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117日目 敦賀~小浜

20070801180543
31日、8時起床。さあ、今日からまた本格的に歩こう。敦賀の町中のベンチで目を覚まし、歩き出す。苫小牧で買い替えた靴は安物のランニングシューズだが、まあまあ調子がいい。それまで履いていた靴は、ソールはまだ少し余裕があったのだが、右足の爪先部分に穴が空いてしまったので交換した。ナイキメトロプラス、これも安い靴だが、持ちのいい靴だった。殿堂入りとなって、スーツと一緒に実家へ送った。
地図を見て、だいたいの今後の予定を立てる。すると、改めて気づいたことがあった。今、自分がいる場所からは琵琶湖がすぐそこである。名古屋も近い。これまでは敦賀に集中して進んでいたので気づかなかったが、明日にも京都入り出来そうなのである。
知らなかった。京都なんて、関東に住む自分には、だいぶ西のイメージがあったから、まだまだ先だと思っていたけど、そんなところまで来ていたんだ。どうも自分は東海以西の地理に弱い。しかし、このまま行けば8月中にも九州に入れそうである。
嬉しいことに、この辺りまで来てミニストップをよく見るようになった。ミニストップには休憩スペース(最近知ったんだけど、この休憩スペースのことをイートインと呼ぶらしい)があって、ここで涼みながら休憩出来るので助かる。夏の暑さが一層厳しくなり始めているからね。エルニーニョ現象とか、ラニーニャ現象だとか言うらしいけど、中でも一番危険なのはチリからやってくるというアニータ現象である。数年前に青森を襲った。全くひどい熱中症があったものである。
それはさておき、昼飯に「へしこそば」というそば屋を見つけ、うっわ、いいな、へしこそばって有名ちゃうの、ざるそば食ったろ、と思って道の駅風の建物に入り、中を端から端まで見てまわったのだけど、肝心のそば屋が見つからない。土産売り場の店員に「そば屋はどこですか?」と聞こうと思ったんだけど、そば屋の中でそば屋はどこですか?なんて聞くのもまるで阿呆な話なのでやめ、外かなと思い、外に出て看板を見ると、さっき見たはずの看板に、へしこそばでなくへしこさばと書かれてあった。え?と思って、建物の中に戻ると、土産売り場にさばの漬物みたいのがたくさんあって。ショックだったな。
それ以外も、何もない道の途中でバス停小屋を見つけたので、ちょっとここで休憩しようと思ったら、中に張り紙があってね。
一、ここで寝泊まりをしてはいけません。
一、ここで食事をしてはいけません。
一、ここでタバコを吸ってはいけません。
以上の規則を守らなかった場合、警察に通報します。
と書かれてあって、全部引っかかる自分は逃走した。
心なしか、行き交う人々の言葉のイントネーションが、関西弁、というか京都弁っぽくなってきたような気がする。おっとりした感じだ。急にそうなったようだったから、どこかに明確な境界線でもあるのだろうか。正月の餅は、関東の角形と関西の丸形で地域にきっちり境界線があるらしいから、そんな感じなのかもしれない。そういうラインを推測しながら歩くのも、また楽しい。
三方という町から小浜まで、海沿いの道を歩く。夜道を歩いていると、両脇の林の中で猿がキーキー鳴きながら、ガサガサやっているのが聞こえる。交通量極小の真っ暗な山道で、月明かりだけが冴えている。こういう時は一人肝だめし状態である。また、墓場が多いんだ。どうも、ゲゲゲの里詞です。
くっだらない。
新しい携帯電話はウォークマン携帯で、試しに落としてみた着うたフルのウルフルズ新曲を一曲リピートの超ヘビーローテーションで聴きながら、トンネルの中で発声練習などしている。
深夜、小浜着。町外れのバス停小屋で眠。

天候
晴れ
気温
朝21℃ 昼30℃ 夜22℃
歩数
59762歩
累計3763229歩
出費
ジュース×3・・330円
パン・・105円
おにぎり×3・・310円
タバコ・・300円
タコ飯・・450円
ところてん・・98円
ちくわ天・・42円
ソースカツ・・157円
スナック菓子・・100円
発泡酒・・203円
計2095円
累計525324円
食事
朝・・おにぎり×2、コロッケパン、カフェ・オ・レ
昼・・タコ飯
夕・・ところてん、おにぎり、ちくわ天、ソースカツ、スナック菓子、発泡酒
道中・・ジュース×2、水
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118日目 小浜~高浜

20070803154323
8月1日、9時起床。朝からものすっご暑い。その暑さで目を覚ますと、バス停小屋の前をおばちゃんが通り過ぎていった。小屋脇の柵に布団を干しにきたらしい。挨拶すると、会話が始まった。
そのおばちゃんが言うには、昨日の夜、自分が通った道には猿だけじゃなく猪や熊も出るらしい。ここに来ても熊である。猪は突進してくるというし、ちょっと自分は本州の山道をなめていたかもしれない。
今日は舞鶴まで行こうと決め、歩き始めた。この炎天下でも、夏休みの少年少女は元気に駆け回っている。大人はあまり歩いていない。何故、大人は出歩かないのだろう。それは決まっている。暑いからである。では、翻って、子供は何故暑いのに外を走り回るのだろう。不思議じゃないか。子供だって暑いのは暑いのである。だのに、何故外に出て走り回るか。子供は太陽の子であると言う。うなづけるな。でも、ほんなら、自分は何の子か。太陽の子が大人になり、自分は何になった。英語で息子のことをサンて言うね。太陽もサンだ。何か関係あるんだろうか。
ミニストップに寄って、しばらく休憩スペースでダラダラやっていた。道路に孵化する直前のセミがひっくり返って、もがいていたので、「バカだな。何年も土の中にいて、せっかく出てきたのに、ひっくり返って干からびたら笑いもんじゃないか」とセミに情けをかけて、草むらに戻した。
夜、偶然、花火大会がやっていたので立ち寄った道の駅から眺めていた。今シーズン初の花火大会である。そこの道の駅は、風呂もある道の駅で、椅子に腰かけながら花火を見、風呂に入ろうか悩んで、携帯をいじくっていた。
友達から電話があり、携帯電話をウォークマン携帯に変えたのなら、いいサイトがあるということで、そのサイトを教えてもらった。
このウォークマン携帯だが、実にいい。自分は今日、ついつい十数曲を落としてしまったのだが、その曲の一覧をここに。
アナーキー・イン・ザ・UK/セックス・ピストルズ
サタデイ・ナイト/ベイ・シティ・ローラーズ
JAM/ザ・イエローモンキー
ええねん/ウルフルズ
サムライソウル/ウルフルズ
のうぜんかつら(リプライズ)/安藤裕子
多摩蘭坂/RCサクセション
明日からではなく/ガガガSP
歩いて帰ろう(弾き語りver.)/斉藤和義
ウエディング・ソング/斉藤和義
駆け抜けて性春/銀杏BOYZ
タリホー/ザ・クロマニヨンズ
ハリケーン・リリ,ボストン・マリ/AAA
プリズム/YUKI
以上、14曲だった。
泣けてくる/ウルフルズ
と合わせて15曲になる。明日からこの曲達を聴きながら歩けるかと思うと、笑みがこぼれてくる。1曲315円であるから、10曲買えばアルバム1枚分の値段である。そこがネック。ガガガSPなんか「卒業」が欲しかったんだけど、なかったんだよな。自分は銀杏BOYZ「駆け抜けて性春」の峯田とYUKIの掛け合いが好きでね、ああ、こういう話をしていると尽きないな。とりあえず、好きな曲をたくさん落とした。
で、そんなことをしてたら時間が深夜0時をまわってしまって、もうその道の駅でそのまま寝ることにした。洗面所で歯をみがいて、頭を洗って、体を拭いて、洗濯物を洗って、粉末のポカリスエットを水筒に作って、つまり、水まわりの用事を全てそこで済ませて、寝る準備。さすが道の駅だけあって、ベンチにはすでに先客もいる。空いていたベンチに洗濯物を干して、そこで眠。

天候
晴れ
気温
朝28℃ 昼31℃ 夜28℃
歩数
31857歩
累計3795086歩
出費
飲料×3・・341円
カップラーメン・・176円
パン×3・・203円
おにぎり×4・・399円
発泡酒・・140円
タバコ・・300円
計1559円
累計526883円
食事
朝・・おにぎり×3、パン×2、緑茶
夕・・おにぎり、パン、カップラーメン、発泡酒
道中・・麦茶、ジュース

119日目 高浜~舞鶴

20070803192853
2日、10時20分起床。うむむ、今日は朝から風が強い。道の駅から歩き出し、とにかく朝食、と思い、コンビニを見つけ次第、入店した。
ミニストップじゃないから休憩スペースがない。仕方なく、コンビニ前で食べるかと外へ出ると、日差しがやばい。立ち食いでいいから店内で食べさせてもらいたい気分だ。
コンビニ脇のわずかな影に入り、地べたに座って朝食にしていると、同じ影の中に人が入ってきた。どうやらサラリーマンのようである。立ったままタバコを吸って休んでいる。
「いやぁ、暑いですね。こんなんじゃ営業なんて出来ませんよ」
「ほんとっすね。全く暑い」
なんて話して別れた。
営業か。同じ歩く者として、何か通ずるものがあったような気がする。
歩き出して、しばらく行かないうちにまた休んだ。今度は本屋である。自分でも悔しいのだが、この暑さですぐへばってしまうのだ。しかし、本屋に寄ったのは欲しかった本もあったからで、自分はここで太宰治の「人間失格」を買った。昨日からすでに目標地点に対して遅れをとっているのだが、まあいいや、ゆっくり行こうと考えて、本屋の先にあったパチンコ屋に移動して、そこの休憩所で耳栓をして読書に耽った。
6時間後。一気に読んでしまった。面白い本だった。青森で買った「津軽」を読んで、太宰治に興味を持ったが、難しいわけじゃないのに読み応えがある。何度でも楽しめそうな本だ。ただ、すんごく気分が陰鬱になった。パチンコ屋を出て、アナーキー・イン・ザ・UKを聴きながら歩く。(この時、"今日びのパンクロッカー"という詩を作成。高速ファイトに合致す。個人的な感情、感動)
夕方、京都入り。
舞鶴の町に入り、回転寿司屋の窓にはりつくようにして視覚的満足を得、コンビニでのり弁と発泡酒を買った。閉まった歯医者の前で、そののり弁と発泡酒を開け夕食にしていたら、職人風のおっちゃんが二人、自分に声をかけてきた。
「自転車か」
「いえ、歩いてるんです」と、まあいつも通りの会話。その後、別れた。
しかし、弁当を食べていると、さっきのおっちゃんがまたやって来て言う。
「これで何か腹の足しにせえや」
見ると、差し出されたおっちゃんの手に千円札が握られている。
一瞬戸惑ったが、自分は断った。
「受け取れません」と言った。
「いいから。これは・・そんな・・卑しい金と違うんやから」
卑しいのは自分の方である。目の前の千円札に目がいって、その千円で一体ビールが何本買えるか、なんて考えてしまった。けれども、自分は断った。
「いやいや、もらえません」
すると、おっちゃんは続けて言う。
「お前がちゃんと、目標持ってやってるからやるんや。いいから、もらっとけ」
そう言われ、自分は立ち上がって千円札を受け取った。深くお辞儀をして「ありがとうございます」と言った。
嬉しかった。千円もらえたことがじゃない。わーい、千円!なんて言ってたら、そりゃまるっきら阿呆である。そうじゃなく、そうやって思って、声をかけてくれたことが嬉しかった。歯医者の前でのり弁と発泡酒を飲み食いしている奴よ?そら、皆しかめ面をする場面でしょう。旅をしていて知り合った人はよく「世の中には変な人もいるから気をつけなさい」と言ってくれるけど、社会から見れば自分がその変な人であるというのは、自分が常に抱えている思い、というか自覚であって、だからかな、そのおっちゃんの気持ちは深く心にしみたな。ありがたかった。
舞鶴市内の道の駅まで移動し、そこで寝ることにした。近くのコンビニで晩酌をしていると、酔っ払った外国人に話しかけられた。大きな港町は、どこも外国人が多い。自分に携帯電話を見せてきて何か言うのだが、さっぱり分からず、握手をして別れた。で、いつものようにベンチで眠。

天候
晴れ
気温
朝32℃ 昼33℃ 夜30℃
歩数
37557歩
累計3832643歩
出費
飲料×3・・337円
おにぎり×2・・210円
パン・・105円
タバコ×3・・900円
小説・・300円
発泡酒×2・・392円
スナック菓子・・158円
のり弁当・・300円
計2702円
累計529585円
食事
朝・・おにぎり×2、パン、ウーロン茶
夕・・のり弁、発泡酒
夜・・発泡酒、スナック菓子
道中・・麦茶、コーラ

ネオン

バス停で風に吹かれていたよ
ケータイで好きな音楽聴いていた
駅前の酒場から
肩をくんだサラリーマン出てきた
タクシーは行っちゃった
暗い夜は
なんだかネオンのために
あるみたいだ

君という蛍光灯は
何色に
僕という部屋を
照らしてくれるの
僕という夜は
どれくらい
君という光を
輝かせられるだろう

バス停で風に吹かれていたよ
ケータイで好きな音楽聴いていた
駅前の酒場から
明かりと人の気配消えた
街が眠っちゃう
暗い夜が
一層暗くなり
自販機がバカみたいに光ってる

