しようという意味の呼びかけであるが、これは実にいいことだと思う。自分が生まれた場所で採れた野菜が一番自分の体に合っている、と聞いたことがある。例えば、今まで家の庭で採れた野菜を食べていたのに、気が変わってスーパーで買ってきた野菜を食べたところ、体の調子がおかしくなった、ということは現実にあるようである。そういう意味で言うと、都会に住む人間は可哀想だ。おいしいものはたくさんある。だけれど、地物というものは必然的に少ない。自分だって中途半端に開けた町が地元なものだから、地産地消には程遠い。最近、都会では体験農業やホームステイなど、農業という職業が見直され流行りつつあるようだが、食に対するこだわりというのは、地産地消、結局は自分達で作って自分達で食べる、ということに行き着くのだと思う。
そんなことを考え、去年と一昨年、自分で種とプランターを買ってきて夏のビールのつまみ用に枝豆を作ってみたが、これは両年とも不作であった。どうも自分には野菜作りのセンスがないらしい。
昼、通りがかった志賀の町でスーパーを見つけたので、ここで昼食にすることにした。店内を見て回るうちに、あれも食べたい、これも食べたい、酒も・・1本位いいか、となり、カゴの中には食べきらない程の商品で小山が出来上がったのだけれど、はたと思い直して、これはいけないと、今度は商品を戻して回った。最近、ずっとこんな調子である。店はいい迷惑だろうが、なんというか、スーパーなどに入ると、込み上げてくる欲望に一種の催眠状態に陥ったようになってしまうのだ。この前は昼食を買いに入ったスーパーで、ほとんど無意識のうちにカゴの中にヒラメの縁側の刺身と缶ビールを入れていた。
店内の休憩スペースで昼食。昼飯を食べ終ると、小説を読んで、昼寝をした。昼飯を食べたあとは、いつも眠くなる。自分は寝るのが好きで、この旅においても、平均して1日に8時間は寝ている。不眠症とは無縁だ。
目が覚めたのは夕方であった。今日の予定地は羽咋の町だから、そこから歩いて3時間程の距離だ。密かに、寝ている間に雨が止むのを期待していたが、期待は叶わなかった。濡れている靴下を履いて、準備をととのえ、店を出る。救いなのは、途中から羽咋まで自転車歩行者用の道路が整備されていたこと。これは車道に沿った歩道ではなく、国道とはまた別ルートの、いわゆるサイクリングロードというやつである。若干しけった感じの海を右手に進む。もう開き直って、水たまりで靴を洗うようにして歩いた。こうなると逆にテンションが上がって、変な笑みがこぼれてくるから不思議だ。
羽咋に到着してからは、駅の待合室で少し休憩して、寝床探しに入った。雨が降った日くらい、宿に泊まって体を温めゆっくりしたいなあ、と考えながら歩いていると、コンビニ近くに屋根がかかったバス停を発見。昨日のようなことがないよう祈りつつ入ると、まあまあいい感じのバス停である。今日の寝床をここに決め、今、就寝の準備をしている。明日も雨のようだ。

天候

気温
朝24℃ 昼24℃ 夜22℃
歩数
47801歩
累計3425662歩
出費
うどん・・198円
たこ焼き・・298円
ジュース・・50円
アイス・・52円
エクレア・・98円
タバコ・・300円
計996円
累計445369円
食事
朝・・パン×2、ジュース
昼・・うどん、たこ焼き、アイス、ジュース、エクレア
道中・・ウーロン茶

