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329日目 詩作

ブブン

果てなき鼓動の先に、ロックンロール輝いて、揺さぶる、俺の魂を体ごと
右にユラリ
左にユラリ
信用されるかされないかは全然違う大違いだけど
信用するかしないかはきっと大した差もないんだな
ブンブンブブン
ブブンブブン
誘惑の色は紫、それが湿った夜が来て、弾かす、俺の魂を体ごと
前でパチン
後ろでパチン
あなたにとってのその一日は俺には全く関係ないけど
俺にとってのその一日はあなたに丸ごと奪われた
ブンブンブブン
ブブンブブン
ああ、とてつもなく
ああ、大きくて
ロックンロール
とにかく早く
ああ、くだらなくって
ああ、忘れたい
ロックンロール
とにかく早く
ブンブンブブン
ブブンブブン
ブンブンブブン
ブブンブブン

そりゃヘコむさ

穴に落ちて、誰も助けてくれなかったんだ
みんな上から覗くばかりで
気づかぬ人の駆け足に砂を落とされ目も開かず
助けてなんて言えないな
ロープを垂らす人はあるが
なんて切れやすいロープだろう

みんな自分の道に精一杯だ
穴に落ちた人を助けはしない
そういや自分もそうだった
穴の中を覗くだけで
見て見ぬフリを決めこんできた
穴に落ちて初めて知ったよ
光の届かぬ居心地悪さ

誰か自信のある人が
穴の底まで降りてきて
救ってくれねぇもんかって
やってくるのは嘘つきばかり
頼むよ、パーマン
頼むよ、野良猫
金はないんだ
そりゃヘコむさ

穴から上がったら
まず何をしよう
きっと殴ろう
世界を殴ろう
そして地面にはいつくばって
泥にまみれたこの愛の手を
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330日目 そういう流れ

いやー、よく金を拾う。この前、50円玉を拾ったと書いた後、職場の工場内でまた拾った。工場内で金を拾うのは、それで4回目位である。100円とか500円とか、広島の人はよく金を落とすのだろうか。それとも自分が目ざといだけだろうか。
今日は、千円札を拾った。びっくりドンキーでバイトしていたら、床にクシャクシャに丸まってペッタンコになった状態で落ちていた。誰も気づかないのだろうか。確かにゴミみたいではあったが、視力0、01の自分の目にも光って見えた。拾いあげるとクシャクシャなわけではなく、折り紙みたいになっていて、野口英世がターバンをかぶっているように折られていた。きっと誰かの財布の中の隠し金が落ちたのだろう。今回は店内で拾ったので店長に渡したが、ここまで金を拾うと、いつか自分が金を落とすんじゃないかと思って怖くなってくる。この世はうまく出来ている。いつか清算の日はくるのだ。
今日、そのびっくりドンキーに行くと、休憩室のテーブルの上に置き手紙がしてあった。一緒に働いていた社員さんが辞めたそうである。まだ、入って4ヶ月目位の元大手家具店店長の人であったが、その会社で社長と折り合いがつかなくなり、ここに転職してきたと聞いていた。
30代後半であったと思う。大学を出てからその会社で頑張って、店長という地位にまでのぼりつめた人が、全く違う環境の中、自分よりも先にいた年下のバイトに仕事を教えられ、客に叱られる。転職って難しいんだろうな。就職したことない自分でもそう思う。
うちのおかんがこんなことを言っていた。
「あんた、ずっと仕事を転々としてたらね、行ったとこ行ったとこで年下にアゴで使われて、それで嫌になってまた辞めて、仕事が出来なくなるんだから、いい加減就職しなさい」
自分は好きでバイトを転々として、色々な経験をしてきた。確かにこの年になると、周りのバイトはほとんど年下か主婦である。このままじゃいけんよなーと思う。でも、就職する気には・・ならんよなぁ。甘えているわけではない。むしろ、闘っている。日々、何か大きな流れと。最近、その大きな流れが、本当は自分自身なんじゃないかと思ってゾッとする。

331日目 ATM

自分は金融に詳しくないので、あまりでかい声では言えないのだけど、銀行のATM、あるでしょう、街にもコンビニにも。あれの手数料って、高くないっすか?確かに便利なんだけど、例えば1回105円の手数料がかかったとして、この105円を預金の利子で稼ぐとしたら、一体いくらの金をどのくらいの期間預ければいいのだろう。
預けた銀行でおろせば、無論、手数料は取られない。しかし、これだけ街にATMが分布しているのである。どこかで使うことがあるだろう。自分なんか旅の間はちょくちょく使う。群馬銀行が全国にないもので、必然的に手数料がかかる。で、1回使えば105円。時間帯によっては210円。1億円預けているわけではあるまいし、これでもう預金の-が決定である。赤字ではないか。銀行は貸付けで儲けて、手数料で儲けて、ここら辺のカラクリがよく分からないのだけど、それって二重取りじゃないの、って自分は思うのである。20円位でもいいんじゃないの、と思うのでありまするよ。どうなの、そこらへん。