君という蛍光灯は
何色に
僕という部屋を
照らしてくれるの
僕という夜は
どれくらい
君という光を
輝かせられるだろう

明る過ぎる夜は嫌いじゃない
いつまでも
どこまでも
歩けそうな気がする

120日目 舞鶴~宮津

20070804132824
3日、7時起床。道の駅のベンチにて起床。前日、音楽を聴きながら、だいぶ興奮して歩いていたから、なんだか気分が悪い。トロトロ歩き出して、コンビニで朝食。タバコふかしながら、ツレーツレー、ツラーツラー、ととてんとん、プッカプッカ、ガラガラスルルン、シビーって歩いた。
あの、今の音の表記が全く理解不可能の方もいらっしゃると思うので、一応説明しておくと、ツレーツレーというのは、足を運ぶ音ね。地面スレスレで運ぶ感じ。ツラーツラーというのは表情。無表情って感じ。プッカプッカはタバコ。ガラガラスルルンというのは、ロックを聴いて足の滑り出しが好調になったってこと。シビーってのは、でも暑いし、歩くのが大変だの意。
昔から「お前は何言ってるか分からん。お前のは日本語じゃない」と人からよく言われていたので、付け加えておくよ。では、ととてんとん、とは何でしょう。それをズバリ言い当てた人はきっと自分と同じような人間だ。
途中のミニストップで、またしばらく休んでいた。休憩スペースを8時間くらい占拠してしまった。一席だけどね。8時間コンビニにいると、いつの間にか店員は変わっているし、昼に来た客が、その後、海に遊びに行ったのだろうけど、夕方にまた頭を濡らしてやってきたりする。
「住人かな?」
って思うだろうな。いや、でも自分だって雨が止むのを待っていたりするんだよ。
隣の席に浴衣(宿の浴衣ね)を着た女の子が3人やってきて、食べまくってたな。横で話を聞いていると、水商売らしい。お客さんがどうこう言ってるんだね。で、もっと話を聞いていると歳が21らしいことが分かった。
「一生懸命、働いてよかったよ」
「火曜日から仕事」
なんて話していた。
それが、すっごく疲れた感じなんだよ。もう若い女の子のオーラじゃなくってね。失礼承知で申し上げるんだけど、おっさんのオーラなんだよね。完全オフ。それで、自分はおっさん擁護派の人間だからね、話に加わろうと思ったけど、今一歩勇気が出なかった。そうすっと、今度は若い女の子オーラを放つキャピキャピの女の子がやってきてね、出てっちゃったよ。その3人。後悔したなあ。話しかければよかった、とね。酒を飲んで語り合えたかもしれない。まあ、そんなことはどうでもよろし。
それで、自分も今日の宿を探して外に出た。雨は止んだようだった。と思ったら、自分が歩き出したら、どしゃ降りさ。いよいよ後悔煮詰まって、やっぱりあの3人と酒を飲んどきゃよかったって、ずぶ濡れになったよ。
すると、偶然、民家も何もない海沿いの道なのに、居酒屋が現れてね、そこに避難した。あまり金を使いたくないけど、そこで酒とつまみを食べてたんだ。そしたら、そこの女将がやって来て
「今日のお宿は?」
なんて聞くわけさ。
「決まってないんですよ」と答えると
「ここは?」
っちゅうのさ。
どうやら、そこ宿もやっているようでね。休憩2時間お一人2000円て書かれてるのさ。
ラブホかあ・・と思ったけど、ラブホのビジネスパックってよく見かけるよね。それで、雨が止まなかったら世話になろうと思って。
そしたら、雨が止んだんだよ。だから、会計を済ませて、外に出たら、今度はあれさ。腰に付けていた万歩計がないんだよ。多分、雨の中走ったから落としたんだね。クッソ、って叫んださ。戻って探したけどないんだわ。後悔極まったね。
またトロトロ歩いて、町の駅のバス停ベンチに腰かけて、詩を書いたよ。それで、寝た。

天候
曇りのち雨
気温
朝30℃ 昼30℃ 夜26℃
歩数
記録なし
出費
カップ麺×2・・236円
飲料×2・・221円
パン・・210円
おにぎり×2・・210円
スナック菓子・・145円
チョコ菓子・・100円
発泡酒・・190円
瓶ビール・・530円
フライドポテト・・200円
計2042円
累計531627円
食事
朝・・おにぎり×2、サラダハムサンド、イチゴオ・レ
昼・・カップうどん、野菜ジュース
夕・・カップラーメン、スナック菓子、チョコ菓子、発泡酒
夜・・フライドポテト、瓶ビール
道中・・ポカリスエット

121日目 宮津~伊根

20070806102028
4日、7時起床。バス停から、町中のマックへ。朝マック。朝早くから店内は込み合っていた。ソーセージマフィンセットを注文。トイレに入ろうと思ったら、トイレに列が出来ている。マック、大繁盛である。
今日は日本三景天橋立でも見ながら、チョロチョロっと行こうかなと歩き出した。天橋立といったら、アレだね。自分の股から逆さに覗くと、海を走っている細い松並木が天に架かる橋のように見えるという。
で、いざ天橋立へ行ってみると、自分は知らなかったんだけど、天橋立って歩いて渡れるんだね。海水浴もしているし。宮津湾を横切るように陸地が走っていて、その股覗きの場所というのは丹後半島側らしいので、とりあえず天橋立を歩いて渡った。松並木の中を歩くのは気持ちがよかった。
さあ、天橋立を渡り終えて、その股覗きの名所に行こうと思ったんだけど、ここが山の上で、自分は歩いて山を登らなければならない。ケーブルカーとかリフトがあるのだけど、金がかかるから歩いて登ることにしたんだ。股覗きの台がある傘松公園までは階段を上ること20分位らしい。階段入り口の土産屋で発泡酒を飲んで、気合いを入れて上り始めた。
汗をダラダラたらしながら、上りきった所に股覗きの台があった。3つあった。どうも人が少ないと思ったら、どうやらリフトなんかとは終着点が違うらしく、一段低くなった所に観光客が大勢いるのが見える。
ところで、ここに来たらやることは皆一つである。股覗き。皆、それをやるために上ってくるのだ。だけどね、股覗き、あの恰好って阿呆みたいでしょう。いざ、その場に着いたら、衆人監視の中でそれを行うってのはそれなりの勇気が必要で、皆、ベンチに座ってためらっているんだな。誰がこの状況を打破すんのよ。って感じで牽制しあっている。
でも、自分からしてみれば、他の客はだいたいカップルとか夫婦だから、恥ずかしくても笑いながらサッとやればいいと思うんだけど、自分は一人だからね。三脚用意して、カメラをタイマーにして、その視線の中、自分が股覗きをしている写真を撮ったけど、寂しかったな。寂しかったよ。皆もその寂しさに勇気づけられたのか、積極的に股覗きをし始めた。自分はさっき上ってきたばかりの階段を駆け下りていった。
で、あとから気づいたんだけど、自分は股覗きをしながらの写真も撮ったんだけど、よく考えてみればその写真ってのは、普通に撮った写真を現像した後にひっくり返して見ればいい話で、これに気づいた時はさすがに恥ずかしかったな。
天橋立を発って、ここからは丹後半島に入る。自分はもう一週間風呂に入っていなくて、さすがに今日は入りたかったから、日帰り入浴の温泉を目指した。目的地を伊根温泉と決め、歩いた。天橋立からは、20km弱の距離だったんだけど、温泉の手前2km位で雷雨。30分位雨宿りして、温泉に着いたら、受付時間を10分過ぎていた。体がワナワナと震え始めたけど、受付まで行って頼んだら、自分も相当必死の形相だったらしく圧倒されたように時計をチラと見て「どうぞ、ごゆっくり」と言ってくれた。
ひやー、サッパリして風呂から上がって、近くの老人ホームの玄関にあったベンチまで移動した。まだ雨はポツポツと降っている。万歩計買わなきゃなあ、と考えながらスウェットを着て眠。

天候
晴れのち曇りのち雨
気温
朝28℃ 昼32℃ 夜26℃
歩数
記録なし
出費
タバコ×2・・600円
発泡酒・・200円
風呂代・・700円
マック代・・370円
焼肉弁当・・158円
カップラーメン・・100円
ジュース×2・・193円
計2321円
累計533948円
食事
朝・・マック(ソーセージマフィンセット)
昼・・焼肉弁当、カップラーメン、フルーツオ・レ
道中・・発泡酒、ジュース、ポカリスエット、ウィダーインゼリー

122日目 伊根~網野

20070806123559
5日、6時起床。老人ホームのベンチで目を覚まし、御老人は朝が早い、サッと支度をととのえそこを発った。
真夏といえども、早朝はまだ歩くには気持ちのいい気候で、スイスイと足が運ぶ。しかし、それも8時頃まで。段々と日が高くなり、山の中の涼しい木陰は消えていった。カッと照りつける太陽。これは後から知ったことだけど、今日は都市部で今年初の猛暑日だったらしいじゃないか。
堪らず、建物の影に入り、昨日洗濯した下着を干すなどして、しばらく休憩した。海に落ちる崖沿いの公園のような場所にある、つぶれた商店であった。
そこでうたた寝をしていると、軽トラが5、6台やって来た。祭りばんてんを着た子供が積載されている。大人を含めて、その数、ざっと40。辺りが急にガヤガヤし始めた。こんなところで何かの祭りでもあるのだろうか。そう思っていると、その中の一人のおっちゃん(捻り鉢巻きにランニングシャツスタイル)が、近くに干してあった自分のトランクスを見つけ、「あ、あれパンツやろ」と仲間と話して、崖下を見に行った。その際に、小さな声で「見つけたら死刑や」と言っていた。
ここからは自分の想像だが、このおっちゃんは多分、すぐ横の漁師町のおっちゃんで、自分のトランクスを見て、崖下の海で誰かが泳いでいると思ったのだろう。で、それが密漁か何かだと想定した。そこで「見つけたら死刑」というセリフが出てきたのだと思う。おっそろし。海は漁師の畑と言うしなあ。祭りの準備か、皆がいなくなった後に洗濯物を取り込んで、そこを発った。
銀杏BOYZの「惑星基地ベオウルフ」を聴きながら歩く。この曲は、映画版だったか、「電車男」で使われていた曲だけど、この中に語りの部分があって、銀河鉄道999のメーテルと鉄郎のセリフらしき、その語りを聴く度にいつも切なくなる。
にしても、暑い。トンネルに入ると、出口の空気が揺らいでいるのが見える。しかし、最高の海水浴日和ではある。日曜日ということもあり、海は海水浴客で賑わっていた。バーベキューをしているパーティーも多い。酒か日焼けか、背中は真っ赤である。いいなあ、旅を終えたら友達とバーベキューセットを持って海へ行こう、と思った。自分は地元にいても、一人で居酒屋にも釣りにも行くのだけど、海水浴は駄目だ。海沿いを歩いていても、何故だか一人で泳ぐ気はしない。いや、泳ぎたくはなるんだけど、泳がない。海で溺れたことがあるからだろうか。後が面倒臭いってのもある。水着も実家に送り返してしまった。やはり海は皆で来たい。だから今は日々ただ、ビキニを見ながら歩くだけである。
道の駅で休憩。入り口に変なおっさんがいた。自分がタバコを吸っていると、突然ゴミ箱に手を突っ込んで掴んだ空き缶を自転車に積んだり、公衆電話の受話器をガチャガチャやって釣り銭口を確認したりしている。タバコを吸い終え、売店に入るとマッサージ機が4台あったので、その内の1台にかかっているとついつい寝てしまい、ふわぁと目を覚ました時、隣のマッサージ機でそのおっさんも寝ていたのでビックリした。手塚治「ブラックジャック」に出てくる針師によく似たおっさんであった。
夜、京丹後市網野という町に到着。ここは静御前の出生地らしい。駅で寝ようと思い、駅舎の中にあったベンチに腰かけていたら、深夜になって駅を閉めに来た管理人に追い出されてしまった。途方に暮れて駐輪場の横に腰かけていたら、自転車を盗むと思ったのか、そんな意味合いのことを言われ、そこからも追われてしまった。
もう深夜だし、この先にはしばらく町もないようだし、辺りをウロウロして、閉まった本屋の駐輪場で眠。雨が降ってなくてよかった。

天候
晴れ
気温
朝25℃ 昼36℃ 夜26℃
歩数
記録なし
出費
ジュース×4・・490円
パン×2・・179円
アイス・・100円
タバコ・・300円
マッサージ機・・100円
カップうどん・・176円
発泡酒・・184円
ヨーグルト・・100円
計1629円
累計535577円
食事
昼・・パン×2、ジュース、ヨーグルト
夕・・カップうどん、発泡酒
道中・・ジュース×3、アイス、ポカリスエット、ウィダーインゼリー、飴

スローライフはどこいった

海で泳ぎたい
ディズニーランドではしゃぎたい
富士急行ってFUJIYAMA乗りたいぜ
山へ行きたい
川へ行きたい
海外行きたい
田舎へ行きたい
高層ホテルの最上階で
新宿の夜景を見ながらシャンパン飲みたいぜ

スローライフはどこいった
急かすな社会
急かすな社長
激流だぜ
全くこの世は
全く 全く
つれないったりゃありゃしない

スローライフが売ってない
一番安物のくせして
貧乏人にはめちゃくちゃ高い
スローライフこい
おい
スローライフこい
スローライフ
もってこい

スローライフ「学力を捨て、みんな求めるスローライフ
故郷を捨て、みんな求めるスローライフ」

スローライフはどこいった
帰ってこい スローライフ
いつ離れたんだ
全くついてないったりゃありゃしない
おい
スローライフ 帰ってこい

コーラの歌

I love コーラ コカ・コーラ
You love コーラ ペプシコーラ
一気に飲もう コカ・コーラ
ゆっくり飲もう ペプシコーラ
二つ混ぜたら コカペプシ
ペプシが先なら ペプシコカ
ホントに混ぜたら ペコプカシ
めちゃくちゃ混ぜたら カシコペプ
きれいな星座 カシオペア
二人で飲もう 冷たいコーラ

競艇へ行こう

250円握らせて
タバコを買ってこいって
マイセンライトを近くの商店まで
残りの30円は駄賃だって

ありゃ何年前だ

親父、今マイセンライトは300円さ
高くなったもんだよ
俺はあの30円が懐かしい
10円のガム3つ買った
青りんごガム
ソーダガム
コーラガム
たまに今でも駄菓子屋で見るよ
値段は変わってないみたいだ
マルキンチョコで
目指した千円
何度かもらったよ
あの頃は
バブルだったんだね

あと俺がいくつ年をとったら
あの頃の親父の年に
なるんだろう
幼児が少年になり
少年が青年になり
青年は大人になった
もう10円のガムなんて
最後にいつ買ったのか覚えてない

親父
町は変わったね
銀ブナを釣りにいった
あの溜め池はまだ
あるのかな
俺が嫁をもらって
子供が出来たら
教えてやってくれ
俺に教えてくれた色々な遊び
ライトプレーン飛行機
釣りやスキー
キャッチボール
酒を飲ませて からかって
そして一緒に競艇に行こう