107日目 羽咋~金沢

20070722120442
21日、8時40分起床。やって来ーたぜー金沢!いやぁ、金沢ってのは思っていたより大きな町だ。そして賑やかだ。元気のあるいい町だ。観光客は多いし、若者は多いし。兼六園は閉まっていた。がっかりだ。入園料は300円らしい。繁華街を歩いてみたのだけど、安い居酒屋はあるし、キラキラネオンは輝いているし、つい長居したくなる。都市だーーー!!
けれど、居場所がなーいのさー。通りを歩く人は皆酔っ払って、仲間と肩を組んで歩いている。町がでかく、賑やかだから、一人でいるとフワフワと漂うばかりで。さっきから、郵便局の物陰に入って寝転がっているのーさー。
朝、羽咋のバス停を出発した自分はコンビニにて朝食。そこで紙パックのウーロン茶を買って水筒に詰め、一路、金沢へ向かった。霧雨だー。ここにきて、ラジオはよく入るようになったぜ。ところで羽咋はUFOの町らしい。UFO、それは未確認飛行物体。自分はUFOをタイムマシーンだと思っている。で、UFOに乗っているエイリアン。あれは宇宙人でなく未来の人間、つまり自分達の子孫だと思っている。先祖は大切に。チップ埋め込むな、どりゃー。
コンビニ前でタバコを吸っていると、変な人がやって来た。はは、トランクス一枚で鞄を提げたおっさんである。何のつもりだろうか。裸で店内をウロウロしている。その後の展開が気になったが、先を急いだーよー。裸の王様みたいだった。
裸の王様は、周りの人間に持ち上げられて、いい服を着ていると思い込んで街を闊歩するんだ。哀れなりっ裸の王様!!というわけで、おだてられても調子に乗るな。裸にされるーぜー。
犬がウーロン茶を飲んでいた。今日は変わったものをよく見るな。コンビニ前で休んでいたら、自分の前で弁当箱を開けて、おにぎりをくれると言う人がいーた。さすがに断った。
段々と道が都会っぽくなってきて、金沢に入ったのは夜。雨は止んで、いつの間にか靴は乾いていた。インターネットカフェに入ったよ。ブログを書こうと思ったら、結局ずっとユーチューブ。斉藤和義の「ウェディングソング」いーよー。キヨシロー最高!スターリン最高!ブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズ、真島昌利、鳥肌実などを見た。
店を出たのは深夜だ。外の通りでギターの弾き語りをしている人がいた。弾き語りゃーがいる街はいい街だ。数人が聴きいっていた。自分もベンチに腰かけてさ、聴いていた。見ていた。
淑女、紳士、和服、洋服、ネオンネオン、トンカツ、ラーメン、銀行、ユニクロ、美人、お洒落、酔っ払い、シダックス、ビッグエコー、アコム、アイフル、雑貨屋、コスメティック、無印良品、焼き鳥、座り込み、ナンパ、BGM、パチンコ、笑顔、自転車、仕事帰り、タクシー、コンビニ、傘、吸い殻、ベンチ、キャハハ、マジで、ズンズンズン、パーッ、もしもしぃ。
自分が見た金沢はこんな感じだったーのさ。その中を通り抜けた。眠らぬ町、金沢に幸あれ。

天候
雨のち曇り
気温
朝23℃ 昼23℃ 夜22℃
歩数
62499歩
累計3488161歩
出費
タバコ×2・・600円
パン×4・・200円
ウーロン茶・・100円
おにぎり・・105円
カップラーメン・・188円
缶ビール・・135円
マック代(メガマックLセット、ハンバーガー、マンゴーパイ)・・830円
インターネットカフェ代・・1300円
計3458円
累計448827円
食事
朝・・おにぎり、カップラーメン、ウーロン茶
昼・・パン×4、ウーロン茶
夕・・マック(メガマックLセット、ハンバーガー、マンゴーパイ)
夜・・缶ビール、フリードリンク、ポップコーン
道中・・ウーロン茶

108日目 金沢~加賀

20070723200336
22日、7時40分起床。郵便局の物陰で目を覚ますと、何故か知らぬが、それを待ち構えていたかのように「おはようございまーす」と、募金ウーマンがやって来た。能代だったか、パチンコ屋の外で待ち構えていた募金と全く同じである。袋に入れられ、小分けされた靴下やハンカチなんかを買ってくれと言う。いや、正確なやりとりの表現をすると
「お兄さん、今ね私達(自分より年下風の女性二人、共にリュックを背負い、化粧っ気はない)、アフリカで恵まれない方達を助けようという活動をしてるんですけど、ここにある靴下やなんかを買ってくれませんか?」
「はぁ」
「皆さんに募金して頂いていて、こうやって色々なものが(言いつつ、その靴下なんかを見せ、その一つを差し出す)」
「いやいやいや、すみませんが遠慮させて下さい」
「色んなのがあるんですよ」
「いや、いいです、結構です」
「・・お兄さん、今日はこれからどうされるんですか?」
「今日?今日はどこかへ行きます」
「そうですか、(立ち上がって)ありがとうございまーす」
「(横で見ていた女性)ありがとうございまーす」
そして、二人してスタスタと去っていった。
これは何なんだろう。なんか、全国に支部がある募金集団か、宗教団体であろうか。こんなでかい組織なら、自分達で働いてその金を送れば十分だろうに、わざわざ靴下やハンカチなんてものに置き換えて募金する狙いはなんなのだろうか。しかも、気になるのが彼女達は言葉は丁寧だが、どこかやっつけ仕事で、まるでノルマ仕事のようにそれをこなしているところである。しっかりと教育されているのか、細かなマニュアルがあるのか、本当に全く前回と同じ雰囲気であった。もう出会うこともないだろうが、今度あったら話を聞いてみたい。
今日の目標地点は加賀の町である。金沢から加賀に向かう途中で、いくつか気になるものを見た。
一つは九谷焼き。九谷焼きとは、瀬戸物、と言ったら語弊があるんだろうか、有名な焼き物の産地だが、ははあ、こんなところにその九谷の町があることを初めて知った。町の所々に九谷焼きを売る店がある。
もう一つは安宅の関。安宅の関と言ったら弁慶の勧進帳で有名であるが、これもこんなところにあるとは知らなかった。見てみたい気もあったが、自分が歩いている国道から8kmも横道に入って行かなければならず、やめた。
そして、この人の名前もよく見たな。松井秀喜。世界の松井は、石川の英雄なんだね。そこら中に松井秀喜何たらとか、松井秀喜どうのこうのバッティングセンターといった看板があった。
あと、この辺りの国道は市街地が多く、それに伴う食事、エンターテイメント、酒などの誘惑には参ったな。つい、吉野家に入ってしまった。
夜、ついに道路標識に敦賀の文字を捉えた。ここまでくればフェリーターミナルまで、あと少し。気合いが入る。加賀の町のコンビニで缶ビールを買って、一人乾杯し、さらに移動。手頃なバス停小屋を見つけ、そこで眠。