びっくりドンキーでバイトをしていたら、男女3人組のお客さんがやって来た。一人はジーパンにスカジャン、髪型はオールバックという容姿の男性、もう一人はダブルライダースの革ジャンを着てサングラスをかけた男性、そして、最後の一人が黒地にドクロの絵がプリントされたシャツを着た若い女性である。
自分が予想する限り、まず間違いなく、この三人の関係はバンドメンバーである。これが、バンドメンバーじゃないと言ったら嘘だ、って位バンドのニオイがする。自分はよく街を歩いていても、ギターを担いでいる人とか見ると、もう嬉しくなってウキウキしてくるという癖がある。妙な仲間意識を感じるのだ。したがって、今日もそうで、仕事をしながら三人を観察してしまった。すると、一つ気づいたことがあったのだ。
ドラムが見当たらない。
自分の勘からして、革ジャンがギター、スカジャンがベース、ドクロがボーカルである。これは間違いないだろう。雰囲気が物語っているのだ。もし、ドクロがギターを弾いて、革ジャンが歌を唄っていたらヘンテコなバンドになる。
はっはーん、さてはドラム募集中だな、なんて独りごちて仕事をした。その席にお冷やサービスに回ったら、ドクロが自分のことを「あたし」と言った。ロック色の強さが窺える。
いやぁ、別にそれだけのことだったんだけど、なんだか嬉しい出来事だったので書いてみた。

332日目 本

先日、急に思い立ったことがあり、自分はバイト帰りに近所の本屋に寄って、小説を4冊買ってきた。
タイトルを挙げると
「乳と卵」川上未映子
「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」川上未映子
「新人だった!」原田宗典
「パンク侍、斬られて候」町田康
の4冊である。
上の2冊は最近芥川賞を受賞した作家の受賞作とテビュー作で、下2冊は以前から自分の好きな作家の作品である。
この寮にやって来た時に、旅の途中でお世話になった仁木のおばちゃんから、文庫本が4冊送られてきた。自分が「金がないけど、本が読みたい」などと阿呆なことをこのブログに書いていたので、それを読んだおばちゃんが気を利かせて、トマトと一緒に自分のところへ送ってきてくれたのだ。
その4冊のタイトルは
「塩狩峠」三浦綾子
「命の器」宮本輝
「神戸殺人事件」内田康夫
「中原中也詩集」河上徹太郎 編
である。書いたっけかな。まだ内田康夫を読んでいない。
本を読むと、意識が整理できるのだということに改めて気づいた。忙しいから本を読まないのではなく、忙しいからこそ、寝る前の少しの時間、本を読んでみると意外とリラックスできる。
音楽を聴くのもいいが、本を読むというのも好きだ。最近、欲求不満ぎみであった知的好奇心が満たされていくような感じがして、これも心地いい。

333日目 いつ?

3月3日。ひな祭りである。
1月1日、元旦である。
5月5日、子供の日である。
6月6日、雨ザーザー、三角定規にヒビいって、アンパン2つ、コッペパン2つ、あっという間にコックさんである。
この歌って全国共通なんだろうか。
ちなみに11月11日は、ポッキー&プリッツの日だそうであり、平成8年8月8日はフジテレビの日であった。フジテレビがお台場に引っ越したのっていつだっけ?えーと、自分が初めてエウ゛ァンゲリオンを見たのが、もう12年前だ。12年前かぁ。ドラゴンボールの連載が終わったのって、いつだったっけ?これも結構前だなあ。自分の下の世代がクレヨンしんちゃんだったから、あれ?ポケモンは?
そういえば、このブログの中に登場するN君のおじさんが、ポケモンのオーキド博士の声優をやってるんだ。そりゃそうじゃ、っていうやつ。
で、何だったっけ?ああ、そうだ、フジテレビがお台場に引っ越したのはいつだったろう。お台場って、フジテレビが建つまで何があったの?公園?そういえば、レインボーブリッジはいつ開通したんだ?
小さい頃、親にサンシャインシティに連れていってもらったことがあるんだけど、あの高い高い展望台で兄貴が自分に、ちょっとここから落ちてみ、って言ったんだ。
「やだよ、死ぬじゃん」
「大丈夫だよ、俺助かったもん」
「え?お兄ちゃん、ここから落ちたの?嘘だ!」
「本当だよ」
「なんで生きてるのさ」
「下にトランポリンがあったんだよ」
って会話をしたのを今でも覚えてる。

334日目 最低の最高

もう1等から8等まで出尽してつまらんクジ
残りは9等1枚と10等残念賞が99枚のしょうもないクジ
そこで9等引くようなしょっぼい運
そんな運が欲しくって
不幸中の幸い
最低の中の最高
この最悪な状況の中での1等賞
危機回避打破打破打破

それさえ掴めれば
へっちゃらなのに

それさえ掴めば
運がいいと言えるのに

そんな運が欲しくって
池袋辺り
歯がガタガタになったおっさんから
買わされたビデオ
ビデオって古いなぁ
その中にありました
最低の最高が

バイト先のおいちゃんが言ってたのは
ため息の後はしあわせって言うといい
はぁ・・・しあわせ
これだこれだ!最低の最高ここにあり!
ここに蟻!
あり?