逃げ水


暑い夏
せみの声に混じって
寺の境内
坊主の経が聞こえてくる
本屋で
古典の小説を買った


暑い夏
歩道の信号が明滅し
渡りかけた瞬間
右からのワゴン車


暑い夏
プールではしゃぐ子もあるだろう
銀杏
お前はまだ早い
せみの声が遠い


刹那
車にひかれて
踊った逃げ水

123日目 網野~久美浜

20070807171256
6日、7時20分起床。昨日はアルミシートにくるまって寝た。これは初めての試みだったが、なかなかいい。熱くもなく、寒くもない。適度に保温してくれる。新潟での装備チェンジの際に銀マットの代わりで買ったもので、1m×2m位の大きさだが、畳むとそんなにかさばらないし使える。
旅の装備がどんどん簡略化、縮小化して、今や道行く人と旅の話をしても、必ずと言っていいほど「荷物はそれだけ?!」とツッコまれる。今、日本にどれだけ自分と同じような状況の旅をしている人がいるか知らないが、まさか手ぶらで旅をしている人はあるまい、自分が一番荷物が少ないと思う。それくらい少ない。昔から自分のモットーはシンプル&コンパクトだったから、これはイイことだ。
って、じゃあ、荷物が減ったのなら、つまりそれは装備の不足になりはしないか。自分の頭を超す程、丈のあるリュックを背負っている人だって、伊達じゃないだろう。そこには、旅中の生活を充実させるグッズや、緊急事態に備えた何かが入っているんじゃないか。なんて、考える人もあるかと思う。
よく言ってくれた。その通りである。自分は、ある程度の備えを捨てた。それは例えば、ヘアバンドだったり、釣りざおだったり、一度も使用することのなかったものが主だが、中には苦渋の末に手放したものもある。
その一つがレインコート。雨具って大事である。それは分かるんだけど、実はレインコートって、あまり使えない。特に夏場は。歩いていて雨が降ってきても、わざわざ立ち止まって着用し、また歩き出すなんてことが実戦的ではないことを旅中に学んだ。小雨であれば、レインコートなど着ないで、リュックカバーだけして歩いた方がいい。大雨であれば、歩くのをやめ、どこか屋根のある所に避難した方がいい。
レインコートを使う場面というのは、雨が降っていても歩かねばならない時だけである。急いで行かなければいけない場所がある、避難する場所がない、などといった場面。しかし、それでも靴は濡れるし、汗で蒸れるし、使ったあとは乾かさなければならない。
思うに、レインコートはオンロードの歩き旅には向かないアイテムの気がする。実は自分はポンチョが欲しいのだけど、ポンチョなんてあんな中途半端な雨具、と旅前は思っていた。しかし、どうやらポンチョの方が使えそうなのである。
利点として
1、リュックを背負いながらの一発着用が出来る
2、風通しがいい分、蒸れにくい
3、2ピースのレインコートに比べ、管理が楽
などが挙がる。
そうそう、自分は一時、傘を使っていたこともあったが、傘も案外いい。狭い道ではあまり使えないが、歩道を歩くには十分である。前述の二つに比べ防雨効果は落ちるが、なんといっても、雨が降ってきたら広げる、止んだら畳む、という簡単さがいい。そして、当然ながら全く蒸れない。
と、まあ、旅の装備の話から雨具の話になったけど、飽くまで歩き旅に限った意見であり、自転シャーやバイカーにとっては、全く参考にならないだろう。なんだかんだ言って、旅のスタイルに合わせた装備というのは、なかなか難しいのだ。
歩いていると、色々なスタイルの人を見聞きする。この前はベビーカーに荷物を満載して押しながら歩いている人を見たし、トランクを引いて歩く人もいると聞いた。果ては、リヤカーを引く人もあるというのだから、まさに十人十色である。散々、御託を並べといてなんだが、雨具も装備量も結局はその人の考え方一つかもしれない。自分は「少ない、小さい」方がいいと思う。
これから旅をする人にとって、これが何かの参考になれば、あたいハッピー。
駅ベンチで眠。

天候
曇り
気温
朝28℃ 昼31℃ 夜27℃
歩数
記録なし
出費
タバコ×2・・600円
ラーメン・・600円
瓶ビール・・500円
ジュース×3・・423円
おにぎり×3・・315円
ゼリー・・105円
サラダハムサンド・・210円
小説・・320円
計3073円
累計538650円
食事
昼・・ラーメン、瓶ビール
夕・・おにぎり×2、ゼリー、ジュース
夜・・おにぎり、サラダハムサンド、いちごミルク
道中・・コーラ

124日目 久美浜~香住

20070808203123
7日、6時10分起床。タンゴ鉄道、甲山駅という無人駅にて起床。屋根のかかったベンチ以外、改札も何もない駅であった。そこから3、4km歩いた所にあったコンビニで朝食。店主らしきおばちゃんと話をしていると、「昨日の残りだけど」と言って、マカロニサラダをくれた。店に陳列されていた雑誌のほとんどが日焼けしていたので、よく見てみると、全て2006年12月号であった。
今日は城崎温泉に立ち寄り、それから峠を抜け、海沿いの香住という町まで行こうと思う。自分の地図帳によれば、城崎温泉は山陰の名湯であると紹介されている。毎度毎度、温泉に浸かっている自分ではあるが、殊更に「名湯」などと書かれてあると、特に入りたい気分になってくる。入らなければ損だという気さえしてくる。
果たして、そこは風情のある温泉街であった。川が流れている温泉街、というのはそれだけで不思議な情緒があるが、ここもそうで、川の両側を道路が走り、その道路に面して、温泉、土産物屋、軽食喫茶などが軒を連ねていた。浴衣姿や洋服で往来する観光客も多く、夏休みだからだろうか、温泉地に似つかわしくなく、お年寄りよりも若者グループの方が圧倒的に多かった。
話は変わるが、皆さん、耳かきって好きだろうか?自分はこれが、堪らなく好きである。それで、以前自宅にて新聞を読んでいた際に、東京に耳エステと呼ばれる究極の耳かき(そこでは究極の癒しと歌われていた)を施してくれる店がオープンしたとあって、自分は常々行きたいと思っていたのだけれど、ついに行く機会を得ぬまま旅に出てしまった。
ところがである。なんとその耳エステの店が、ここ、城崎温泉街にあったのだ。自分は、地蔵の湯という温泉に入ったあと、吸い込まれるようにしてその店に入った。店には自分以外の客はなかった。よもや、こんなところで耳エステ初体験をするとは思わなかったが、この機会を逃したら今後いつ縁があるか知れぬ。20分のコースを申し込んだ。
言われるがままに、黒い革張りの椅子に深く腰かけると、女性のエステティシャンが「抱き枕はいかがですか」と言って、熊のぬいぐるみを差し出してくれたが、これは男の意地で断ってしまった。あとになって、変な意地を張ってしまったなと少し後悔した。ちょうど、抱き枕なんかあればいいなとうっすら考えていたところだったのだ。女性の手前、わざと要らない風をした。こういうのは恥と思うのは、女性から見れば案外くだらない男の価値観なのかもしれない。
感想については長くなるので控えさせて頂くが、耳エステの店は全国にも数軒しかないそうだから、興味のある方はインターネットでどうぞ。
昼食で、やはり温泉街のたこ焼き屋に入った。店内ではおばあさんが一人椅子に腰かけていた。自分はこのおばあさんに、店はやっていますかと聞いた。おばあさんは、やっているけど暑くて売れんでね、作るとしても10分位かかりますね、というようなことを言った。それでもいいから作ってもらえますか、と言うと、おばあさんはあまり商売をする気がなかったのか、戸惑った感じであった。
初め、店内が暗かったので閉まっているのかもしれないと思ったのだったが、そうやって、たこ焼きが食べられることになった。鉄板に火をつける段階から始めたおばあさんに申し訳なく感じ、二つ注文したのだが、一つ8個入りで200円なのだというから激安である。
やがて焼き終え、自分のテーブルに運ばれてきたたこ焼きを前にして、自分はビールも飲みたくなり、店の入り口にあった冷蔵庫から缶ビールを取り出し、おばあさんにまとめて会計を頼んだ。
すると、おばあさんはその会計を受けつけようとしない。奇妙だな、と思い、おばあさんに缶ビールの値段を聞いた。おばあさんは何やらまごまごした後、「いや、250円だったかな・・。今、息子がいないもんで分からんのですよ。そのうち、帰ってきますから」と言った。なるほど、と思った。このおばあさんは留守番だったのである。それで自分ではあまり商売をする気がなかったのかもしれない。自分はそう得心したのだった。
しかし、それもどうやら自分の勘違いであった。事態は更に奇妙な方向へと進んだのである。
いくら値段が不確かであろうと、その息子がいつ帰ってくるとも知れぬ自分は、たこ焼き二つの400円と缶ビール250円、合わせて650円をおばあさんに渡して会計してもらうことにした。例え誤差があっても50円くらいなもんだろ、言い値でいいやと思ったからだ。
おばあさんは受け取った650円を見て、たこ焼きは200円だから450円ね、と言って500円玉と100円玉と50円玉のうち、100円玉と50円玉を自分に返してきた。
いや、たこ焼きは二つだから400円でしょ、と自分が言うと、おばあさんは、あっそうかと言い、奥に引っ込んでいった。自分はビールを開け、飲み始めた。。・・味がおかしい。そう感じた自分は缶ビールの底面にある賞味期限を確認すると、もう半年も期限の切れたものであった。そうする内に、おばあさんが奥の方でまた何か言って、出てきたと思ったら、今度は自分の所に100円玉を2枚持って来た。自分はギョッとした。
おばあさんは平然とした顔で、650円もらったから200円のお釣り、と言う。その手にある200円とおばあさんの顔を交互に見つめ、自分はとりあえず、その200円を受け取った。そして、考えた。結論は一つであった。
邪推かもしれないが、おばあさんはボケているのだろう。
テーブルにあったたこ焼きを試しに一つ口に運んだ。うまかった。これは正常である。おばあさんは、今息子がいないから、と言っていた。しかし、昼で店の前の通りが観光客で賑わう、言わば稼ぎ時といえる時間に店にいない息子。店を開けたまま、慣れないおばあさんに留守番をさせる息子。半年も期限の切れたビールを店に置いておく息子。そんな息子があるだろうか?自分は次第に、その息子の存在さえも疑いだした。そうこうする内に、何やら手伝いのおばさんらしき人がやってきて、本格的に商売を始めたようだった。
思い込みかもしれない。しかし、自分はなんだか色々な事で頭を巡らす内に、おばあさんが哀れになり、いや、哀れなんて人に用いるには失礼至極な言葉であるけど、漠然と、悪いことをしたかな、という気持ちになり、200円を今食べたたこ焼きの皿の下に置いて、ごちそうさんと言って店を出た。
そうして店を出て小走りになった。皿を片付けにきたおばあさんが200円を見つけ、通りで「お客さん!」などとやられたら、こっちはいたたまれなくなる。それが恐くて、往来の中に早く隠れてしまいたかったのだ。その意識下には、おばあさんに200円を渡された瞬間、ほんのわずかながらに「得をした」と思った自分がいたからだ、とは後になって気づいた。
ボケというのは、ある意味、死よりも周りにいる人を辛くさせる。老人はボケると、被害妄想に走り、あれを盗まれた、これを盗まれた、と言い出す人が多いと聞く。しかし、そんなことよりも、もうまるで飯を作る能力もないのに、ままごとのように自分に食わすための米をとぐ動作、味噌汁を出す動作などをされたら、考えるだけでそちらの方が恐ろしいのである。悲しいのである。
あのおばあさんにしたって、代金を二度もらいに来たとかいうのだったら、自分はここで笑い話にしていたろう。この一件で、自分は自分の配慮のなさからか、切ない気持ちになってしまった。そして、切ない気持ちで歩き続けた。
書き忘れたが、今日の午前中、兵庫に入った。兵庫は短い。鳥取砂丘もすぐそこである。
夜、歩いていて気を使うのは電牧だ。電牧とは、恐らく電気牧柵の略であると思うが、軽微な電気を流した針金の柵で、北海道ではこれを牧柵として牛を飼う牧場も多い。ここでは猿害予防のためと思われる。丹後半島全域の畑、水田、至る所に張り巡らされていて、それが歩道ギリギリまでせりだしているので触れないように、また車にも注意して歩かねばならない。触れると感電し、体のどこかが軽く痙攣する。それが結構痛いのだ。
香住の町に入り、スーパーのベンチで眠。最近は蚊予防のため、靴を履いたまま寝ている。

天候
晴れ
気温
朝24℃ 昼31℃ 夜26℃
歩数
記録なし
出費
飲料×5・・655円
たこ焼き・・400円
耳エステ・・1800円
タバコ・・300円
缶ビール・・250円
風呂代・・600円
カップうどん・・155円
おにぎり・・105円
パン・・92円
発泡酒・・140円
スナック菓子・・103円
計4600円
累計543250円
食事
朝・・カップうどん、おにぎり、パン、コーヒー牛乳
昼・・たこ焼き、缶ビール
夜・・発泡酒、スナック菓子
道中・・ウーロン茶、ポカリスエット、ジュース×3、飴

125日目 香住~余部

20070810162226
8日、6時10分起床。朝からずっと小説を読み耽ってしまった。日差しが強く、歩くのを億劫がって、スーパーのベンチで丸一日である。
先日、本屋で夏目漱石の「こころ」を買った。古典、というジャンルに区分されるんだろうか。太宰治にしろ夏目漱石にしろ、自分はほとんど読んだことはなかったが、読んでみると、なるほど、今でも名作と呼ばれる訳が分かる。自分は書評家ではないから、面白かっただの読みやすかっただの、つまらないことしか書けないが、いい小説というのは自分の心を映し出す力を持ち、読み終ったあとに素直になれる気がする。そして、これは読書好きの方なら「うん、うん」とうなずいてくれるかもしれない。読み出すと、止まらない。途中で閉じても、続きが気になってしまうのだ。
結局、歩き出したのは21時であった。21時って、いつもなら歩き終えているくらいの時間だ。しかし、夜は涼しい。夜歩く最大の魅力はここだよな、って歩き出す。
歩き始めてすぐ、ちょうど山に入っていく民家の途切れる辺りの道であったと思う。白い街灯に照らされて、何やら影になっている物体が二つ、道路上に無造作にあるのが遠くから見えた。自分は瞬時に動物の死体であると判断した。
そういうことは、歩いている限り日常茶飯事で、自分は気づかずに踏んでしまいそうになったことが何度もある。何度見ても嫌なものだが、馴れっこと言えば、馴れっこかもしれない。
ところが近づくにつれ、それが死体ではないことが分かってきた。街灯の塩梅が何とも言えずホラーである。
それは、何かの内蔵だった。詳しくは分からないが、心臓やら肺らしきもの、そして腸とで、綺麗に体からスポリと抜けたように二つに分かれ落ちていた。周りは血だらけで、そしてその血はある一筋の方向に帯を引いていた。吐き気がした。
それを避けつつ、先へ行くと、その帯を引いていた血の反対側、道路脇の草むらに"本体"と思わしき大型犬のような死体があった。犬のようであったが、それが何であったかはしっかりと確認しないで通り過ぎた。
そこからは暗い暗い山道である。自分は引き返そうか悩んだ。あれは良からぬ暗示かも知れない、と思ったからだ。それでも、今日は全く歩いていないのだからという気持ちが強く、前へと進んだ。
夜を歩く、というのは精神的によろしくない、という思いに至る。例えば、トンネル一つにしたって、あの暗く湿ったトンネルの中は、ある種異様な空気に包まれている。自分なぞは、誰に言うわけでないが、トンネルの入り口では「失礼します」と言っている。そうして、そのトンネルの入り口出口に置かれた花瓶に挿された花などが目につく。木が揺れる。そこに何がいるのかは暗くてよく分からない。すれ違う車のほとんどは、遠くから自分を確認すると、ライトをハイビームにする。そうして、自分の近くをスピードを落として走り抜けていく。時々、運転手の顔を見ると、皆口を開けている。本気で脅かしてみようか、なんてイタズラ心も起こるのだけど、そうすればたちまち何らかの力で自分が脅かされる側に立ってしまうような気がして出来ない。当たり前かも知れないが、さすがに誰も止まってはくれない。
何だか逆に体力を消耗するような気がして、予定よりも早く、余部という町のバス停にて寄宿した。
この町には町を挟んだ山と山をつなぐ大きな鉄橋がある。汽車か電車が走っているようだが、もう廃線になるらしい。「ありがとう、余部鉄橋」などと書かれた横断幕を見かけた。この鉄橋、下から見上げると、まるで星空にかかる鉄橋のように見え、自分は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思い出した。
そうそう、新しい万歩計を買った。記録なしと書かれた5日間は1日5万歩と考えてあまり誤差はないと思うが、その25万歩は最終日まで加えずにおこうと思う。やはり万歩計があった方が歩きに張り合いが出る。
そんなわけで、バス停ベンチにて眠。