天候
曇り一時雨
気温
朝22℃ 昼23℃ 夜22℃
歩数
60325歩
累計3548486歩
出費
飲料×3・・297円
タバコ×2・・600円
おにぎり×3・・405円
パン×2・・100円
カップラーメン・・150円
ポテトチップス・・124円
缶ビール・・195円
乾電池・・105円
牛丼大盛・・480円
計2456円
累計451283円
食事
朝・・おにぎり×2、パン×2、カフェオレ
昼・・おにぎり3個セット、カップラーメン、ウーロン茶
夕・・牛丼大盛
夜・・缶ビール、ポテトチップス
道中・・ジュース×2、ウーロン茶

109日目 加賀~三国

20070724130138
23日、7時半起床。さすが、梅雨である。朝起きると、雨は降っていないのに、非常に湿気が多く、服などは微妙に湿っていて気持ち悪い。歩きだすと、そのうちに乾いた。
8時48分、福井入り。
やっと石川を抜けた。敦賀まで、あと100km位だろうか。ラジオからは「木綿のハンカチーフ」が流れてくる。太田裕美のものではない。スピッツの草野正宗がカバーしたらしい。この曲も好きな曲だ。OUT LOWというバンドもこの曲をカバーしているが、こちらはパンクバージョンになっていて、好き嫌いはあるだろうが自分はこれが一番好きだ。
夏休みが始まったのか、少年少女が自転車で元気に走り抜けていく。空も雲は多いが、雲と雲の間から太陽が顔が覗かせ、夏だと訴える。
暑い。
夏だ。
今日の目標地点は三国。自分は今日という日を楽しみにしていた。三国と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろう。三国コカコーラ?違う違う。周りに競艇好きがいたら、聞いてみるといい。10人中9人は、三国競艇と答えるだろう。芦原なんて地名にも敏感になる。というわけで、自分はこの旅最初の競艇を青森辺りからずっと楽しみにしていたのだ。近くに芦原温泉という温泉郷があったので、ここで温泉に浸かり、コインランドリーで下着からズボン、スウェットまで全て洗濯して、身と衣を清め向かった。久しぶりにTシャツがいい匂いをしている。
結果、パンパカパーン!7500円の負けである。負けかよっ!いやぁ、この旅中のギャンブルは本当におかしい。今日なんかだって、2着を走っていた舟が最終周回で5着に落ちたりして変な外れ方ばかりである。神がかり的に負け続けているような気がする。
ただ、今日は三国の現地開催ではなく、住之江ナイターの場外発売で迫力に欠けていた。ギャンブルは現地開催に限る。入場客もまばらであった。明日から地元で、といっても群馬だけど、桐生競艇でSGオーシャンカップが始まるらしい。競艇の最高峰であるSG戦だ。自分は、ある女性と初デートの際、戸田競艇という競艇場にその女性を連れて行き、競艇場内の吉野家で牛丼をおごって呆れられたことがあるから、男子諸君、初デートに競艇場はやめた方がいい。でも、それ以外の老若男女は明日から桐生競艇にGOだ!スタンドは最近、綺麗に改装されたから快適だ。山崎は出るんだろうか、江口は、もちろん出るんだろう。ポスターに写真があったもの。どうぞ皆さん、水上の格闘技を御堪能あれ。もれなく、うちの親父とも会えるだろう。6日開催だからね、最終日の決勝戦は混みすぎるから、やめた方がいい。
夜、たこ焼き屋でたこ焼きをつまみに瓶ビールを飲んだ。お好み焼きなんかも出来る店で、テーブルには鉄板があるのだけど、鉄板を前にして鉄板を使わず、一人でビールとつまみをやっているのは寂しいもんだ。隣は2対2の若い男女だし。後から来た夫婦客に鉄板を譲り、自分は店の隅にあった椅子に腰かけ、ちまちまとやった。
親からメールが来て、思うところがあり、それをメモ帳にダーッと書き綴ったが、あまりに長いのでここに書くことを憚れる。ただ一言、親というのは偉大である。今日世話になったコインランドリーに移動して、そこで寝ようと思ったが、深夜に関わらず、いや深夜だからなんだろうか、おっちゃんが店内を掃除しに来て、その様子が言葉でなく態度で「出てけ」と言っていたので、退出。少し歩いて、バス停小屋に入り即眠。