335日目 疲れぬ体

寝不足っちゅうのんはさ、罪なもんだね。疲れない体があればいいんだけどさ、進化の過程で生物は、陸で暮らせるように、羽を生やして空を飛べるようにもなったのに、なんで疲れぬ体を目指さなかったのであろうか。
って考えて、疲れぬというのは、つまり死なぬということである。生物が死なぬとは大変なことで、増え続けた生物はやがて飽和、新しいものが全く生まれてこずという状況になり、するとどうだ、それまで遺伝子の中で伝えてきた進化の要求が下に伝わらない。進化が止まる。
なあんだ、だから疲れるのだ。生物は進化を遂げるために疲れるのであった。死ぬのであった。疲れぬ体に成りうるというのは、進化の過程において可能性が0%だったのである。目指しているのは強い体、賢い体であって、疲れぬ体ではなかったのだ。
ところで、水泳の鈴木大地選手の両手には水かきがついているらしい。講演会に行った友達が、その手を見せてもらったと話していた。指と指の間の薄皮が第2関節に向かって伸びているそうで、毎日水泳の練習をしていてそうなったそうだ。
進化するのである。生きている限り、誰しも地味に何かが。それを遺伝子に叩きこむのだ。そうして、それが受精して、生物は何千年、何万年、何億年と時間をかけて強烈になっていく。研ぎ澄まされた体になっていく。
だけど、やっぱり疲れぬ体になるのは無理であって、不老不死、もしもそんなことになったら進化はそこでストップする。成長が止まる。魂として死ぬ。
じゃあ、一体、進化はどこへ向かうのか、何のための進化なんであるべか。疲れぬ体が欲しいぜ。

336日目 さらばマツダ(1)

3月一杯までやる予定であったマツダの工場での仕事が10日で切り上げになってしまった。原因は自分の遅刻と居眠りなのだが、早い話が要するにクビである。
今日の夜勤明けの朝、派遣会社の担当さんが自分の職場にやって来て、
「職長から聞きました?」
と言うので、何のことか分からず
「いや、何も聞いていません」
と答えると、どうやらそんな話が決定していたようである。
毎日、同じ職場で働きながら何も話を聞かされずに決定されていたのも納得いかないが、3月一杯までやるというのを知っててわざわざ10日で切り上げることないじゃないかと憤った。決定したのが6日であり、急すぎである。意地悪された気分になる。が、それも自分を棚に上げた怒りのような気がして、そう考えると何も言えなくなり、うつ向いて
「分かりました、ありがとうございました」
と絞り出すようにして口にした。
そうなったかぁ、という感じである。もう最終月に入っていたので安心していた。体と心を必死に繋ぎとめて迎えた3月であったが、ここでしゅーりょーってやつである。悔しさを押し隠して帰り道。まあ、結果は結果だ、とりあえずこの後をどうするかと考えながら歩く。
旅に出るのを早めるか。
今月一杯バイトで繋ぐか。
その足でファミマに向かって、マネージャーにシフトの相談。一番のネックは住まいである。今住んでいる寮は派遣会社の寮なので、マツダを辞めるとなると、そこも2、3日の内に出なければならず、それじゃあまりに急で、残っているバイトのシフトも終え切らない。なので今、今月出来る限りは長く寮に滞在させてくれと派遣会社に交渉中である。
その後、うさ晴らしにパチンコに行って負けてつまらぬ。家帰って寝て、夜コンビニバイト。
バイト先のおいちゃんが、あの1860万のおいちゃんが
「高沢くん、わし、ついに230万いったで」
と言うので
「230万て何ですか?」
と聞くと、まあ、230万円を以前話していた利殖の企業に振り込んだらしい。
「10億万長者になるで、わしは」
と息巻いている。

「5年後に本を出すで」
「何の本ですか?」
「人生はピクニック、って本よ」
「何ですか、それ?」
「人生はピクニックですって世の中の人に言うんよ」
「本を書いて、どうするんです?稼ぐんですか」
「どうするって、高沢くん、向上心よ。人間、向上心を持たなあかんで。高沢くんはまだ若いから分からんじゃろうけど」
「向上心、ですか」
「そうよ」
と言いながらレジを打ち、高笑いしている。
昨日、とある参議院議員と一緒に食事をしたのだと話していた。金持ちになるとそういう付き合いがあるんよと言っていたが、自分には、そりゃ政治家が誰かに金もらってあなたと飯を食ってるだけちゃうのん、演出として、としか思えない。もう完全に信じきっとるんよ、と語るおいちゃんの目は確かに疑いのない目をしていて、まるで鳩の目のように黒目が丸く、不気味だった。
そのバイト帰り、車通りの少なくなった深夜の国道を横断しながら、気づけばキヨシローを口ずさんでいる。

いい事ばかりはありゃしない
昨日は白バイに捕まった
月光仮面が来ないのと
あの娘が電話かけてきた
金が欲しくて働いて
眠るだけ

自分は何のために広島に来て、広島を去るのであろうか、手元に残った金、ただこれだけを稼ぐために自分は広島へ?半年を?高々知れたこの紙切れのために?稼ぐためなんて笑わせる。生活ありき、生活ありき、失敗であった自分は、こんなもの燃やしてしまえ、そう思うも燃やせないでいる。本当にこんなものである。手の平に乗っかるこんなものが自分の半年であったのだ。稼ぐためなんて。働いて眠るだけの生活に疲れ、笑えず、動けず、バカにされ、朽ちて、落とされ、そこまでしてしがみつき、手元に残ったのはマッチ1本で消えるこんなもの。哀れである、自分が。全ては旅のためか。
3月の夜の風はそれほど冷たいわけでなく、しかし、まだ春は先ですよと言わんばかりに吹いて、自分は少し身を縮ませながら歩いた。歩く度に自分が小さく薄くなっていくような気がした。