天候
晴れ
気温
朝25℃ 昼32℃ 夜26℃
歩数
12284歩
累計3844927歩
出費
タバコ×2・・600円
万歩計・・1080円
ジュース×5・・526円
カップラーメン・・100円
おにぎり×7・・693円
パン×2・・388円
計3387円
累計546637円
食事
朝・・おにぎり×2、ハムカツミックスサンド、野菜ジュース
昼・・おにぎり×3、パン、フルーツオ・レ
夕・・カップラーメン、おにぎり×2、ジュース
道中・・ジュース×2、ポカリスエット、水

126日目 余部~鳥取

20070810184255
9日、6時20分起床。朝起きて、温度計をチェックして、タバコを吸って、歩き出した。コンビニでジュースを買うと、店のおばちゃんが「おおきに」と言った。ああ、関西だなぁと感じる。
自分は個人的に関西弁が好きだ。よく知らないけど好きだ。「ちゃうちゃう、これチャウチャウやねん」とか好きだ。女の子が自分のことを「うち」と言うのが好きだ。飴を飴ちゃんと呼ぶのが好きだ。ボキャブラリー溢れとるでしょう。言葉が豊かで、親しみやすいからかな。関西では、マックはマクド、ケンタッキーはケンタ、アイスコーヒーはレイコーで、あれ、クリームソーダはクリソだったっけ。そう言うんだよね。いいなあ、使ってこ。
しっかし、まだまだこの夏場のペースが掴めない。暑くなるにつれ、確実に歩くペースが落ちてきている。昨日、夜のトンネルの話をしたけど、昼間は逆にトンネルが嬉しくなる。ヒンヤリしてるからね。
今日は昨日の遅れもあるし、鳥取砂丘まで行こうと思って歩いた。
昼、鳥取入り。
溶けながら進んで、給水して溶けて、体の水分の半分がコーラになった気がする。あんまり、ぐでっとしてたんで、道行く人に「あんちゃん、大丈夫か」と言われた。
暑い。暑い以外に書くことがない。無理矢理に、「寒い。寒いなあ。何が温暖化現象じゃ。もっと頑張れ、温暖化現象」なんて嘘をついてみるのだけど、余計太陽が怒ったような気がするするスルルン。もう駄目、って地べたに座って石になって、しかし動かなきゃあかん、「鳥取砂丘パワー!」って冗談言って立ち上がったら、立ちくらんで、はるか向こうに天竺を見た気がします。ほほ。ぎゃふん。
暑いと思考力が低下するっすよね。俺、もう、まるで馬鹿っす。犬のうんこをかりんとうって言ってケタケタ笑いそうっす。セカチューの「助けてくださぁぁい」を真似したくなるっす。
助けてくださぁぁい!
夕方、鳥取砂丘に到着。でけぇ。とか、そんな阿呆な感想しか出てこなくて、みんな砂丘の上を歩いているのだけど、自分はその様子を見ているだけだった。悲しい。自分はアイアン・マンになりたい。
鳥取砂丘ってのは、言ってみれば砂漠のようなんだけど、風紋ってのが有名である。これは、砂の表面が風に吹かれて、波立つような跡を残す現象なんだけど、いつでも見られるわけじゃないらしい。季節で言えば春がよく、乾燥して風速5~10mの風が吹くと現れるんだとか。今日は見られなかった。
あとは長芋が有名だけど、これは今でこそであって、砂地で野菜を作るということには大分苦労があったらしい。昔、何かで読んだことがある。
砂丘を後にして、鳥取の町に入った。スーパーで発泡酒と焼きそばを買って、飲んだら、酔っ払った酔っ払った。1本でベロベロである。くぅ、ちゅって、フラフラ移動して、閉店したメガネトップの入り口で寝た。快眠。

天候
晴れ
気温
朝26℃ 昼34℃ 夜31℃
歩数
60701歩
累計3905628歩
出費
飲料×5・・603円
タバコ×2・・600円
焼きそば・・298円
発泡酒・・198円
計1699円
累計548336円
食事
夕・・焼きそば、発泡酒
道中・・飲料×5、水

127日目 鳥取~北栄

20070811190056
10日、7時40分起床。引き続き、暑さで気が狂いそうである。歩いていると、膝が笑う。コンビニで休憩して、アイスが食べたいんだけど、アイスでは喉の渇きが癒えないので麦茶なんかを買う。コンビニでは1L紙パックの緑茶、麦茶、ウーロン茶が100円で売っているので、これは旅人必須のアイテムである。
店の前でブルーハーツの「人にやさしく」をケータイにダウンロード。
♪気が狂いそうニャニャニャニャニャニャニャ
って、ただこれが聴きたかっただけ。
道の駅「神話の里・白うさぎ」で洗濯。この前風呂に入った時に洗濯した下着を干し忘れて、半乾きのままビニール袋に入れておいたら、リュックの中で腐っていた。もう、全て、この暑さのせいである。道の駅で洗濯し直して、そのまま外に干した。それが乾くまで休憩。
道の駅ってのは、全く素晴らしい施設だと思う。別に何も買わなくてもずっと居られるし、冷房完備だし、ベンチやテーブルがあるし、腹が減れば食堂があるし。全ての道の駅がそうなわけではないけれど、なんていうか、完全に味方である。自分が出会った最高ランクの道の駅には、24時間いつでも寝られる畳部屋があった。あれは感動した。もう、ほとんど無料宿泊所なんだもの。オアシス中のオアシスって感爺。
そこの道の駅はTVもあり、自分はここで甲子園を見た。夏だなぁ。甲子園球場へ行ってみたいが、今ある甲子園球場は、もうなくなってしまうらしいね。老朽化が原因で建て直すらしいから、今の甲子園球場で高校野球をやるのも今回が最後らしい。残念だ。
海沿いを歩いていると、海水浴場がいっぱいあるけど、段々と海水浴客も増えてきた。海水浴のピークって、いつなんだろうか。よく8月の半ばを過ぎると、クラゲが出るって言うし、あ、クラゲといえばエチゼンクラゲはどうなったんだろうか。一時、世間を騒がせたエチゼンクラゲである。相当騒いだね。まあ、どうでもいいか。
夕方、歩き出す。コンビニに入ると、そこのコンビニの店長だと思うけど、いや、あれがまさか店員ではないと思う、パンチパーマのおっちゃんが面白かった。八百屋のオヤジみたいなんである。手を叩きながら、「あいっ、唐揚げくん、唐揚げくん、唐揚げが揚げたてぇ、あ、揚げたてぇ」といった調子である。その人がレジを打ってくれたので、面と向かって吹き出してしまった。悪いことをした。
夜、今日は国道9号一本のルートで、歩道もしっかりしているので歩きやすかった。しかも、空にはうっすらと天の川が見えるほどの星。スバルが美しい。流れ星も見た。
今、自分の目の前を通った女性が腕に、なっがい手袋みたいなの、あれは何て言うんだろう、レギンスで合ってるかな、レギンスってすねあてだけどね、そんなのをしてたんだけど、最近よく見るな。流行りなんだろうか。しかし、この流行りっていうのはなかなかの曲者である。知らんと侮られることがあるからね。
自分など、中学の頃に友達が「hitomiが好きだ」と言っていて、流行りに鈍感な自分はhitomiを知らなかったから、黒木瞳と勘違いして、「へぇ、渋いね」なんつって恥をかいたことがある。気をつけなければならない。
北条公園という道の駅でアルミシートにくるまって眠。この辺は道の駅が多くて、いい。

天候
晴れ
気温
朝29℃ 昼35℃ 夜26℃
歩数
50337歩
累計3955965歩
出費
飲料×7・・799円
カップラーメン・・176円
パン×3・・407円
おにぎり×3・・315円
スナック菓子・・198円
チョコ菓子・・105円
酢だこさん太郎×3・・27円
発泡酒・・195円
計2222円
累計550558円
食事
朝・・おにぎり×2、サラダハムサンド、野菜ジュース
昼・・おにぎり、パン×2、スナック菓子、チョコ菓子、酢だこさん太郎×3、発泡酒
夕・・カップラーメン、ジュース
道中・・飲料×5

128日目 北栄~名和

20070812135047
11日、8時20分起床。道の駅からコンビニへ移動して朝食にしようと歩き出したが、なんだかふざけたスプリンクラーが行く手を邪魔している。
どういうスプリンクラーかと言うと、道路脇のタバコ畑に設置されたスプリンクラーなのだが、吹き出す水の勢いが強すぎて歩道を浸水させている。歩道を歩くとスプリンクラーに襲われる、といった具合である。
ただ、そこはスプリンクラー。きゃつは回転しているから、水の吹き出し口が歩道の反対側を向いた時に走り抜ければいい。いいのだが、これが難しい。何故なら、スプリンクラーは1つではなく、3つであり、その3つがお互いの散水区域をカバーするように重なって、どれかが歩道に水を撒いている状態なのである。
例えば、その3つのスプリンクラーA、B、CのAとBが畑に向かって吹いているとしたら、Cが歩道に向かって吹いているといった状態。イメージするなら、スーパーマリオブラザーズのクッパ城における火の玉棒である。あのグルグル回転しているやつね。タイミングを図ってジャンプしないと、当たって終わりのあれである。
で、自分は進んだんだ。まずAを越した。すると、ここで予定外のことが起きた。次のBであるが、これが左前方から歩道に迫ってきていたので自分は一旦止まった。やり過ごそうとしたのさ。そしたら、このBの野郎、回転速度が遅いんだよ。Bを待っている内に、Aが一周してきて、AとBに挟まれて足をやられた。悔しかった。マリオは得意なだけに。フルフルと震えた。
青山剛昌ふるさと館なるものを発見。青山剛昌というのは、名探偵コナンなどを描いている漫画家さんであるね。自分にはYAIBAが馴染み深い。少し気になったが、入りはしなかった。漫画つながりの話になるけど、ドラゴンボールって何でまだ人気があるんだろう。連載終わったの、もう10年位前だと思うけど、先日もガチャガチャで見た。暇があれば確認してほしい。ゲームセンターなどで現役漫画のキャラクターグッズに混じって、ドラゴンボールだけが旧作として対等に並んでいる。当時の少年である、今の大人にウケるのは分かるが、今の子供達にとってもドラゴンボールはカッコいいのだろうか。
この辺りは海の透明度がかなり高い。澄んだブルーをしている。それに引き替え、自分は汗をかいてTシャツやらリュックのベルトが塩で白くなって、大分汚らしくなった。この塩の量がすごくって、普段は塩分のとりすぎに注意しているのに、この頃は塩っぽいものを選んで食べるようにしている。製品表示のナトリウム量をよく気にするようになった。全く、熱中症には気を使う。
国道9号線を米子方面へ。小さな町の酒屋でゴリラがビールジョッキを傾けていた。うまそうにビールを飲むゴリラだな、と思った。今日も夜の徒歩は快調であった。満天の星空が歌う。長い尾を引いた流星。盛んに鳴く虫達。自分はてくてく歩いた。
JR山陰本線、名和駅という小さな駅に寄宿。何とも言えないノスタルジックな雰囲気の駅で、こういう駅は好きだな、三脚立てて写真を撮った。鉄道の旅というのも、以前に青春18きっぷを使ってやったことがあるが楽しい。駅舎のベンチにごろ寝。それじゃ体にいいわきゃないよと言われそうである。分かっちゃいるけどやめられない。なんつって。快眠。

天候
晴れ
気温
朝29℃ 昼35℃ 夜26℃
歩数
40805歩
累計3996770歩
出費
飲料×6・・598円
タバコ×2・・600円
カップラーメン×2・・352円
おにぎり×3・・335円
パン・・92円
発泡酒・・195円
計2172円
累計552730円
食事
朝・・カップラーメン、おにぎり×2、ジュース
昼・・パン、野菜ジュース
夕・・カップラーメン、おにぎり、発泡酒
道中・・飲料×4

129日目 名和~境港

20070813170802
12日、6時20分起床。名和駅にて起床。今日は境港の町まで行く予定である。境港には見たいものがある。水木しげるロード。いつ出来たのか詳しくは分からないが、今や境港と言ったらこれ、と言われるほどの観光名所である。自分はゲゲゲの鬼太郎が好きなのだが、鬼太郎ファンとしては要チェックの場所だ。
まずは昨日から引き続き、国道9号線を米子方面へ。何故か知らないが、暑いはずなのに足取りが軽い。コンビニで朝食をとってからスタスタ歩いて、ノンストップで15km位歩いたろうか、皆生温泉という温泉郷に到着した。ちょうどいいので、風呂に入っていくことに。
脱衣所のコンセントを拝借してケータイを充電し、風呂へ。風呂ってのは、本当に気持ちがいいね。出来ることなら1日2回くらい入りたい。風呂から上がり、体を乾かしていると、あら、コンセントからケータイがなくなっている。代わりに小さな張り紙がしてあった。
「ここでのコンセントの使用はご遠慮ください。携帯電話は受付でお預かりしています」
なるほど。受付に行くと、手渡してくれた。
「ごめんなさいね、携帯電話の充電は駄目なんですよ」
「いえいえ、すいませんでした」
「こういう専用のコンセントがあればいいんですけどね」
「そうですね、そういうのがあるとありがたいですね。」
「そうでしょ」
「いや、でもすいませんでした」
「いえいえ」
「・・ところで、この辺ってコインランドリーはありますかね?」
「ありますよ、そちらの方に」
「あ、この建物の中にあるんですか」
「はい。ただ、あの、洗剤は別売りになってまして。ソフターはないんですよ」
「洗剤はどこに売ってるんですか?」
「ここで販売しております」
「そうですか、そしたら洗剤もらっていいですかね」
「はい、50円になります」
ということで、ケータイは無事に手元に戻り、自分はコインランドリーへ。トランクス一丁になって、ズボン、スウェットなど全て洗濯。気持ちいい。
途中、コンビニで水木しげるロードの場所を聞いて、本屋などを冷やかしつつ境港へ向かった。弓ヶ浜と呼ばれる三日月様になった浜辺に沿って、国道431号線を歩く。
水木しげるロードは境港の駅を降りて、すぐ目の前にある。国道からは少し横に入っていかねばならない。道路標識にも、ちゃんと水木しげるロードまであと何kmと出ているので迷うことはなかった。「さかなと鬼太郎の町、境港へようこそ」「妖怪のまち、境港」なんて看板もチラホラ見かけた。
自分がそこに到着したのは、20時過ぎである。明るいうちに見ておきたい気がしたが、思ったよりも時間がかかってしまった。まあ、妖怪を見るんだから夜の方が雰囲気があるか、なんて思い直して歩いてみる。
水木しげるロードは、商店街をそのまま利用した作りになっていた。駅前通りの商店街、延長800mに80体の妖怪像があり、その他にパネルや鬼太郎ポスト、目玉オヤジの電球やねこ娘電車なんてのも走っていた。その商店街に並んだ店も鬼太郎茶屋、妖怪神社、鬼太郎郵便局などといった、鬼太郎や妖怪にちなんだものが多く、グッズが充実している。
夜だというのに観光客も結構いて、家族やカップルで「あ、あれはバケゾウリだ!」とか、「ねえ、見て見て!豆腐小僧!」なんてはしゃいでいるファンもあれば、一人で黙々と写真を撮って歩いているマニアのような人もいる。さすがは水木しげるといった感じである。
その妖怪像はほとんどミニチュアだが、中には等身大のものもあり、自分はねずみ男と握手をしている写真を撮った。砂かけ婆、子泣き爺、ねこ娘、ぬりかべ、一反木綿といった代表的キャラ。ぬらりひょん、つるべおとし、傘化け、枕返し、小豆洗い、天井なめといった妖怪達。果ては悪魔くんや、サラリーマン山田(鬼太郎に出てくるメガネをかけた人間、やられキャラ)などの像もあり、通りの外れには水木しげる記念館もあったのだが、こちらは夜で閉館していた。
1時間ほど歩いて見て回り、近くの東屋に移動。今日は調子よく歩いた反動か、アクエリアスの500ml缶を立て続けに3本飲み、強い眠気ですぐに眠りについた。