天候
曇り一時雨
気温
朝22℃ 昼28℃ 夜22℃
歩数
32870歩
累計3581356歩
出費
郵便証紙・・200円
パン×2・・388円
カップラーメン・・198円
冷やし中華・・72円
オクラとめかぶサラダ・・99円
飲料×2・・178円
風呂代・・500円
コインランドリー・・400円
タバコ・・300円
発泡酒・・170円
競艇代・・7500円
たこ焼き・・350円
瓶ビール・・400円
計10755円
累計462038円
食事
朝・・カップラーメン、ハムエッグサンド、メロンパン
夜・・たこ焼き、瓶ビール
道中・・ジュース、コーラ、発泡酒、水

110日目 三国~越前

20070726004921
24日、7時40分起床。バス停にて目を覚ます。後、近くのコンビニに移動し、昨日買っておいたものを食べた。
ある人からメールがあって、あの靴下募金のことであるが、やはりあまりいい集団ではないらしい。やはり、と言うのは自分でも薄々とその胡散臭さを感じていたからで、なんだかなあ、虚しいよな。あの彼女達だって、恐らく被害者なんだろう。世の中のための募金です、なんて言われれば、心優しい人間は従ってしまいかねない。
ちょっと話は違うだろうけど、ねずみ講という詐欺がある。あれだって儲かっているのはトップの人間だけで、下にいる人間というのは儲かると騙され、「皆やってるから」なんてそそのかされ、同級生名簿なんか引っ張り出して友達を裏切る羽目になり、結局借金まみれ。だいたいそんなところである。
騙される方が悪いという意見もあるかもしれないが、騙された人間だって、そんな悪と出会わなければ健全に生きていた人間なのである。
自分の高校時代の仲間に、その組織と人を騙す罪悪感と借金に挟まれ潰され、組織はなかなか辞めさせてくれず、挙句自分で命を絶ってしまった人間がいるが、そいつはただ馬が好きで牧場で働いていた真面目な奴だった。言葉巧みに騙されてしまったんだね。
騙す人間はいなくならない。ただ、騙されないようにするしかないのだ。そして騙された人間は、自分が騙されたからといって、人を騙してはいけない。
しかしなあ、テレビだって人を騙す時代だよ。去年の納豆騒動、そうだよ、あれは悪質な騙しだった。視聴率に魂を売りやがって、なんだ!ああ、段々腹が立ってきた。納豆食えんかったやないけ!何がダイエットじゃ!何がよく掻き混ぜた方が痩せるじゃ!騙したのどいつじゃ!騙した奴の家のトイレを納豆で詰まらせてやりたい。え?あたしは亭主に騙された?亭主だってあんたに騙されたと思ってるよ!
ああ、疲れた。自分は疲れてしまった。もう騙しの話はやめよう。ロックンロールを聴こう。ロックンロールに騙されたいんだ。
道の駅で休憩していたら、目の前で子供達が
「ブンブン、バイク」
「ブンブン、3台」
「ちげーよ、2台だろ」
「ブンブン!」
なんてやっていた。売店からはウルフルズの新曲が流れてくる。
♪なんだか泣けてくる思わず泣けてくる
って曲。ウルフルズっぽい、いい曲だ。
三国には東尋坊という観光名所があり、これは見たかったのだが、すっ飛ばしてしまった。
少し前から、ファミリーマートをよく見るようになった。福井県限定の雑誌にコンビニ意識調査で「好きなコンビニランキング」があったので、ここに転載。失礼。
ローソン・・44%
サークルKサンクス・・19%
ファミリーマート・・16%
ミニストップ・・13%
セブンイレブン・・6%
オレンジボックス・・3%
さすがローソン。セブンイレブンが弱いなという印象を受けた。
夕方、綺麗な夕日。思わず、「消えないで夕日」と言った。多分、次のトンネルをくぐり抜けた時はもう沈んでしまっているだろう。この旅で、そんな事が何度かあった。
夜、今日の目標である越前に向け歩いていると、電光掲示板に「この先、落石のため全面通行止め」とある。迂回していては間に合わない。こりゃあ、最後の難関、どんでん返し。とかく、物事というのは終盤に来て障害が現れる。急がば回れ、と言うが回っている暇はない。強引に進むと、なんとかなった。強引にやれば、大概のことはなんとかなるもんである。道路脇の林で猿がキーキー鳴いていた。威嚇されていたのかもしれない。
深夜、越前の町に到着。ここら辺はカニ屋が多いが、なるほど、越前というのは越前ガニの産地であった。越前ガニってのは、ズワイガニなんだろうか。松葉ガニもそうだが、ズワイガニと似ているけど違うのかな。店先に並んでいるのは小ぶりなものばかりだ。
コンビニで発泡酒とつまみを買って、近くのバス停小屋で飲食、そのまま眠。