337日目 さらばマツダ(2)

一日明けて休日、バイトへ向かうも仕事に身が入らない。どうやら昨日のショックを引きずっているようであることに気づく。まーいーかーなんて思ってたのに。
ドンキー店長とシフトの相談をすると、今月一杯はいてくれるとうちは助かる、と言うので、寮がいつまでいられるか分かったら、また連絡しますと返答した。
ファミマの店長マネージャー夫妻が
「よかったら、うち来ます?2階空いてますよ」
と言ってくれ、すごく嬉しいのだが、まさか新婚さんの、しかも赤ん坊がいる家へ数日間もお邪魔するわけに行かず、断ったのだが、
「高沢さん来たら、人生ゲーム持って、毎晩部屋に遊びに行きますよ。高沢さーん、人生ゲームやろーって」
と無邪気に話してくれるので、自分の心はだいぶ和んだ。自分が広島で築き上げた、金よりも大事なものはここにあったという思いに救われる。人、人、人である。捨てる神あれば何とかってやつだ。
今回の話を聞いてから、自分の中に自分と自分が対峙する場面が幾度となくあった。
非難vs感謝&反省
の構図。
本能vs理性の戦い。
分かりやすく言えば
なんでクビやねんvs迷惑かけました、ありがとうございました
といった感じ。
で、なかなか決着がつかないのでブログが書けず、みたいな。これボツ、みたいな。
自分が好きな言葉に、良いことはお陰様、悪いことは身から出たサビ、というのがあるんだけど、本当にこう思えるようになるのには、まだ自分は修行が足りないみたいだ。
夜。寮の返事が、土、日をはさんで、月曜にならないともらえないらしく、ドンキーは日曜までに今後のスケジュールを教えてくれと言っていたので、自分は決断した。
まあ、漫画喫茶に半月暮らすのも悪くないだろう。住まいくらいなんとかなるさ。マツダのシフトで空いた穴に全てバイトをぶちこむことにした。午前11時から深夜1時まで。ちょうど、バイト先で人の入れ替わりが激しい時期なので、ドンキーの店長は喜んでいたようだった。お願いします、と言って電話を切った。
だから、広島には予定通り3月一杯までいる。

338日目 さらばマツダ(3)

3月8日。今日からラストの昼勤週に入る。
朝、派遣会社の人から電話で
「10日までの勤務だったんですが、11日までになりました」
と告げられ、
「分かりました」
と返事をした。
朝の冷たく澄んだ空気の中に白い息を吐き出しながら、仕事に向かう。携帯電話で、真心ブラザーズの「明日はどっちだ!」を聴いて、テンションを上げながら歩いた。いい歌だ。実にいい。

俺はまだ死んでないぜー
未来はまだ輝いてるぜー
君はまだ俺を好きかー
俺はまだ燃えているぜー
もっとすげぇことやってやるぜー
君はまだ俺を好きかー
俺はまだ泣いているぜー
ずっと死ぬまで泣いているぜー
君はまだ俺を好きかー
夢は蒸発俺は夜に沈みこむ
頭の中うざってえハエがたかってる
そいつらがブンブンブンブン言うには
お前はもう死んだ方がマシだ
ううるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇなぁぁぁ
負けねぇぇぇぇぞぉぉぉぉ
明日はどっちだ
君はどこにいる!!!

叫びたい興奮に肩を怒らせながら歩いた。サラリーマン、若者、OL、年寄り、子供、犬を追い抜いて、マツダの門をくぐった。社内バスでいつもの職場へ向かう。
職場に着くと、事務所の中にいた自分の班や他班の人達が、自分のクビのことを知っている。自分は今回のことを派遣会社を通して聞いただけであって、まだ、この職場の上司からは直接何も聞いていないのである。だのに、何故、皆知っているのだ。何故、噂が先行しているのだ。上司は当人である自分に事を告げる前に、他の人間にこれを告げたのか。Tくんに、誰から聞いたのか聞いてみるとAさんだと言う。自分はAさんから何も聞いていない。朝っぱらから怒りが込み上げてくる。フツフツと。いや、しかし、ここは我慢、我慢我慢、俺が悪いんじゃないか、自分が元凶である、お前が怒れる筋合いはないだろ、お前が悪いんだから、だから我慢、そうだ、我慢我慢。ぐっと堪えて我慢した。
気分転換に話題を変えて、まあ、そのAさんにこの前
「お前はこれからずっと残業なし」
と言われていたから、Tくんにその話をしたら、Tくんが
「高沢くん、今日は残業あるで」
と言うので
「え?なんで?」
と聞き返したら、
「今日は人手が足りんから、Aさんが高沢も今日は残業って言ってたよ」
と言う。
まただ。また自分は聞いていない。何故、Tくんが知ってて、自分が知らぬのだ。くっそぅ。しかも突き放しといて、人手が足りないから残業なんて、くっそぅ。クビにしといて、くっそぅ。邪念が頭を支配し、もう少しのところで吐き出しそうな感情を必死に抑えた。
自分は静かに辞めていきたいのだ。
なんとか抑えこんで仕事に取り掛かるが、午後になってムシャクシャが爆発。ダンボールを殴るなどした。
職場で着用しなければいけないゴーグルを、あぁぁうざってぇ!と外して仕事をする。すると、Aさんがそれを注意してきた。自分には鬱憤が溜まっている。普段ならまずないのだが、なにぶんそんなもんで、自分はこれをシカトした。すると、Aさんは再度注意してきた。何故、注意だけはしっかりと自分に?それよりも前に言うことがあるだろーよ、と今にも口から出そうな言葉を飲み込んで、再度シカト。そうしたところ、Aさんは3度目にして今度は怒鳴り散らしてきた。
「なんで、ゴーグルつけんのじゃあぁっ!!」