天候
晴れ
気温
朝26℃ 昼37℃ 夜30℃
歩数
48327歩
累計4045097歩
出費
タバコ・・300円
風呂代・・350円
コインランドリー代・・350円
飲料×8・・884円
おにぎり×2・・210円
パン×4・・525円
計2619円
累計555349円
食事
朝・・おにぎり、パン×2、イチゴオ・レ
昼・・おにぎり、パン、サラダハムサンド、カフェオ・レ
道中・・飲料×6

130日目 境港~平田

20070814161851
13日、7時起床。境港からは橋を渡ればすぐ島根である。ということで、朝、歩き出してすぐ島根は松江市入り。
鳥取から島根にかけて、ポプラという地元埼玉では見かけないコンビニが増えた。このポプラ、東北辺りからチラッと見かけはしたが、この辺りではシェアNo,1かもしれない。強い。
とりあえず北海道から島根まで海沿いを歩いてきたことになるが、各地においてコンビニ勢力図のようなものがあって面白い。いつの間にかサークルKサンクスを見かけなくなった。東北から新潟にかけては最強だったのに。
しかし、それにしてもローソンは偉いと思う。これまで、どこを歩いても見かけたコンビニはローソンだけである。全国展開ということになるのか。他のコンビニが、ある区域にかたまっているのに対し、ローソンはポツポツと散らばっている。店舗の範囲が広がれば、配達一つにしてもリスクは大きいだろうに、ちゃんと田舎部にまで入り込んでいる。そうして競争相手の少ない土地でしっかりと繁盛しているのだから凄い、巧い。地域にも愛されている印象を受ける。
昼、温度計を見ると40℃であった。いくらなんでもそんなに暑くはないだろう。リュックの脇のポケットに入れているので、熱がこもりやすいのかもしれない。ここ最近の下の気温データの(昼)は-5℃位で見てもらった方がいいかもしれない。
夕方、松江市街地入り。町中を歩いていると、どうもいい感じである。綺麗に整備された川に沿って柳が垂れたりしていて、町全体に一本筋の入った風情がある。はて、何でだろう、なんて考えながら歩いていて分かった。松江には松江城という城があるのだ。これは城下町特有の風情である。
城がある町というのは、その歴史からか、建造物や通りなんかにどことなく落ち着き払った重みがあり、ドッシリとしている。それが旅人を居心地よい気分にさせてくれるのだ。そんな中、川沿いなんかでビアガーデンを開催しているところが多くあって、その誘惑を振り払うのは、ちと辛かった。
高校生バンドだろうか、信号待ちしている自分の前を若い男4人組が自転車に乗って通り過ぎていった。ギターとベースを担ぐ者。ドラムスティックを前カゴに入れている者。何も持っていないのはボーカルだろう。この辺りにライブハウスがあるのだろうか。自分はライブを観るのが好きで、青森や新潟、金沢と都市部を通るごとにライブハウスをチェックしていたのだが、まだ一度も観賞の縁がない。残念である。
夜、宍道湖の脇、国道431号線を通り出雲へ向かう。宍道湖のしじみを食べてみたかったが、夜なので、それらしい食堂も見つからなかった。
ここ2、3日、どうも足の調子が快調である。不思議だ。暑いはずなのに足が勝手に動くようである。バイオリズムってやつだろうか。そんなものだから、予定よりも大幅に先まで進み、スーパーのベンチに寄宿。
今日使ったお金の計算をしていて驚いた。飲料を10個も飲んでいたのである。1つが500mlとして、5Lの計算だ。これでも我慢していたつもりなのだ。それが証拠に小便などほとんどしていない。排出した水分のほとんどが汗だろう。1日に5Lの水分を出し入れしていたのかと思うと、少しゾッとする。水分補給はこまめにしようと改めて思った。

天候
晴れ
気温
朝30℃ 昼40℃ 夜29℃
歩数
63430歩
累計4108527歩
出費
飲料×10・・1217円
タバコ・・300円
焼きそば・・400円
おにぎり×2・・210円
パン×2・・335円
カップラーメン・・165円
発泡酒・・211円
計2838円
累計558187円
食事
朝・・おにぎり、パン、ハムサンド、ジュース
昼・・カップラーメン、おにぎり、発泡酒
夜・・焼きそば、コーラ
道中・・飲料×8

131日目 平田~多伎

20070815191627
14日、7時10分起床。ベンチ後ろにあったスーパーのシャッターが開く音で目が覚めた。今日はどこまで行こうか、地図を見て手頃な道の駅に決め、歩き始めた。
出雲にいる。出雲と言ったら、出雲大社しか思い浮かばない。出雲大社。縁結びの神様である。ここは旅を始めた当初から、是非行ってみたいと思っていた場所だ。
今は8月だけど、8月の事を葉月という。1月は睦月で、12月は師走である。日本には1月から12月まで、そういう漢字の呼び名があるけれど、10月の事を神無月と呼ぶ。芸人にそんな名前の人がいた。
この神無月だが、何故、神無月と言うかというと、日本中の神様が10月に出雲に集まって会議を行うために、全国各地で神様がいなくなってしまうから、そういうらしい。じゃあ、出雲は神無月じゃないじゃんか、というとその通りで、日本で唯一、出雲だけが10月の事を神在月(かみありづき)と呼ぶそうだ。
こんな話を高校の時に国語教師から聞いて、その時から興味があった出雲大社なのである。自分はとりあえず出雲大社を目指した。
今日も晴れである。太陽は刺すように自分の体を照らす。が、昨日の夜、予定よりも先に進んでおいた為に、出雲大社までの移動はそれほど苦ではなかった。あちぃあちぃ、と言いながら歩いていると、出雲大社まであと2、3kmというところで、面白そうな施設が目に入った。看板にでっかく「島根ワイナリー」とある。丁度いい、ちょっと見学していこう、うまくいけばワインの試飲が出来るかもしれない、と思い、そこに立ち寄ることにして歩調を速めた。
受付に入ると、中には誰もいない。クーラーが効いている快適な部屋だったので、そこに居座ってTVで甲子園を見ていた。どうやら、予約などなくても見学出来るようである。後になって家族連れの観光客なんかがちょこちょこやって来たが、大分涼んだことだし、自分は見学順路と書かれた案内板に従って、勝手に一人で見学を始めた。
発酵過程とか、瓶詰め過程とかを見て回るが、ここにも人はいなかった。出口を出ると、試飲コーナーの看板があったので、勇んでそこへ向かった。
へっ、これが楽しみだったんだよ、とバッカスなんて名前がついた建物の中に入ると、うわっ、黒山である。さっきまで人の影がなかったから、なんで?と思ったが簡単であった。皆、ワインの醸造過程を見学せずに、直接試飲コーナーに来ていたのである。
しかし、ここの試飲コーナーというのが、また太っ腹で、いくらでもワインを飲める。ほろ酔いになりながら、ソムリエのフリをして各ワインを採点していった。その結果、自分が美味いと思ったのは2つの銘柄である。この結果を誰かに伝えたかったが、誰も自分のワイン評を聞いてくれる人などいなかった。試飲がある、ということは販売もしているということなんだけど、そちらには目を向けず、そこを後にした。
ワイナリー工場の庭にあった大きなワイン樽を見て、10歳位だろうか、小さな女の子が「すごーい!大きい!」と言っていた。すると、その横にいた父親らしき男性がつまらぬ事を言った。何て言ったか?
「持って帰れば」と言ったのだ。ひどくつまらぬ事を言う親父があったものだ、と思いながら、この会話を聞いていた自分は、次の女の子のセリフに感動してしまった。この子は将来魅力的な女性になるだろうなと思った。何て言ったか?
「だね!」
と言ったのである。だね!って。!がポイント。
「すごーい!大きい!」
「持って帰れば」
「だね!」
一見すると何気ない会話に見えるが、これはなかなか出来る相槌じゃない。相手の気分を害せずして、つまらぬ会話を終わらせる最善の一手であると思う。自分など、出来て「ああ」だろう。下手したらツッコんでしまう。この女の子の持てる優しさに感心した。あの父親、それに気づいているだろうか。見事な相槌に救われた、自分の発言を。なんて考えて。その横では揚羽蝶が花の蜜を吸いに来ていた。
この施設の中にあった食堂に、宍道湖のしじみを使ったしじみ汁があったので、丁度いい、それを食べて出雲大社へ向かった。
出雲大社へ着くと、その辺りでよくそば屋を見かけるようになった。出雲そばとある。出雲そばとはなんだか聞いたことがあるので、折角だからその内の一軒に入って食べてみたが、別段うまくもなかった。ただ、店は行列が出来るほどの混みようであった。
旅に出る前に、うちの親父がどこかの神社だか寺だかに行って、縁結びのお守りを買ってきたことがある。うちの兄弟は自分の上に兄と姉の3人兄弟なのだが、まだ誰も結婚していない。ところが、親父が買ってきた縁結びのお守りは2つで、そこには兄と姉の名前が書かれており、自分の分がない。
「俺の分は?」
と聞くと、親父はこう言った。
「お前は旅に出るって言うから、買ってこなかったよ」
この時、自分は親の心中をわずかに垣間見たような気がする。(憶測だが、旅中に自分に縁談があっては困ると思ったのだろう)まあ、こんなこともあって自分は出雲大社に着いても、あまり自分の縁結びをお願いする気はせず、代わりといっては何だが100円を賽銭箱に投げ込んで、N君の縁談を祈った。境内にはカップルやらグループ、夫婦に女性同士の参拝客が多く、男一人というのは少し変な心地がした。
後、「キララ多伎」という道の駅まで移動。近くで花火大会が行われていたらしく、人が大勢いる。タバコを吸いながら、少しほとぼりがさめるのを待って、建物内のベンチで眠。

天候
晴れ
気温
朝28℃ 昼36℃ 夜31℃
歩数
45002歩
累計4153529歩
出費
飲料×5・・659円
出雲そば・・700円
タバコ・・300円
和牛丼(しじみ汁付)・・600円
生ビール・・530円
パン・・105円
おにぎり・・105円
スナック菓子・・145円
アイス・・103円
発泡酒・・195円
お賽銭・・100円
計3542円
累計561729円
食事
朝・・おにぎり、パン、ジュース
昼・・和牛丼(しじみ汁付)、生ビール、出雲そば
夕・・スナック菓子、アイス、発泡酒
道中・・飲料×4

132日目 多伎~温泉津

20070816143359
15日、8時半起床。道の駅にて起床。夏場は2日風呂に入らないとやばい、ということが判明した。体が使い込んだ柔道着のような臭いをしている。自分自身近寄りがたい臭いだが、自分自身から発せられているので、どこまで行ってもついてくる。厄介である。コンビニなどに入っても、人が近づいてくると自分の方が気になってしまう。
例えば、口臭とか腋臭とか、便臭とか足臭とか、自分は今まで、そんなものは本人が気にしなけりゃいいじゃないか、体臭の悩みなんてちっぽけなもんだぜ、と思っていたけど、ここまで自分自身の臭いが感ぜられると、人の目が気になってしまう、というか別に悪いことをしている訳じゃないんだけど申し訳なくなる、なんてことが分かった。そりゃ、8×4も売れるはずだ。
しかし、臭いというのは不思議なものだ。何故、体の臭いは臭いのだろう。シャンプーとか香水とか、そういったものがない限り、人は誰しも臭くなる。何もしないで、いい匂いを発する人なんてこの世にいないだろう。皆少なからず努力をしているから臭いも消えるし、いい匂いもするのだが、じゃあ嗅覚って一体なんなんだ、という話である。
だって、いい匂いなんてものはほとんど人工物の匂いである。臭さほど、いい匂いに感ぜられた方が人間の生活都合上、便利じゃないか。皆、歯を磨かなくても、風呂に入らなくても、怠ければ怠けるほどいい匂いになる。どうして、そのように進化しなかったんであろうか。って、そうなると誰も掃除をしなくなり、地球を汚しまくるからかもしれない。ああ、なるほど、もっともな進化なのかもしれないね。と納得。なんのこっちゃ。
歩き始めて10kmほど、あまり暑いので山中のつぶれたガソリンスタンドで休憩していたら、眠気を催して昼寝。屋根の下の影で寝ていると、寝ている間に太陽が傾いて、いつの間にか自分はサンサンと太陽を浴びていた。すごく暑くて起きた。なんだかな。
段々とこの旅が様になってきたような気がする。北海道を歩いていた時
「どこから歩いてきたん?」
「稚内です」
「どこまで行くん?」
「沖縄です」
なんて会話をすると、「沖縄?!」なんて言われて笑われたが、ここまで来て同じ会話をすると、もう沖縄の方が近いからか
「どこまで行くん?九州か?」
なんて言われて、「沖縄です」と答えても、別に笑いもされない。そのかわり
「ほんで、沖縄からはどうするん?」
と聞かれると
「太平洋側をのぼって、また北海道に戻ります」
と答えるのだが、この時は困ったような顔をする人が多い。ただ、どこを歩いていても、「頑張れ」とか車のクラクションを鳴らして応援してくれる人はいて、そういうことがあると歩きにも張り合いが出てくる。毎日移動しているわけだから、誰も自分のことなど知る人はいないのだが、そうやって声をかけてくれる人がいる、見てくれている人がいる、というのは純粋に嬉しい。
この辺りで、やけに多く「祝・世界遺産登録・石見銀山」という幟やポスターなどを見かけた。石見銀山、というのは自分は聞いたことがなかったが、世界遺産登録となると見てみたい気がする。
そうそう、進化の話で思い出したんだけど、この歩き旅によって自分の体も進化した。まず、腕毛が濃くなった。蚊に刺されづらくなったので良い。そして、何より足である。足のサイズが26cmから27cmになった。指と指の間が広がった。確実に歩きに特化した体に進化している。
夜、今日も空には天の川が見える。流星も多い。満天の星の下を歩くのは気持ちがいい。温泉津という町の駅ベンチで眠。