天候
晴れ
気温
朝21℃ 昼31℃ 夜22℃
歩数
63468歩
累計3644824歩
出費
タバコ×2・・600円
ジュース×4・・471円
刺身丼・・630円
缶ビール、発泡酒×2・・657円
串カツ・・315円
おにぎりセット・・158円
カレーパン・・158円
焼き鳥・・208円
スナック菓子・・126円計3323円
累計465361円
食事
朝・・冷やし中華、ソーセージパン、オクラとめかぶサラダ、ジュース
昼・・おにぎりセット、串カツ、カレーパン、発泡酒
夕・・刺身丼、缶ビール
夜・・焼き鳥、スナック菓子、発泡酒
道中・・ジュース×4、水

111日目 越前~敦賀

20070726210327
25日、4時20分起床。蚊が凄まじい。寝袋に入り、出来るだけ顔の部分の紐を締め、露出度を低くするものの、息をするために僅かに開けてあった穴から蚊が侵入。唇を刺された。唇まで刺す蚊が憎たらしい。ぶっくりと腫れてしまった唇を我慢して寝袋に潜っていると、今度は寝袋の中が蒸れて汗をかきはじめた。もう寝ていられない。
まだ暗い早朝、荷物をまとめ、近くのコンビニへ。トイレの鏡で腫れた唇を確認しつつ、朝食を買って、レジのおばちゃんと話をしていると、この辺りは特に蚊がすごいのだと教えてくれた。目を刺されると大変だ、と言っていたが、目ん玉を刺す蚊もいるのだろうか。アイスで唇を冷やし、朝食を食べているうちに空は明るくなりはじめ、自分は歩き始めた。ここは漁師町で、町にはもう人が行き交っていた。
今日はもう安心である。敦賀までの道のりは40kmを切っている。早朝からの移動ということもあって、途中のバス停で休憩したりしながら、ゆっくりと進んだ。
昼前、通りかかった温泉に入っていくことに。ここが実に居心地が良かった。あまり人がいないので、風呂もだだっ広い休憩所も使い放題である。そこでカレーライスを食べて寝転がっていると、店員のおばちゃんがやって来て言う。
「お兄ちゃん、コガネムシあげよか、コガネムシ」
そう言いながら近づいてきて、グーにしていた左手をそーっと開いた。と、そこにいたのはコガネムシではなく玉虫である。
「あ、それ玉虫じゃないですか」
「え、これ玉虫っていうの」
「そうですよ」
「コガネムシって、どんなん?」
「コガネムシってのは、もうちょっと丸くて、そんな虹色みたいじゃないですよ」
「そうなん・・あげてこ」そう言って、おばちゃんは玉虫を握った左手を動かさぬようにして、どこかへ行ってしまった。
久しぶりに「笑っていいとも」を見た気がする。温泉の休憩所にネスカフェの自販機があったので、ここでキットカットを買った。このネスカフェの自販機は地元では見たことがないのだが、旅中に何度も見かけ、その中でジュースと並んでキットカットが190円で売っているので、それを見る度にいつも食べたかったのだ。
海沿いを通る10kmほどの有料道路を歩く。有料道路を歩くと、人はいくらになるのだろう。料金表に値段がないので、とにかく歩いてみて、中間にあった料金所に辿り着いてみると、人はタダであった。歩いてみるもんだ。
夜、また難関。と言うよりか、この旅における最大の危険箇所であった。外灯がない海沿いの国道。歩道はなく、交通量は多い。特にトラックがひっきりなしに走っている。トンネルも多い。
自分は挫けそうだった。いや、挫けて正解である。あれは人が通る道ではない。タクシーを呼ぼうと思ったが、最後の最後、フェリーターミナルまであと8kmなのである。悔しくて、呼べない。壁にはりつき、ガードレールを跨ぎ、崖と車に注意しながら、自分を追い抜いていく車のヘッドライトを頼りに進んだ。
途中にコンビニがあり、ここで買い物。自分は今歩いてきた道の恐怖がぬけず、食べきらないほどの食料を買ってしまった。ストレスによる衝動買いである。店の前に座って夕食にしていると、見知らぬおじちゃんに声をかけられた。「ビール飲まんか」と言う。
おじちゃんに言われるがままついていくと、車に案内され、ビールとつまみを出してくれた。定年退職して、広島から夫婦で旅をしているとのこと。歩いている自分を見かけ、声をかけてくれたようだ。仕事を定年退職して、車で全国をまわっているという夫婦は意外と多い。そこで話し込んでいると、奥さんのほうが自分にライトをくれた。
1時間ほどして別れたが、なんだか自分はこの一件が不思議なことのように思う。自分に必要なものをくれたのだ。びびっていた自分に酒と、暗闇を照らし、車に自分の存在を知らすためのライト。もしかしたら、あの夫婦は仏様の化身で、今頃「やれやれ、手を焼かせる」かなんか言っているんじゃないだろうか。そう思いながら歩いた。
23時半、敦賀港着。乗船手続きをして船に乗り込むと、売店で小説を買って、2等寝室で横になった。明日の20時半、北海道苫小牧東港に着く予定である。船が出航すると、エンジンの小刻みな振動が心地よく、すぐに眠りについた。乗客は、それほど多くないようである。

