215日目 手紙
泥のように眠った。鳴り続けていたらしい携帯電話の着信音には全く気づかなかった。読みかけの小説がベッドの下に落ちていた。暖房をつけないと部屋の中が少し肌寒く、窓の外、寮の3階から見るウナギ公園は雨に濡れ、人っ子一人いない。
着信は親父からであった。年末調整用に書類を送ってくれと、自分が親父にした電話の折り返しの電話で、かけ直してみると、親父とおかんは今、旅行で沖縄にいるらしい。メンソーレ沖縄。男の魂、メンソウル。メンソレータム、医薬品。医薬部外品?
友達から手紙が届いた。手紙には情緒が溢れている。友達が切手を貼っている様子が目に浮かぶ。2枚の便箋に綴られた文字を何度も何度も目で追った。読み終えるのがもったいなく感じてきた。
「元気ですか?」
ああ、元気だとも。僕はいつでも元気なんだ。友達よ、元気でいる秘訣はね、興奮することだよ。何でもいいんだな、恋でも夢でも。興奮とは感動だ。感動こそ、人のエネルギーだ。だから興奮すること、もっとしようや。楽しかろう。
そうして自分は、部屋でビールを飲んでいる。アサヒの「あじわい」新発売。今なら、おつまみ付き。おっとくぅ!
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