急に話を変えるが、自分は別にAさんを嫌いではない。というか、この職場に嫌いな人もいない。皆、好きである。そして、皆と話す。元々、Aさんは、自分がこの職場に来た時に自分に酒をおごってくれ
「ようこそ広島へ」
と言ってくれた人であり、自分が散々世話になった人である。友達の結婚式での余興も考えてくれた。それがこんな展開になったのは、これやはり、自分に全くの責任があるのである。

自分はAさんが怒鳴るのを黙って聞いていた。唇が震えるのが分かったが、何も言わず黙々とした。
「俺の言ってること違うかっ!なんか文句あったら言ってみいやっ!」
そう言われ、自分は自分でもよく分からないのだが、
「ありがとうございました」
と言っていた。何がありがとうなんだろう。よく分からないが、心のどこかから、つっかえ棒を外したビー玉のようにコロンと言葉が出てきた。そして、この瞬間、自分は全てのことを瞬時に受け止める器を心に持ち、邪念は吹き払われていた。なんだか解放された気分であった。信じられないかもしれないが、自分は笑顔であったのだ。心が晴れ晴れとしていた。
Aさんは一瞬「えっ?」って顔をして、それから
「そうじゃろ?しっかりせえや!」
と言って、その場から去っていった。
これは、実に不思議な出来事であった。

339日目 さらばマツダ(4)

3月9日。昼勤2日目。
この職場には、ブログの中でよく出てくるKさんとTくんがいる。
自分がクビになったと聞いた後も、この二人とはよく話す。行動を共にすることが多いのだ。Kさんが、
「これで高沢くんの送別会も無くなってしまったのう」
と言い、思い出したのだが、そうなのである、今月の23日、昼勤最終日に職場で自分の送別会を計画していたのである。送別会と言っても、自分は見送られるほどの働きもしていない自負があったので、申し訳なく、その日は自分が全員分おごりますけ、ここまで旅の資金を貯めることが出来たのも皆さんのおかげですから、と宣言していたのであって、今回のクビでそれがおじゃんになってしまった。実に悲しい。
Kさんが、
「わしらだけで高沢くんの送別会をやってやるわい」
と言ってくれたが、断った。複雑な心境ではあるが、それを受け入れることは出来ない。子供を抱くと話していた、Tくんとの約束も果たせそうにないし、色々と予定が狂った感がある。
「やってやるから、飯行こうや」
と再度言ってくれたのだが、自分は黙って首を横に振った。
二人とは、自分の数少ない休日を共にした。夜釣り、パチンコ、飲み、そういやフィリピンパブにも行った。家にも泊まらせてもらった。Tくんの家も、Kさんの家も。祭りにも行ったけな。広島で一番、多くの時間を一緒に過ごした仲間であった。その二人とも、もうお別れだ。自分の胸に何かが込み上げてくる。
喫煙室の暗がりで、いつも3人、くだらない話に興じた。大抵は金儲けの話か下ネタであった。俺、便座の上に乗らんと出んのよ、とか、高沢くん一緒にマグロ釣り行こうや、船買っての、とか、女の子の抱き方とか、パチンコ台の選び方とか、そういう話ばっかりしていた。
Kさんはよく自分に、旅なんか辞めてしまえ、と言った。そして、広島に住め、と。自分はいつも笑いながら、旅はちゃんと終わらせますよ、と言っていた。
「旅が終わったら、どうするん?高沢くん、抜け殻になってしまうんじゃないか。こがー、なって」
Kさんは喫煙室の床にダラーッと横になってみせ、笑っていた。
自分はとぼけて、
「そうかもしれませんね」と答え、ヒャヒャヒャと笑った。
このブログのことは広島で誰にも話していない。よく、本を書いて出せば売れるんじゃない?そういうの書かんの?と人から言われるが、
「本にしたって、つまらんですよ」
とはぐらかして、ブログのことは内緒にしてあるのだ。
唯一、ファミマのマネージャーだけが
「ブログとか、書いてないんですか?」
と超ストレートな質問を投げかけてきたので、自分はうっ、となって、
「・・書いてます」
と言い、また旅に出る時に教えることを約束しているのである。
Tくんは、自分に
「寂しいんじゃない、高沢くん」
と言う。
寂しさ、なんて・・ない、いや、ある・・うーん、どっちなんだろう。
「・・辛いこと、は、後から思い出せば甘美なんだよな。あまーいんだ。甘い思い出は後から思い出せば、苦い、辛いんだよな。ねえ?これから、寂しくなるかもな」
自分はよく分からぬことを言って笑った。