天候
曇り
気温
朝23℃ 昼26℃ 夜26℃
歩数
51753歩
累計3696577歩
出費
飲料×5・・620円
おにぎり×3・・320円
アイス×3・・275円
パン×5・・565円
タバコ×2・・600円
カップラーメン・・176円
菓子×3・・400円
風呂代・・500円
ゲーム代・・100円
カレーライス・・750円
小説・・480円
計4786円
累計470147円
食事
朝・・おにぎり×2、メロンパン、アイス、ウーロン茶
昼・・カレーライス、コーラ
夕・・カップラーメン、おにぎり、アイス、コーラ、ちくわ、カクテキ、缶ビール×2
道中・・アイス、キットカット、ジュース×2、ウーロン茶

112~115日目 結婚式

20070730225131
※112日目から115日目までの4日間は、結婚式とまとめて書こうと思います。

26日昼、船の中で目を覚ました。自分がいた部屋は2等室と呼ばれる一番低級の部屋で、一部屋に16人が足を向けあい対になって寝る雑魚寝スタイルの部屋である。雑魚寝と言っても、一人ずつ枕と毛布があてがわれ、下はカーペットなのだから、自分には上出来の寝心地だった。
2等室がある一階から二階への階段を上り、窓から外の景色を眺めると、陸地は見えず水平線ばかりが広がっている。天気がいい。今は秋田の横ぐらいを走っているのだろうか。
青森、秋田、山形、新潟。自分がこの1ヶ月半歩いてきた本州を今、逆戻りしている。自分が歩く何倍ものスピードで遡っていく。深い青をした海を割るようにして船は進む。真っ白な水しぶきがあがり、船が通った跡は飛行機雲のような余韻を残していた。
昼飯に昨日買ったパンを食べる。昨日のあの衝動買いが良い方に転がり、船の中では全くお金を使わなかった。ただ、船内にある売店や食堂が別段高いわけでもない。700円払えば、水平線を眺めながらの風呂にも入れるのだ。無料の映画上映はあるし、エントランスなど高級感があって、とても快適な空間である。
船内では小説を読んだり、寝たりを繰り返して、苫小牧東港に着いたのは20時半。この時、自分の携帯電話に異変が起こった。メール機能が使えない。これは・・故障だ。参った。港に迎えに来てくれたN君とは無事落ち合えたが、なるべく早く携帯電話を買い替えなければならなくなった。
N君は、北海道の鵡川町という所で牧場を営む大学からの友人である。自分は彼に、大学時代からこの旅に至るまで大変な世話になっている。大学時代はしょっちゅう酒に付き合ってもらい、大学を離れてからは鵡川の名産であるししゃもを酒のつまみに送ってもらって、この旅においては札幌や小樽で酒を奢ってもらい、たらふく飲んだ。なんだか酒ばかりの付き合いだが、とにかく自分は彼に頭が上がらない。今回の結婚式でも、自分はほとんどの時間を彼と過ごすことになっており、彼の家にまで泊まらせてもらうことになっている。その家は祖父母の家だが、今は使っていないので気楽にやってくれとのこと。N君は自分に、今朝捕れたというカニと、同じ大学のサークル仲間からもらった夕張メロンを持ってきてくれ、二人で宴を催した。北海道の夜は、湿気がなく涼しかった。