天候
晴れ
気温
朝32℃ 昼36℃ 夜23℃
歩数
51146歩
累計4204675歩
出費
飲料×10・・1216円
タバコ×3・・900円
焼きそば・・147円
パン×4・・523円
おにぎり×2・・230円
アイス・・103円
計3119円
累計564848円
食事
朝・・焼きそば、パン、野菜ジュース
昼・・おにぎり、パン、ハムエッグサンド、アイス、麦茶
夕・・おにぎり、ウーロン茶
夜・・パン、ジュース
道中・・ジュース×6

133日目 温泉津~浜田

20070818151054
16日、9時起床。温泉津駅ベンチからの出発。今日は風呂に入りたい。地図を見る限り、この先に温泉もあまりなさそうなので、ここ温泉津は名前通りの温泉街(読み方はユノツだが)ということで、ここで入ることにして風呂屋が開くであろう時間まで待った。(結果的に風呂屋は5時という早さから開いていたのだが)
昨日、体が臭いと書いたが原因が分かった。リュックである。リュックを背負いながら歩いていると、背中の密着した部分は汗をかく。その量はすごい。リュックの中身も湿るほどに汗をかくのだが、どうやらこれが原因らしい。リュックはTシャツなどと違い洗濯などしないから、かいた汗はそのまま夜に自然乾燥させるのだけど、汗を乾燥させても汗は汗で臭いは消えないのだろう。これに誘発されてTシャツが臭くなるようだ。つまり、新しいTシャツを着ても、歩き出すとすぐ臭くなる。
「隙あらばリュックも洗濯」
また旅の教訓が一つ増えた。
温泉津温泉街は、地味な温泉街でホテルというホテルもないのだけど、昭和レトロといった感じの街並みはどこか懐かしかった。案内所で外湯の情報を聞き、細い路地を奥へと入っていく。向かったのは、薬師湯温泉という小さな銭湯のような温泉である。
この薬師湯温泉、日本温泉協会だかなんだかの認定で中国地方で唯一、オール5の評価を受けた泉質の良さらしい。オール5評価の温泉は全国でも12箇所しかないそうだ。湯治にもよく使われるらしく、確かに浴槽に浸かると、湯が白濁色で濃い感じがする。何かの成分が固まるのだろう、浴槽の縁、湯の流れる辺りは橙色の物質が凸凹に隆起していた。
ところで、偶然ではあるが、今日その薬師湯でTV取材が行われ、13時からタレントのモンキッキーが来るという話であった。自分が風呂に入ったのは10時半である。思わずミーハー心が起き上がり、2時間半風呂に入り続けて、やってきたカメラに「いやー、いい風呂ですよ」なんてコメントをしようと思ったが、駄目だった。30分位して熱くて上がった。その後、休憩所にてビールを飲みながらモンキッキーがやって来るのを待ったが、彼は休憩所には取材に来てくれなかった。インタビューされた時のセリフまで考えていたのに。更に言えば、ツッコミやすいようにビールは2缶空けてあったのに。こういう時ってのは、一人意気込んで待ち、挙句自滅する場合が多い。もしかしたらTVに映るんじゃないか、っていつもより入念に化粧をするおばちゃんのような精神である。だらしない。温泉津温泉にはTV取材などちょくちょく来るらしく、他にもガレッジセールや篠原涼子と薬師湯の女将さんが一緒に並んだ写真などが階段の踊り場に飾られていた。
夜、江津という町を通りがかると、なんてことだろうか、ベストタイミングで花火大会が始まるところであった。何やら道路規制をしていたので警備員のおっちゃんに聞くと、良い見物場所まで教えてくれた。河原にシートを敷いて寝そべり、すぐ横から打ち上がる花火を眺めていると、なんだか花火に吸い込まれるような心地がした。花火というのは、近くで見ると爆発した瞬間にこちらに迫ってくるようである。
ドーン(もう)
ドーン(夏は)
ドドドーン(終りですよ)
花火がそう言っているような気がした。正面の川では灯篭流しも行われている。小一時間も見たろうか。自分は「やったぜ、ドンちゃん」と呟いて、その場を去った。
国道は歩行者天国になっていた。いつもトラックに怯えながら歩いている国道を好きに歩けるのは小気味よい。そうして、蝟集した群衆の中を誰よりも早く歩いた。次の町に向かった。
深夜、浜田の町に到着。コンビニで雑誌を立ち読みしていたら、店員に「もう閉まりますので、お買い物の方をお願いします」と言われた。油断していた、そこは閉まるコンビニだったのだ。別に何を買うとも決めていなかった自分はカップラーメンを一つ手に取り、レジへ。お湯を入れて外へ出ると、すぐに店の明かりが消えた。真っ暗になった店の前で麺をすすり、空を見上げると今日も満天の星。
寝場所を浜田駅と決め、駅まで歩き出すと、その途中で繁華街を抜けた。もう眠りかけた繁華街である。1台のタクシーの前で男と女が言い合いしている。どうやら男が女をタクシーに乗せようとしているようだ。
酔っ払った調子の男が「だから、俺はお前といられればそれでいいんだよ」と言って女の手を引く。女は嫌がって乗らない、話も聞き流しているようである。
「バカめ、てめぇはSEXしてぇだけじゃねえか」と悪態をついて、その脇を通り抜ける自分も、またバカである。男というのは酒に飲まれると、どうも欲望が先走る。女はそれを知っている。すんなりと引き下がれない男。早く逃げたい女。夜の繁華街や駅前を歩いていると、よく見る光景である。この後、二人がどうなったかは知らない。けれどあの男は明日の朝、堪えがたい情けなさに襲われるだろう。手に取るように分かる。全く、男ってバカなんだから。
駅に着くと、先客が一人ベンチに寝ていた。自分が空いたベンチに横になると、また一人やってきた。明かりはついたまま。そのまま眠。

天候
晴れ
気温
朝29℃ 昼38℃ 夜28℃
歩数
50853歩
累計4255528歩
出費
ジュース×6・・706円
缶ビール×2・・500円
風呂代・・300円
パン・・105円
カップラーメン・・150円
いなりずし・・316円
ちらしずし・・294円
計2371円
累計567219円
食事
昼・・いなりずし、ちらしずし、ジュース
夕・・パン、ジュース
夜・・カップラーメン
道中・・ジュース×4、缶ビール×2

134日目 浜田~益田

20070818192454
17日、8時40分起床。朝、周りがガヤガヤしているので目が覚めた。遠足か何かであろうか、駅構内に小学生が大勢いる。準備をして駅から歩き出し、今日の目標である益田へ向かう。益田までは40km強。地図を見ると、途中、うまい具合に道の駅があるので、前半はそこまで、後半はそこから益田までと分けて進むことにした。
小休止を挟みつつ、道の駅に着いたのは昼過ぎであった。道の駅で甲子園を見、食堂でカツ丼を食い、昼寝をして、どっぷり安息に浸かっていると、おかんからメールが来ているのに気づいた。

自分は一つの失敗をした。この旅に出てくる前、自分はそれまで住んでいたアパートを引き払い、出発までの数日間を実家で過ごした。5日間ほどだったろうか。自分はこの5日間で旅に出る前の準備の総仕上げをした。家具などの荷物は全てまとめて、使っていない部屋に置かせてもらった。旅を終えて、帰ってきた時にまたすぐに一人暮らしを出来るようにしておいた。もしもの時のための保険、自分が旅に出ている間の年金など、特に金に関してのことは慎重に、確認、処理をして旅に出てきた。親に対してかける迷惑、心配を最小限にしようという思いからだが、その裏は自分自身が旅を心置きなく楽しむためである。
ところが。先に書いた通り、自分は一つ失敗をして旅に出てきてしまった。実家に銀行の通帳を置いたまま出てきてしまったのだ。どうやら親はその通帳を使い、自分の預金状況を知悉していたようである。どこでいくら下ろしたか、ペースは、残金はいくらか。迂濶だった。隠してくるのを忘れたのである。
「お金が大分少ないようなので、入れておきました」
おかんからのメールはこういうものだった。
このメールを読んだ時、しまった!と思い、そうして手が震えた。悔しかったのである。とにかく悔しかった。何故?と思う人もいるかもしれない。ありがたいじゃない、とも思うかもしれない。けれど、それは上に書いた通り、自分は親に金の心配をされ、ましてや援助されてまで旅などする気はないから悔しかったのだ。おかんだって、旅に出る前、自分の金でやりなさいよぐらいのことを言っていたはずである。だから安心もしていた。
つまりは要するに、自分のプライドが傷ついた。ボクシングの試合で、選手がファイティングポーズをとっているのにセコンドからタオルが投げられて、選手が「何で投げたんだ!」とセコンドに食ってかかることがある。あれと全く同じ気持ちであると思う。余計なことをしてくれた。自分はちゃんと予定を立ててラウンドを進めていたのである。何でタオルを投げこんだんだ。何でダウンするその時まで信じてくれなかったんだ。
あまりに悔しくて、自分は休憩を切り上げて、急ぎ足で益田へ向かった。親の金で旅なんて絶対にしたくない。第一、そんな奴、学生でもない限り誰も応援してくれないだろ。ちっとも嬉しくない。もう怒りである。親父も親父だ、親父なら男なのだから自分の気持ちも分かってくれるだろうに、なんでおかんを止めなかったのか。女性の優しさは時に男のプライドを傷つける。屈辱的にすることがある。おかんだって、よかれと思ってやったことだろうから、責めはしない。でも、どうしてもう少し自分の気持ちを察してくれなかったか。自分の心配を優先して金など入れたか。ヌラヌラした黒い気持ちになり、クッソーーッと何度も叫んで猛進した。
けれど、益田は遠かった。夜になり、銀行も郵便局も閉まってしまった。自分はおかんに「すぐに金を引き出して下さい」とメールを送ろうとしたのだが、それでは話が平行線になると思い、自分で引き出して現金書留で送り返すことにしたのだ。
明日の朝まで待つことにして、つぶれたパチンコ屋の前で眠。

天候
晴れ
気温
朝29℃ 昼34℃ 夜30℃
歩数
57704歩
累計4313232歩
出費
飲料×8・・888円
タバコ・・300円
カツ丼・・700円
弁当・・360円
おにぎり・・180円
サラダドッグ・・147円
発泡酒・・195円
計2770円
累計569989円
食事
朝・・おにぎり、サラダドッグ、ウーロン茶
昼・・カツ丼
夜・・弁当、発泡酒
道中・・飲料×7

135日目 益田滞在

20070819205847
18日、8時起床。パチンコ屋入り口の前で起床。コンビニに移動して朝食。後、町中に入って銀行を探す。すっかり忘れていたのだが、今日は土曜日である。歩いていると、あまり曜日を気にしなくなるが、銀行も郵便局も市役所も土曜日は休みである。ATMだけは9時から開くらしいので、コインランドリーで汚れたズボンを洗うなどして時間をつぶした。コンビニATMはほとんど見かけない。
昨日のお金であるが、現金書留で送ろうと思ったのだが、郵便局がそんな理由なので、たまたま見つけた文房具屋で封筒を買い、それで送ることにした。銀行預金の残りがいくらかは覚えていたので、残額照会をして差額を引き出す。
好意を無下にするような気がする。こういうお金は自分が折れて受け取って、ありがとうと一言いうのが優しさなのかもしれない。でも、やはり受け取れない。自分の中の気持ちをしっかりと確認し、短い手紙をしたため、お金と一緒に封筒に入れてポストに投函した。
ところで、益田市である。自分はここに用がある。前にも少し書いたが、自分は高校時代にある1頭の馬を世話していた。出産からセリ市まで成長を見届け、競走馬として生まれてきた彼女をここ益田市にあった益田競馬場へと送り出すことが出来た。7年前の話である。
その後、この益田競馬場は廃止になってしまい、彼女は広島にある福山競馬場へと転厩したようである。しかし、そこからの情報が分からない。益田競馬場が廃止になってから、もう数年が経つが、益田に行って当時の関係者に行き合えれば何か話が聞けるかもしれないと思っていた。そして、その益田に着いた。
まず、駄目元で市役所に向かってみた。以前、問い合わせた時に市役所の方に彼女が所属していた厩舎を教えてもらったことがあるのだ。だが、やはり土曜日で、居たのは掃除のおばちゃんだけだった。「誰もいないよー!」と言う。仕方なく、競馬場へと向かう。
競馬場は廃止になってしまったために、地図からも場所が消えてしまっている。町の人に聞きながら、だいたいの位置を確かめ進む。競馬場を含む公営ギャンブルの施設というのは郊外にあることが多いので道順が分かりづらい。
途中のガストで休憩していたら、これが、はは、夕方になっちゃった。もう、人を訪ねるのには時間が遅いだろうということで、明日の朝にすることにして、今日は益田に滞在することにした。
コンビニでカップラーメンを買って、いつものように店の前で食べていたら、猫がやって来た。子猫のでっかい奴、とでも言おうか。食べ物の匂いに釣られてやって来たようである。
「なんだ、お前、これカップラーメン・・」
と言いながら猫の顔を見て言葉が止まった。
ひどい顔をしていたのである。目は開ききらないのか、両目ともまぶたが上がりきっていない。そうして、その半分開いた目は両方とも白く濁っている。目が見えていないようである。目やにが長く垂れ下がってプラプラしている。痩せ細った体の毛は湿って逆立ち、苦しげに開く口からはニャーという鳴き声も聞こえてこない。
こういうとこで餌付けをしてはいけない。ちゃんと責任を持った行動を。なんて人は言うが、そんなことは知らん。自分はそのあまりの痛ましさに、猫にちょっと待ってろと言い、コンビニで魚肉ソーセージを1本買ってきてくれてやった。目が見えないせいか、自分の足音にびくつきながらも、ちぎってくれてやったソーセージにかぶりついている。あまりくれても強すぎるから半分くらいにしようと思ったのだが、4分の1ほど食べて、もう腹がいっぱいになったようである。
あと1ヶ月。このままでは、あと1ヶ月も持たないだろう。人の手があれば、もしくはながらえるかもしれない。けれど、人なんていい加減なものである。自分に関係のないこの盲目の猫の命を誰が救うというのか。どんなに社会の景気が良くなっても、この猫は死ぬだろう。自分だって同じである。ここでわずかな食い物を与えてやることは出来るが、世話となると無理なのだ。でも今にも死にそうな猫に、うまいもんぐらい食わせてやったっていいじゃないか。
コンビニでもらったウェットティッシュで目やにを拭いてやり、それからこの猫に「ヨーカイ」と名前をつけてあげた。顔が妖怪みたいだからである。そうして、ヨーカイに「死ぬのは怖くない。今度、生まれてきたら強い強い格闘家のような人間に生まれてきなさい」と言い、頭をなでてやった。自分は残っていた魚肉ソーセージを食べて立ち上がり、その場を去った。ヨーカイはそこから動かなかった。
夜、寝床を探していた自分に親父から電話がかかってきた。ブログを読んだらしい。例のお金の件である。
「今、仕事から帰ってきて、メール(ブログのこと)読んだんだけど・・。俺は知らなかったんだけどさ、お前、何も送り返すことはないじゃないか。借りとけばいいじゃないか。あとで返せばいいんだから」
と言う。
親父の話しぶりから、あ、きっとおかんが泣いているんだな、と自分は察した。親父はおかんの側に立って話をしていた。
「もし、どうしても駄目だったら、その時はこっちから電話をして、悪いんだけどちょっと金を貸してくれと言うよ。何でそれまで待ってくれなかったんだ」
と自分は言った。
親父は苦笑いをしているようだった。そうして、いくつかのやり取りをして電話を切った。
甘えなのかもしれないな、子供の意地なのかもしれない。でも、餞別をもらうのなんかとは訳が違うから、受け取れなかった。旅の意義が大きくズレてしまうような気がしてね。
今日はほとんど歩いていないけど、なんだか特に酒が飲みたくなってコンビニに行き、発泡酒を買った。それを飲みながら、河島英五の「酒と泪と男と女」を思い出した。
後、閉店したスーパーまで移動して、店前のベンチで眠。