340日目 さらばマツダ(5)

3月10日。昼勤3日目。
毎朝、この職場ではスピーチというのがあって、班の中で一人ずつ、交代に朝の挨拶をする。今日で無災害継続日数が幾日になりました、みたいな。そして、何でもいいのだが、自分の身の回りのことを少し話す。
で、今日は自分の番で、マツダ最後のスピーチである。自分が何を話すか、それを自分よりも周りの方が気にしていたんじゃないだろうか。今日の朝のスピーチで自分が話したことはこんなことだった。

「おはようございます。・・えー・・と、まあ、僕は11日にここを辞めることになりまして、・・正直、悔しい気持ちはあるんですが、なんだか、ホッとしたような、そんな気持ちがしています。
というのは、最近、自分の体、体もなんですが、精神的に・・ついていかない、というか・・限界を感じてまして。先月、十一(自分の持ち場の名前)で仕事をしていたら、後ろで人の気配を感じて、後ろを振り返ったら、あの、十一の後ろって帳面台があるじゃないですか、あそこでいつもG君が書き物をしてるんで、G君かなと思ったら、おばあさんが立っとるんですね・・。白いシャツを着たおばあさんが、腰をかがめて帳面台の方をジッと見てる。
うわっ、て思って、そのおばあさんはすぐに目の前で消えてしまったんですが、それに前後して、十一しとる時も、ボルト入れる時も、帰り道も、自分の視界の隅の方に、なんか変な影がピュッピュッ飛ぶようになって、ああ、これはもう限界なんかなーと思ったんですけど・・。
そんなもんだったので、実は2月一杯で仕事を辞めようかと悩んだんですが、自分の中に3月までやると立てた目標があって・・、ズルズルとやっている内に結局こんなことになってしまい、こうして最後にみんなに嫌な思いをさせてしまったことをとても申し訳なく思います。
・・・。
おかげ様で旅、旅のことは話したと思うんですが、資金が目標の金額まで貯まりまして、それはよかったと思っています。
・・・。
あと、今日と明日で終わりなんですが、怪我なく無事に終われたらと思います。すいませんでした、お世話になりました、ありがとうございました。以上です」
顔を上げると、皆、うつ向いて黙り、話を聞いていた。
ここで喋ったおばあさんのことは、自分はこのブログには書いていないし、誰にも話していないのだけど、正直、限界だったのだと思う。自分はついに幽霊が見えるようになったのかと思った。幽霊か、幻覚か。最初は視界の端の方を黒い影がスッと走る程度だったので気のせいかと思っていたのだが、それがはっきりと人間の姿として見えた時は、驚いたというより、はぁ?という感じで、ありえんところにおっさんがいたりして、目撃した瞬間にスッと消えるのである。目の前でだ。怖いというより、引いた。引くわ、そりゃ。
まあ、全てなかったこととして流していたのだが、その辺りから体の調子もガタガタきていたような気がする。というかね、やっぱり、無理なスケジュールだったと思うわけで。今更ながら。この半年で一番反省すべきは、最初に自分の力を過信したところだったと思う。迷惑をかけた、という点を除けば、この挫折はよかったのかもしれない。もし乗り越えていたら、自分はもっと下手な自信を持っていたかもしれない。

341日目 さらばマツダ(6)