27日。N君の家に、おかんに頼んでおいたスーツが届いていたのだけど、その荷物の中にカロリーメイト、飴、粉末のポカリスエット、ウィダーインゼリーなど、多量の食料も入っていて、気持ちは嬉しいのだが、これには困った。自分のリュックにこれを入れるスペースはないのだ。このまま送り返すのは気が引けるし、今は食べきらないし、どうしたものか。
今日は、N君に苫小牧の町まで買い物に付き合ってもらった。昼までに仕事を終わらせて、車を出してくれたのだ。何ヶ月ぶりになるのだろうか、肩まで伸びていた髪をバッサリ切って、この旅3足目の靴を買い、一緒に結婚式のプレゼントも買った。このプレゼントは、自分とN君、そして卓ちゃんと3人合わせてのプレゼントで、Wiiというゲーム機とソフトを買ったのだった。
夜、今日もN君と飲み。昨日は、とりあえずの宅飲みであったが、今日は結婚式前夜祭という名目である。近所の寿司屋を予約して、刺身の盛り合わせをつまみに日本酒でやった。N君なんか豪快なもんで、店員を呼んでウニの握りを10カン頼み、半分を自分にくれた。昨日も今日も、全てN君の奢りである。
これほどの人物であるN君だが、何故か恋人に恵まれない。二人の話題のほとんどはその話で、自分はN君に見合う女性が早く現れないかヤキモキしているのだが、出来る限りの協力をするという話にまとまって、この夜はお開き。その実戦として、自分は店員の女の子に声をかけるなどしたが、結局二人でN君の家に戻り、明日の朝早いからと言うN君を母屋に見送って、一人で寝た。

28日、結婚式当日。北海道全域で、朝から激しい雨が降ったようである。自分は遅くまで寝ていたから気づかなかったが、途中で電車が止まってしまって、このままでは式に間に合わないという参列者もいるらしい。N君から電話があり、これから急いで仕事を終わらせて、それらの人を迎えに行くという。自分もその車に乗り、そのまま式場入りすることにして、急いでスーツに着替えた。
式場は静内という町にある。鵡川からは日高地方を襟裳岬方面に車で1時間半ほど行ったところだ。まず、車はそれとは逆方向の苫小牧に向かい、参列者の一人を乗せた後、静内へ向かうことになった。本当は卓ちゃんも苫小牧からこの車に乗るはずだったが、都合上、彼は汽車で静内まで来ることになった。
静内へは、当初思っていたよりも早く到着。17時からの式を前に、空いた時間で自分は携帯電話を買い、母校である高校を訪問した。全くの偶然だが、自分が通っていた高校はここ静内にある。久しぶりの厩舎や寮を少し見てまわった。懐かしい人、そして馬がいた。
実は自分は、友人の結婚式に出席するというのは初めてのことである。なんだか場の雰囲気に慣れず、こっちまで緊張してくる。北海道の結婚式は会費制とのことで、受付に会費を渡して会場に入ったものの、会場内はなんだか大人の社交場といった雰囲気で、自分など場違いのような気がしてくる。ますます緊張して黙っていると、やがて式が始まった。
式は、挨拶から乾杯、余興へと流れていき、キャンドルサービスなどに至る頃にはすっかり自分も馴染んで、その幻想的な世界に酔っていた。新婦から父親への手紙には思わず泣いた。だいたい自分は、こういうことに対して感情移入し過ぎの傾向があり、泣き虫である。
式が終わり、二次会。式場となった同じホテル内に会場が設けられ、そこへ移動。用意されていたお寿司やお酒を飲みながら、新郎新婦を交え、今日出席した大学時代の仲間とたくさん話をした。誰かが「また集まりたいね」と言った。自分もそう思う。そして近く、またこのメンバーで会えそうな気がする。
それからは酷いものだった。何が酷いかと言うと、卓ちゃんと自分である。卓ちゃんと自分にとって、この静内は高校3年間を過ごした町であるから、皆よりも思い入れがある。周りは自分の部屋へと戻ってしまったが、二人はいつまでも騒いでいた。N君を説得して、ラーメンを食べに行くか行かないかで、3時間くらい騒いでいた。