天候
晴れ
気温
朝31℃ 昼36℃ 夜29℃
歩数
15310歩
累計4328542歩
出費
飲料×2・・278円
コインランドリー代・・400円
封筒・・84円
80円切手・・80円
タバコ×3・・900円
カップラーメン・・176円
おにぎり×2・・210円
発泡酒・・195円
魚肉ソーセージ・・134円
ガスト代(山盛りポテトフライ、ドリンクバー)・・483円
計2940円
累計572929円
食事
朝・・おにぎり×2、飲むヨーグルト
昼・・ガスト(山盛りポテトフライ、ドリンクバー)
夜・・カップラーメン、発泡酒
道中・・ジュース

136日目 益田~須佐

20070820194442
19日、7時起床。久しぶりに朝が冷え込んだ。気温は21℃。スウェットを着て寝ていても、少し寒かった。コンビニに移動して朝食。
昨日、町の人に聞いた情報を思い出しつつ、競馬場を探すと、案の定というか、なんというか、道に迷った。競馬場っぽい建物が見えてきたので、あれかー!ちゅって、フッフッ言って坂を上っていったら、空港であった。近くで散歩していたおばちゃんに聞くと、全く逆だと言う。
ブゥブゥ言いながら、今来た道を戻っていくと、駐車場が見えてきた。益田競馬場は今、競馬はやっていないが、大井競馬の場外だけ発売しているらしい。その場外馬券場の駐車場である。
ということは、この近くに競馬場跡があるはず、と付近を歩いてみると・・あった!まだコースがそのまま残っていた。ラチと呼ばれる柵こそ無くなっているが、ゴール板はそのままだ。草が生い茂っていたが、時々手入れはしているらしく、草を刈ったあとや、除草剤をまいたようなあとがある。周りはフェンスで囲まれていたが、それを乗り越え、コースの中に入ってみた。
それで気づいたのだが、あまり草が生い茂っていたので自分はてっきり芝コースかと思ったが、これダートコースである。ダートとは砂のことだけど、しばらく放っておいたのだろう、砂地を雑草が被っていたのだ。時間の流れを感じる。
厩舎が見当たらないので、近くの住宅に住んでいた人に聞いてみると、私は分からないがあの人なら知っているかもしれない、と当時の競馬関係者の人の家を教えてくれた。
教えられた通り、その家を訪ねると出てきたのは40歳位の男性であった。玄関に腰かけさせてもらい、話を聞く。
「もう、廃止になって5、6年経つからなあ・・」
5、6年。改めて聞いて、そんな前になるのかと思った。
「あの、サントゥールワン(彼女の競走馬名)という馬なんですが・・」
「サントゥールワン・・。ああ、覚えているよ。その馬を探しているの?」
「はい」
「・・・。うちの厩舎じゃなかったからね。サントゥールワンがここで走ってたのも、3歳の時でしょ。でかいレースもいくつか勝ったからね。他へ行ったと思うけど・・。それからはちょっと分からないけど、今、8歳。走ってるかどうか。乗馬になってるかもしれんけね」
「ああ、乗馬・・。あの、厩舎って今はどうなったんですかね」
「そこにあったけど、もう取り壊したけんね・・」
「サントゥールワンの調教師さんは・・」
「みんな散らばってしまったけん、○○さんは街の方におると思うけど、どうやろか・・」
それ以上の詳しいことは聞けなかった。
この話は、最終的に福山競馬へと持ち込まれることになった。幸いにも福山競馬場は、広島県福山市の海沿いにある競馬場である。別に電話で聞いてもいいのだが、どうせなら来年直接行って、彼女の走っていた(もしかしたら走っている)競馬場を眺めながら話を聞きたい。それまでまた、とりあえずこの話は置いておこう。
さあ今日は、いざ下関、いざ檀ノ浦、山口県入りである。前半戦本州最後の県に入る。ここを過ぎれば、関門海峡を越え、もう九州だ。多少なりとも気合いが入る。
ちなみに山口県というのは日本で一番、総理大臣を輩出している県らしい。記憶が正しければ、安倍首相も山口である。幕末の志士、吉田松陰が今の萩市にて主宰した松下村塾からは著名な人物が幾人も輩出されており、幕末の頃より政治と縁の深い土地のようだ。
昼前、峠を越える山中のトンネルにて越境。山口県入り。
今日は、どこまで行こうか。とりあえず、山口県に入って少し行った「ゆとりパークたまがわ」という道の駅に向かうことに。
途中、道路脇の休憩パーキングに大型トラックがわざわざ止まってくれ
「暑いだろ?途中まででよければ乗っていきな!」
とドライバーのおっちゃんが言ってくれた。
「ありがとうございます、でも歩いてるんですよ!」
車とは反対側の歩道にいた自分は、間を通る対抗車の音に負けないように声を飛ばした。
「歩くったって・・!どっから歩いてんの?」
「北海道です!」
「ええ!」
そんな会話をして、お互い笑顔で手を振って別れた。
「体に気ぃつけぇよー!」
「ありがとうございます!」
おっちゃんはそう言うと、また走り出して、すぐに見えなくなってしまった。
道の駅に着くと、ここで思わず夕方まで昼寝。もう、昼寝じゃないか。本寝?だって、フカフカのソファーが気持ちよかったんだもの。
夜、須佐という町まで移動。ちょっとした用事があり、夜中に地元の友達に電話をすると、あはは、面白いな。たった数ヶ月だけど、あまり久しぶりに感じ、声を聞いた瞬間に吹き出してしまった。
「おう!」
「ブッ!プププ・・」
駅のベンチで横になりながら、なんだか話が盛り上がって、ついつい長電話をしてしまった。
電話を切ると、蚊。蚊がすごい。ブスブス刺されながら眠。

天候
晴れ
気温
朝21℃ 昼34℃ 夜26℃
歩数
36871歩
累計4365413歩
出費
ジュース×2・・204円
おにぎり×3・・360円
山菜うどん・・280円
計844円
累計573773円
食事
朝・・おにぎり×2、野菜ジュース
昼・・山菜うどん、おにぎり
道中・・コーラ

137日目 須佐~萩

20070821120439
20日、8時起床。須佐駅ベンチにて起床。とりあえず午前中に道の駅「阿武町」を目指して、移動開始。国道191号線をひた歩く。
気づけば、もう8月も下旬になる。夏休みも終盤である。夏の終わり、秋の始まり、いいね秋、秋はうまいもんが一杯あるよ。サンマが食いてえなあ、って歩いていると、ちょうど昼頃、道の駅に到着した。
自分は、道の駅を見る度にそのありがたさ、というか偉大さ、オアシス的な存在に包まれる思いなのだが、一体いつからこんなものがあるのだろうと、道の駅の始まりに興味を抱くこともしばしばであった。
それが、今日分かった。偶然ではあるが、ここ山口県阿武町の道の駅「阿武町」が全国道の駅の発祥の駅だったのだ。言わば、道の駅第1号である。そのスタートは平成3年とあるから、やはりそんなに古いものではないらしい。なんでも、当時、この辺りで開かれた会議で誰かが(すんごいあやふやですみません)
「鉄道に駅があるように、道にも駅があってよいのでは」
と発言したのが始まりとのことで・・偉いっっ!誰だか知らないけど偉いっっ!!たったの10年20年で全国組織になったのだ。そして、そのおかげで自分の旅もだいぶ楽になっている。大したものを作ってくれた、と感嘆した。
この道の駅「阿武町」には、食堂から地域物産品店、温泉と温水プールまで備えつけられており、自分は温泉に入った。300円でシャンプー、ボディーソープ、タオル付きの良心的な温泉であった。
休憩室にて、誘惑に負け、キウイミックスのソフトクリームを食す。畳の上をゴロゴロしながら休んでいたら、人がやって来て「すいません」と言う。ちょっと横になっているつもりが、いつの間にか寝ていたらしい。目を開けて「はい」と言うと、その人は「もう閉館の時間なんですが」と言った。
ええ?ちゅって、起き上がり時計を見ると、夕方である。また夕方まで昼寝してしまったのだった。
だが、異変はそれだけではなかった。喉が痛い、なんだかフラフラする。とりあえず、その人に「すいません」と言って、荷物をまとめ建物の外に出て、庭にあったデッキチェアーに腰かけてみた。そして、落ち着いて自分の体を自己診断してみた。
どうやら、風邪のようである。昨日の朝が冷え込んで、若干、喉に違和感があったのだが、放っておいた。今朝、まだ違和感があったので、鎮痛剤だけ飲んでおいた。それが、さっき昼寝をしていた瞬間に何故か急に爆発したようである。症状が一気に溢れ出た。
具体的な症状は、くしゃみ、鼻水、火事、親父、違うっ、えーと、くしゃみ、鼻水、発熱、蜂蜜、違うっ、くしゃみ、鼻水、発熱、関節痛、と、まあ普通の風邪の症状である。
とにかく、今日の目標であった次の道の駅「萩しーまーと」まで歩こうと決め、歩くんだけど、足取りがフワフワして落ち着かない。ローソンの明かりが霞んで見えた。
「萩しーまーと」に到着したのち、ベンチに横になったが、寝つけない。体がカッカする。かと思えば、ブルブルっと震えるような悪寒。変な夢。こりゃ明日、病院かな、と思って、まあ、ちょうどこの先が萩の町だから都合はいいんだけど、自分は保険証を持っていない。面倒くせえな、ここがピークだろ、ここを乗り越えりゃあ・・って考えながら、寝ては起き、寝ては起きして、看てくれる人がいないというのは寂しいなあ、と夜風に吹かれた。
冷静と情熱の間、ベンチの隙間に顔をうずめて眠。

天候
晴れ
気温
朝28℃ 昼38℃ 夜28℃
歩数
44562歩
累計4409975歩
出費
飲料×4・・444円
カップラーメン・・150円
パン・・139円
風呂代・・300円
アイス×2・・315円
タバコ・・300円
日替わり弁当・・380円
計2028円
累計575801円
食事
朝・・カップラーメン、パン
昼・・日替わり弁当
道中・・飲料×4、アイス×2

138日目 萩~飯井

20070822124128
21日、9時起床。体調は下の中といったところ。思惑通り、一晩寝てピークは通り過ぎたようだが、平衡状態ってんだろうか、慢性状態ってんだろうか。だるい。いや、しかし、急にガクッときたね。これまでの好調が幸運であったと思わされる。
しばらくポケーッとしてから、萩市街地へ向かう。歩き出すと膝が笑う、太ももが重い、息が切れる。なんだか、長野から来たっていうおっちゃんが話しかけてきてくれたけど、集中力がないから会話にならない。相槌を打つのが精一杯である。
朝からの雨もあり、スーパーの休憩スペースで午前中いっぱい休憩。さあ、今日はこれからどうしたもんか。どうしたもんか、と言ってもずっとここにいる訳にはいかず、とりあえず歩くしかないのだけど、足を引きずって歩くようである。少し歩いては、膝に手をつき、呼吸を整える。1kmってこんな長かったっけと思う。
風邪の時は1に睡眠、2に栄養、なんていう。3、4がなくて、5に○○○ってのは、あれ、風邪薬のキャッチコピーだったか。しかし、まあ、これだ。栄養である。病院で点滴を打ってもらおうかと思ったが(点滴はものすごく効く)、昨日にも書いたように何かと面倒臭いので、実質的にしっかりと食事をとろうと考え、都合よくあった食べ放題の店に入った。ここは、うどんそば屋なのだが、なんと480円でセットの惣菜各種が食べ放題という激安の店であった。
ここで、キャベツの千切りをモリモリ食べた。食べ終え外に出ると、午前中と打って変わっての晴天である。日差しが強い。全く歩く気が起こらず、ベンチに腰かけて、近くに生えていた葉っぱをむしりとり、「ちびまる子ちゃん」の佐々木のじいさんもどきを描いて、ボケーッとした。
その後も、コンビニまで移動して、しばらく休憩したり、日陰になった道路の縁石に腰かけたりしながら、少しずつ進み、夜、飯井という県道沿いの駅に到着。結局、今日は十数kmしか歩けなかった。
今日の目標であった長門市街は明日に持ち越して、明日、全快とは言わない、8割方の体調に回復することを願い、今日は早めに就寝。まだ、汽車が走っている時間なので駅のベンチも居づらい。虫が盛んに鳴いている。
汽車が通過するまで暇なので、便数を数えてみた。山陰線、飯井駅から長門方面11便、益田方面11便であった。先ほど、20時28分長門方面行きの汽車がやって来た時、1両編成の車内は学生でいっぱいであったから、萩の高校に通う学生が多いのだろう。
そうそう、旅をしていて自分はほとんど若者に話しかけられたことがない。若者は話しかけてこない。話しかけてくるのは、おじちゃん、おばちゃんばかりである。何でだろう。そのかわり、一番強い視線を感じるのは若者なのである。無遠慮ともいうほどの視線を投げかけてくるのに、内輪に終始している。興味はあるんだろうけど、関わろうとしないといった印象である。自分が言うのも何だが、これは残念だ。
触らぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らず、されど、虎穴に入らずんば虎子を得ずである。若者は色々なことに積極的になり、どんどん自分の栄養にしていった方がいい。気になったら話しかけることを恐れずに、また面倒臭がらずにすれば道はどんどん広がっていくのだ。善くも悪くもそれが出会いであり、成長である。自分の旅の話も何か力になれれば嬉しい。