3月11日。昼勤ラスト。
あまり、今日でラストという気がしない。いつも通り働いて、いつも通り皆と話をした。
休憩中に、AさんとG君が自分に話を振ってきた。
「高沢、今日は空いてないんか」
「いや、今日もバイトです」
「・・みんなが、送別会でお前におごってもらうの楽しみにしとる」
Aさんがそう言う。クビにした人間におごろうとしてもらっているのか、という気になったが、これはAさんの不器用な優しさだろう。自分の送別会がおじゃんになったことを気にかけてくれているようだった。
G君が
「送別会、やりましょうよ」
と言うので、自分は言葉を濁したのだが、とりあえず寮にいつまでいられるかが分からないのを理由に断った。
「今日はバイトは空かないのか?」
と聞かれたが、
「すいません」
と返事した。
「まあ・・しょうがないわいの」
そう言い残して、休憩室を出ていくAさんが、自分には寂しげに映った。
Aさんは、今日、やたらに自分の持ち場にやってきて、自分に話しかけてきた。自分は引き継ぎの為にやって来た後釜の人に仕事を教える作業をしていたのだが、その教え方を一々、指導しに来るのである。嫌がらせかと思ったが、今これを書いていて、そう思わない。あれはAさんの優しさではなかったろうかと思えてくる。
Aさんは仕事に対する信念のはっきりした人で、例えばそれを部下によって、厳しくしたり緩くしたりしない人である。ところが最近は、自分の持ち場にはあまり顔を出さない、というか、話しかけてこなかった。恐らく、自分に対して許容範囲の限界で顔を見たくなかったのだろうが、最後にこうして、ああ教えてくれ、こう教えてくれ、と自分に話しかけてきたのは、仕事だから、というより、個人的な自分への最後の思いがあったのだろう。ありがたく思う。
最後の休憩時間に皆の分の缶コーヒーを買って、持っていった菓子詰めを開けて食べた。AさんとG君は機械がトラブったようで、休憩に来なかった。職場のトップである職長に、お世話になりました、と缶コーヒーを持っていくと、今回のことがいい経験になっただろう、と言われ、次第に旅の話になり、ちゃんと親のことを考えろ、お前も親になれば分かる、と諭された。
仕事終了。自分が使っていたロッカーを片付けて、ゴミをまとめ、鍵を返す。残業があるAさん、G君、Tくん、Kさんに挨拶をして回り、最後にG君に2万円を渡してきた。G君は自分の一番身近で仕事をしていた仲間で、クールな21歳、妻子持ちである。ちなみにAさんは、35歳、妻子持ち。Tくんは22歳、もうすぐ子供が生まれる。Kさんは38歳、妻と6人の子供がいる。って、何故、今頃メンバー紹介?いや、みんなとよく話したな。面白かった。
「送別会、俺行けんけど、Tくんに子供が生まれたら、皆で飲みに行ってや。G君にも、たくさん尻拭いをさせてしまって申し訳なかった。ありがとう」
「ええ?いやいや、そんなの慣れたもんですよ。高沢さん、もう旅に出るんですか?」
「いや、まだもうちょっと様子を見てからだね」
「Kさんが、まだしばらくは、荷物をまとめる期間とかあるだろうから寮にいられるんじゃないかって。だから、送別会これるんじゃないか、って話してたんですけど・・」
「・・いや、いい。俺はいいよ」
「・・とりあえず、福岡行くんですか?」
「そうだね。福岡から沖縄の方に回る」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫よ」
ちょうど、その時、そこにKさんがやって来たので、自分は、じゃあお疲れさん、と言って、その場を後にした。
いつもの通路を歩いていると、Tくんと目があったので、また話しこむ。
「ついに終わりだね」
「ああ、終わったわ。世話になったね」
「高沢くん、寂しいでしょ」
「ええ?そうだな、寂しいような・・。まだ分からんな」
「高沢くん、おらんくなったら寂しいで」
「そうかぁ?Tくん、頑張ってや」
「高沢くんも頑張れよ」
「頑張るよ」
「・・・」
「・・いやいや!こういうの苦手だから、もう行くわっ!」
「おぅ、元気で!」
「ありがとう!」
手を振って別れ、バス停に向かう。これから、派遣会社の詰所に寄って、色々と手続きしなければならないのだ。バスの中、いつも見ていたジオラマ山ともお別れである。
詰所にて、全ての作業が終了し、工場の入門証と作業着を返した。寮の方も、なんとか月末まで使わせてもらえることになった。担当者が、今後の日程はどうされるんですか、仕事が決まっていなければ引き続きうちの会社でどこでも・・、と言うので、自分は自分の旅のこと、その資金を稼ぐために内緒でバイトをしていたこと、それについて迷惑かけたこと、全て話して謝った。
担当者が、
「えー!すごいなぁ。まあ、バイトのことは聞かなかったことで・・。お金、いくら貯まりました?」
と言うので、
「150万貯まりました。ありがとうございました。」
と答えた。
150万。自分は広島で150万円を貯めた。このお金を貯めることが出来たのは、まず第一にこのマツダのN職場のおかげである。最後がこんな形だったのは本当にふがいない。しかし、ありがとう。本当にありがとう。
ハンコを忘れてしまったので、部屋まで担当者が一緒にハンコを取りに行くと言い、その車に便乗させてもらうことになった。
車で、マツダのいつもの門を出て、寮に向かう。車中では最近人気のパチンコ「エウ゛ァンゲリオン」で使われる魂のルフランという曲が流れており、担当者が
「誰が入れたんですかね」
なんて話していた。
マツダが遠ざかっていく。もう、あの門をくぐることはないだろう。
「この旅で、もし有名になったら、僕の名前出して下さいよ」
「いやいや、ならんですよ」
そんな話をしているうちに、寮に到着。ハンコを押して、担当者は帰っていった。
一人、部屋のベッドに座りこむ。時計を見て、あーまだみんな働いてるなーと思う。自分はこれからバイトに向かうのだ。残り3月一杯は無理なく稼ぐ。って、自分、懲りてんのか、懲りてないのか、なんなのか。
とにもかくにも、さらばマツダ、ありがとう。部屋の電気を消して、自分はファミマに向かって歩き出した。