29日。皆、結婚式場となったホテルで用意されていた部屋に泊まっていたので、朝食でまた顔を合わせた。改めて新郎新婦に祝福の言葉を、そしてお礼を言った。大学の頃から恋人同士であった二人の姿はあまり変わらない。この二人は6年前からいつも、周りに温かなオーラを振り撒き続けている。結婚ってやっぱり、少し、羨ましい。
朝食を終え、荷物を整理すると、お別れの時間。新居の話を少ししたら、今は二段ベッドで寝ていると話して笑っていた。二人に見送られ、ホテルを後に。N君の車に5人が乗り込み、出発した。皆、これから空港、駅、自宅、そして自分は港と、それぞれに散らばって帰っていく。ドライブをしながら、ゆっくりと回り、一人、また一人と車からいなくなっていく。札幌の自宅に卓ちゃんを降ろすと、ついに車の中は自分とN君だけになった。
自分はN君に「大学へ行ってみようか」と言った。
「そうだな」とN君。
大学。そこは新郎新婦を始め、ついさっきまで車に乗っていた5人、皆が出会い、過ごし、苦悩し、恋をして、時に恋にやぶれ、「将来」なんて簡単な言葉では一括りに出来ない、もやもやした闇の中をそれぞれに突っ走ってきた場所である。
大学に着いて、門をくぐり、車を止めて、構内を歩いていると、熱いものが胸に込み上げてきた。N君も同じような気持ちだったのだろう。「泣きそうだ」とポツリと漏らした。自分はN君が泣いたところを見たことがない。
いつも通っていた学食、中央館、講堂。林の中の近道、裏道、坂道。よく釣りをした池。仲間と別れる交差点。サッカーをやった芝生広場。駐車場。だいぶ変わったところもあるけど、そこを歩いていると、今にも昨日結婚した二人が現れて、自分達を学食にでも誘ってくれそうである。
「また幻想だ」と自分は言った。
その後も、世話になった下宿や、遊びまわった駅前通りを見て歩き、よく食べにいったチェーン店のラーメン屋で夕食にした。
苫小牧からフェリーが出るのは23時40分である。一旦、鵡川に戻り、スーツなどをまた段ボールに詰め、実家に送り返す段取りをして家を出た。おかんからの食料は、持てるだけ持った。港までの車の中でウルフルズの新曲を聴く。

♪なんだか泣けてくる
思わず泣けてくる
明日も頑張ろうぜ
って笑って歩きだす

フェリーターミナルに着くと、N君にお礼を言って握手を交わし、「サンキュー!」と堀内孝雄の物真似をして、自分は船へ向かった。
しかし、船に向かった自分は、3階にあるゲートの前に立って愕然とした。船とターミナルを繋ぐゲートが閉まっていたのだ。どうやら、自分が乗るのが遅すぎたらしい。ドアには鍵がかかり、そのずっと奥で係員が出航の準備をしていた。自分は、鍵のかかったそのガラス戸をドンドン叩き、「うおーい!その船待ってくれー!!」と叫んだ。その様子に気づいた係員が連絡してくれたのか、やがて2階の方から鍵を持った係員が現れて、一度切り離した乗降口をまた船につなげてくれた。自分は「すいません、すいません」と謝りながら乗船した。危ないところだった。
N君に手を振ろうと、自分の部屋を確認した後、甲板に出ると、N君の車はもうなかった。寂しかった。自分の横にいた人などは、見送る人達に手を振って「バイバーイ!バイバーイ!」などとやっている。自分もそれがやりたかったのだ。急に夜風が寒く感じて、船内へと戻った。
敦賀到着は明日の20時過ぎである。2等室で横になりながら、昨日買ったばかりの携帯電話をいじくっている内に眠りについた。

『S君夫妻と、この4日間に関わってくれた皆にお礼を言いたいです。ありがとう。また会いましょう』

4日間の出費
タバコ×4・・1200円
ジュース×4・・556円
宅急便代×2・・3480円
ラーメン×2・・1530円
ゲーム・・100円
結婚式会費・・10000円
携帯電話・・13380円
雑費・・1円
靴・・2890円
床屋代・・3900円
プレゼント代・・10000円
ハンバーガーセット・・400円
ハンバーガー・・100円
土産代・・3000円
競艇代・・2000円
計52537円
累計522684円
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プロフィール

高沢 里詞

Author:高沢 里詞
埼玉県行田市出身
S57・12・7生
26歳♂
B型
パンクロッカー・詩人
行田秘湯の会会長
S・O’S(スーパーアウトドアーズ)部長
行田不毛の会会長
行田死語の会会長

注※どの会も新規会員募集は行っておりませんが、もしも会員になりたい方がいましたら密談でどうぞ。

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