天候
雨のち晴れ
気温
朝28℃ 昼32℃ 夜28℃
歩数
25719歩
累計4435694歩
出費
ジュース×3・・279円
発泡酒・・150円
パン×2・・158円
カップラーメン・・176円
ざるうどん・・480円
計1243円
累計577044円
食事
朝・・パン×2、ジュース、ウィダーインゼリー
昼・・ざるうどん、惣菜食べ放題
夕・・カップラーメン、ジュース
道中・・コーラ、発泡酒

139日目 飯井~特牛

20070823225150
22日、7時10分起床。トーテムポールに乗り、目指すエルドラド、高鳴るジャングルの神招く、滑らかに、ってやっちゃね。なんがやねん。
駅のベンチで目を覚まし、寝袋を畳んでいると、おばあちゃんがやってきて
「ほぉ、おはようございます」
「おはようございます」
「ここじゃ寒かったろう、まあ、この辺は蚊は少ないけね」
と自然に会話が始まる。いいなぁ、どうも。
昨日は、久しぶりに寝袋を使って寝た。別に気温はそんなに低くはなかったのだが、しっかりと温まって、汗をかこうと思ったのだ。汗をかけば熱が下がる。熱が下がれば、風邪も快方に向かうし、歩くのも楽になるという寸法である。古典的な方法だが、これも効く。
そして、朝起きると、うまい具合にぐっしょりと汗をかいていた。額、首筋を触ってみても、ほてっていない。熱は下がったようだ。歩き出すと、足が軽くなっている。こりゃあいい、と勢い込んで歩いた。
健康って大事だな。自分は大病をしたことがないし、若いからまだまだイケるなんて余裕に構えているけど、こんなちょっとした風邪で体力なんてグンと落ちちゃうんだもんな。健康第一って本当だ。頭でなく、体で理解した。
しかし、まあ、そんなわけで今日は昨日の遅れを取り返すかのように進んだ。まだ若干、喉に違和感があるのでタバコを吸うと咳き込む。日差しを避けつつ、なるべく負荷のかからないペースで3~10kmスパンの歩き方をした。
歩き方と言えば、以前、2日間ほど、旅の御供をさせて頂いたお坊さんであるが、あの人は凄かった。まず1日6、70km歩くというだけでも驚異なのだが、30km位なら休憩なしでいけるとも話していた。30kmというのは、通常の人間が1日に歩ける平均距離である。例を挙げると、四国八十八ヶ所でお遍路さんが歩く1日の距離がだいたい30km位だと言われている。これを休憩なしである。でかいリュックを背負って。
自分の場合、食事の欄を見て頂ければ分かるのだが、道中の飲料の数+食事の数=休憩回数である。最近、歩幅が大きくなったので1万歩=8km位だが、5万歩歩いた日は40km。それに対し、飲料+食事が8であったなら、40÷8で5、つまり1スパン5kmということになる。5km歩いて1休憩の計算だ。ちなみに5km歩くのにかかる時間は50分から60分である。
お坊さんに比べれば甘甘。けれど、自分のペースを崩すことはない。日々、少しずつ精進していこうと思う。30km休憩なしは今の自分には無理である。ただ、いつもなんとなく挑戦はしているので、いつか自分もそんな歩き方が出来るようになるかもしれない。小さな希望だ。
全く話が変わるが、ヤングマガジンという雑誌に連載されている「赤灯えれじい」という漫画が好きで、よくコンビニで立ち読みしている。ここ最近で衝撃を受けた漫画である。個人的な観念だが、文学的。これに平行して、本当の文学であるが、前回の芥川賞を受賞した「ひとり日和」という小説がある。自分の地元の隣町に熊谷という少し栄えた町があるのだが、この町出身で自分と同じ24歳の女性が書いた作品だ。「赤灯えれじい」が好きな人には、こちらもオススメ。旅には関係のない話。
この辺りには、歩道によくカニがいる。あと、フナムシがいる。そうして、両方ともよくぺちゃんこになっている。色々な虫もたくさん見かけた。蝶々、トンボ、セミ、クワガタ、カブト、コオロギ、ムカデ、カエル、カナブン、コガネムシ、挙げればまだまだ出てくる。アリにしたって、4種類も5種類もいるんだもの。地元じゃ、こんなに見れないな。素晴らしい自然。
夜、降っては止み、降っては止みの雷雨。雨が降ってくるごとに木の下や建物のひさしに隠れて、タバコをふかしながら止むのを待った。
山の中を歩いていると、急に道路脇の木がガサガサ揺れることがあるので、一々ビックリするのだが、今日のは本当にびびった。ガサガサッと揺れた後にブブゥ、ブフッという鳴き声が聞こえたのである。襲われると思ったが、大丈夫だった。今年は亥年でしょう、干支に襲われたくはない。
深夜、特牛という町に到着。特牛と書いて「こっとい」と読むらしい。全く読めない。広いひさしのかかったスーパーの入り口前でアルミシートにくるまって眠。

天候
晴れのち曇り、雨
気温
朝27℃ 昼35℃ 夜26℃
歩数
58043歩
累計4493737歩
出費
タバコ×2・・600円
飲料×6・・640円
おにぎり×2・・210円
パン・・105円
カップラーメン・・176円
せんべい・・105円
ファミレス代(日替わりランチ、生ビール、ドリンクバー)・・828円
計2664円
累計579708円
食事
朝・・おにぎり×2、パン、イチゴオ・レ
昼・・日替わりランチ、生ビール、ドリンクバー
夕・・せんべい、ジュース
夜・・カップラーメン、野菜ジュース
道中・・飲料×3

140日目 特牛~下関

20070824193423
23日、7時半起床。
浜辺で休んでいた。浜辺は打ち上げられたゴミでいっぱいだ。手元に落ちていた野球ボールくらいの白い浮きを海に向かって投げた。またこちらに、浜辺に打ち上げられるだろうと思ったら、沖の方へ流されていった。波は絶え間なくこちらへ向かっているのに、浮きは逆方向へ向かっていった。
不思議だ。目に見える流れとはまた別の流れがあるのか。
河口で押しとどめられ、逆流しているかのような川の流れも、着実に海にそそがれていて
逆らえんのかなぁ
抗えんのかなぁ
自分もきっと目に見えぬ大きな流れに身をまかせているだけだ。
・・浮きがこちらに戻ってきた。
特牛のスーパーにて起床。続々とやって来るパートのおばちゃん達。一人のおばちゃんに話しかけられ、旅の話をしていると
「ちょっとー!この子、北海道から来てるんやって!」
というように、まるで集合の合図のような声の張りで叫ぶ。すると、周りにいたおばちゃん達が手を休めて、集まってきて
「ほんまー?!」
「すごいわー!」
「どこまで行くん?」
「・・沖縄です」
「わーーっ!」
「聞いた?沖縄やって!」
「すごいわー!」
「頑張ってやー!」
「頑張りやー!」
圧倒される自分。「・・はい、ありがとうございます」と返事した。
海沿いの食堂で日替わり定食を食べ、途中の商店によってアイスを食べた。ここの商店のおばちゃんとまた旅の話をしていて
「飯はどうしてるん?」
と言うので
「コンビニで買って食べたり、今日なんかは昼食堂でした」
と答えると
「そうなん?飯持ってく?」
と言って、店の奥の惣菜コーナーからおにぎり弁当を持ってきてくれた。
「あんまり、おかずとかないけどな」
そう言ってビニール袋に包んでくれたので、頭を下げて礼を言い頂いた。
荷物を小さくしたから、人から見れば自分は学生のように見えるだろうと前に書いたが、こうやって自分を旅人と断定して話しかけてきてくれる人は、一体何を見てそう判断しているのか。はっきりとは分からないけど、日焼けとか頭に巻いた薄汚いタオルかもしれない。
仕事とか、その人が普段やっていること、というのは、不思議とその雰囲気が体にまとわりついてくるものだ。「どこから来たの?」と、自分に話しかけてきてくれる人達は、その雰囲気を察知する能力に長けているのかもしれない。ああ!それかもしれない!だから若い人は話しかけてきてくれないのかも。自分から発せられているはずの旅人オーラがうまく伝わらずに、ボンヤリと得体の知れない男オーラにまで下がって伝わってしまっているのかもしれない!うーん。
アイウォントモアーオーラ。
下関市街到着の十数km手前、カーブを曲がると一気に九州が遠くの方、視界に広がった。もう何日前になるだろうか、ちょうど北海道松前から本州を覗きこんだ時のようである。フラッシュバックする。
明日はいよいよ九州だ。本州を抜けるのだ。この前、電話で友達と話している時に「進むの早いね」と言われた。最近、自分も日本ってそんなにでかくないよなと不謹慎なことを思う。遠距離恋愛の遠距離なんて言葉の意味が吹っ飛ぶようである。歩ききってしまえば、北海道から沖縄も近距離に感じるかもしれない。それはないか。世界はどれだけ広いんだろう。
夜、下関町中のインターネットカフェに入店。昨日、「赤灯えれじい」という漫画のことを書いていて、改めて単行本を読みたくなったのだ。全巻読み終えて、そのままリクライニングチェアーで眠。

天候
雨のち曇り
気温
朝25℃ 昼33℃ 夜27℃
歩数
55352歩
累計4549089歩
出費
飲料×5・・476円
日替わり定食・・600円
アイス・・105円
おにぎり×2・・210円
パン・・88円
ポテトチップス・・105円
発泡酒・・195円
タバコ・・300円
計2079円
累計581787円
食事
朝・・おにぎり×2、パン、野菜ジュース
昼・・日替わり定食
夕・・おにぎり弁当、緑茶
夜・・ポテトチップス、発泡酒
道中・・ジュース×3

141日目 下関~戸畑

20070825164350
24日、9時50分起床。インターネットカフェで目を覚ますと、9時50分であった。自分は8時までに退出しなければいけないはずだから、2時間近くの延長になる。うわーやっちゃったよ、とトイレで歯をみがいて支度をして、会計を済ませると、その延長料金の値段に軽くショックを受けた。近くにあった吉野家で豚丼を食べ、さあ気を取り直して九州へ向かうかと下関の町を歩き出す。
下関の海沿いを走る国道からは、海峡の先、もう、すぐそこに九州が見える。その間の距離は、一番近いところで700mだそうだ。関門海峡はでかい川のように見えなくもない。あれは北九州の町だろうか。ビルが林立する"あっち"の景色を眺めて、胸が高鳴る。
この関門海峡を挟んで下関から九州の門司まで大きな橋がかかっている。高速道路である。その他にも、鉄道、新幹線は地下を通っているようだ。では、歩行者や自転車はどうやって渡るかというと、人道と呼ばれる歩行者用の地下トンネルがある。道行く人に、その細かい場所を聞きながら進んでいくと、あった。人道入り口前の公園には、源平檀ノ浦の合戦での、源義経と平知盛の像が飾られていた。近くには佐々木小次郎と宮本武蔵の決闘で有名な巌流島もある。
エレベーターに乗って、地下60mまで降りる。原付などは通行料金がかかるようだが、歩行者だけの場合はタダである。このトンネルの中に山口県と福岡県の県境があり、地面にそう書いてあるので、万歳をしながらそこを跨いだ。
トンネルを渡り終え、またエレベーターで地上にのぼり、ドアが開くと、そこは九州門司。ついに本州を抜けて九州へとやってきたのだ。実は自分にとって初の九州である。
12時26分、九州上陸。
思わず、やったぁぁ!と叫ぶと、近くのベンチに座っていた人がギョッとした顔でこちらを見た。
海峡を越えたら少しは涼しくなるかと思ったが、全く変わらない。九州も暑い。旅上初めてのコンビニampmを発見。セブンイレブンも多い。ポプラというコンビニでガリガリ君ソーダを買って食べた。うまし。本当にうまし。
んで、ガリガリ君を食べていたら、昔の職場でお世話になった人のことを思い出した。その人は、自分と同じ、ある工場で働いていた人なのだけど、職場が変わり、このガリガリ君を作っている赤城乳業という会社に勤めることになった。そこはガリガリ君工場なんだけど、ベルトコンベア作業で毎日ガリガリ君を見て、ガリガリ君が食べ放題で、どういう状況か知らないけど、上からガリガリ君が降ってくるらしく、もうガリガリ君はたくさんだ、と言っていた。あの人は元気だろうか。ちょっと会ってみたい。
それから日中をほとんど屋内で過ごし、夜、涼しくなり歩きやすくなってから、どこまで行こうかと歩いていたら、思わぬ障害に行く手を阻まれた。
川である。遠賀川という北九州と若松の間を流れる大きな川だ。地図上では若戸大橋という橋がかかっていたので、ここを渡ろうと思っていたのだが、有料道路のため、歩行者は通れないらしい。一応、料金所ゲートまで歩いて行き、係のおっちゃんに聞いたのだが、歩行者は船で渡るのだと言う。
「船?!」
「ええ、そっちの方に渡船場があるので、船で渡ってください」
今時、渡し船なんかあるのかよ、と思いつつ、言われた方を目指して行くと、道に迷った。通りがかった人に聞くと、船はもうこの時間は終わっていると言う。仕方ない、ちょっと歩き足らない感じはするが、また明日の朝にすることにして、今日はそこから近くにあった戸畑駅にまで移動して、ベンチで眠。

天候
晴れ
気温
朝30℃ 昼34℃ 夜29℃
歩数
40144歩
累計4589233歩
出費
豚丼・・330円
インターネットカフェ代・・2625円
飲料×3・・282円
アイス・・62円
発泡酒・・211円
おにぎり×2・・210円
タバコ・・300円
ちゃんぽんめん×2・・1050円
生ビール・・490円
計5560円
累計587347円
食事
朝・・豚丼
昼・・おにぎり×2、緑茶
夕・・ちゃんぽんめん、生ビール
夜・・大盛りちゃんぽんめん
道中・・飲料×2、アイス、発泡酒
07 | 2007/08 | 09
Su Mo Tu We Th Fr Sa
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プロフィール

高沢 里詞

Author:高沢 里詞
埼玉県行田市出身
S57・12・7生
26歳♂
B型
パンクロッカー・詩人
行田秘湯の会会長
S・O’S(スーパーアウトドアーズ)部長
行田不毛の会会長
行田死語の会会長

注※どの会も新規会員募集は行っておりませんが、もしも会員になりたい方がいましたら密談でどうぞ。

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