342日目 予感

てなわけで、マツダが終わって翌日。今日、本来は休日出勤ということで、昼バイトが休みになっていたので、何しようかしらん、あたい、あたいは何しようかしらん、と前日まで悩んでいたのだったけれども、はは、結局一日中寝てしまった。
起きたのは夜。体が、油の切れたロボットみたいである。重てぇ、いてぇ、うくく、なんて言いながら立ち上がって、入浴。風呂場で誰もいないのをいいことに体操。一日寝ているだけで、こんなにも体がかたくなるなんて。
夜からはファミマがあったので、着替えて出勤。CHARAの「やさしい気持ち」を聴きながら暗がりを行く。いつものウナギ公園に抜ける道、ここがよく水たまりになってるんだな、気をつけにゃならん。下を見ながら歩いてて、ふと、空を見上げると、絵に描いたような綺麗な三日月、トタンボロ家の屋根の上に輝いて、それを囲むように空が紫色に艶やかに濡れ、辺りはぬるい風が吹いている。
旅に出るのだ、俺は。また、もう少ししたら。
旅の予感。刹那、そんな思いが胸中を駆け巡り、自分はスキップを踏むように少し小走りをした。ぐるぐる回って踊り出したい気持ち。
ああ、ええなぁ。自由や。俺、自由やねん。むっちゃ自由やねーん、アオーン、て3回くらい叫びたい気分。

343日目 お返し

先月のバレンタインデーに、唯一、ファミマのオーナー(男)からチョコを頂いて、あの、なんか、トリュフが3個入った大人チックなやつ。それで、明日、ホワイトデーでしょう?オーナー(男)にお返ししようかどうか迷ってるんだけど、どうしようかなあ。礼儀ではあるけど、実際要らんよなあ。俺からのマシュマロなんて。
一昨年のホワイトデーに、地元の女の子にチョコをあげて。別にバレンタインデーをもらったわけではなく、自分が一方的にあげたんだけど、まあ、それで、その子と仲良くなって。思えば、そこから自分は恋愛をしていないのであって、そろそろ寂しい、なんて口に出してみるのだけど、いかん、いかん、自分は旅人である。ブログには、よく結婚とか子供とか書くけど、実際恋愛となると、この旅がどうしても背景になり、自分はかなり消極的なのである。しかし、それはそれでこの25歳という、もう二度とない時代を棒に振るようでなんとなく空しい。
びっくりドンキーで一緒に働く主婦の方々が、
「全国に妾をつくって回ればいいじゃない」
と言って、ケラケラ笑うのだけど、自分みたいな若輩者にそんな度胸はなく。これ、おっさんであったならば、
「高沢くん、全国に恋人つくればいいじゃない」
と言われたことがあるのだけど、そこのところ、恋人、ではなく、妾、と表現するのは、これ女性のストレートな面というか、まあ、主婦ってのは恐ろしいなぁ、なんてことを思う。
夜、コンビニでバイトをしとったら、レジに来たお客さんが前のチャック、俗に言う社会の窓が全開である。
これ、教えた方がいいだろうか、黙っている方がいいだろうか、商品を袋に詰めながら考えあぐねて、自分は口にした。
「お客様、あの・・前が・・」
「え?」
「前が・・」
チラと視線も送る。
「あっ、あぁ、いやっ、はは、すいません」
と照れ笑いをしながら、チャックを閉めるお客さん。
恥ずかしい場面でつい誰に向かうでなく謝ってしまうのは、人間の性である。

344日目 荷造り

結局、今日も一日寝続けた。起きたのは、午前と午後に1回ずつ、自分の部屋を派遣会社の担当者が訪れた時だけで、まあ、保険とかの話をして、あとはずっと寝ていた。
夜、起きて、部屋の荷物をまとめる。カップラーメンを食べる。片付けが進まない。今も片付け進行中なのだけど、こうして寝転がっている。小説を読んでみたり。ちなみに現在15日の0時半。あー、そろそろタバコが切れそうなので、コンビニに買いに行こうかな、なんて思って、ついでだから荷物をまとめるダンボールなんかもらってきて、今日の夜勤は確かH君だったはずである、彼は自分と同い年のバイトであるが、ああ、自分はH君のことをここにあまり書いたことがなかったが、以前ガリガリ君の話をした仲間、ということで覚えてらっしゃる方はいるだろうか。
彼の話は面白くて、以前働いていたセブンイレブンにカープの前田選手がやって来た話とかね。自分と同じ時間帯に入るので、よく話す。
はい、今、本当にファミマに行って帰ってきました。時刻は2時5分。ビールうめぇ!えっとね、H君と話して、ホワイトデーのオリジナル詰め合わセットを買って、タバコとビールも買ってきた。で、今、一杯やってます。って、荷造りはっ!?

345日目 買い物

バイト帰りに買い物。イェー、ショッピングー!
何を買おうと思ったかというとデジカメとレインポンチョなんだけど、デジカメは今持っている一眼レフでは動きにくいというか、でかくて邪魔なので、今流行りのコンパクトデジカメ、ってあの手の平サイズのデジカメを買おうと思って、電器屋に行ってめいりやした、あっし。あっし、電器屋に行ってめいりやした。あっし、あっしが。
店内をウロウロしながら、どのデジカメがいいかなーと思って、吟味していると、ま、まさか、そこになんと小泉元首相が・・、現れませんでしたー!ヒュー!!パフパフッ!!やってるやってるっ!!ジミーちゃん、やってる?逆だって!
で、結局、デジカメは買わず・・一眼レフ用のバッグを買ってきちゃいましたー!
「うわー!どんなの?」
それはね・・
チマッとしたやつでーす!
チマッとしたやつでーす!
あ、チマッとしたやつでーす!
あと、携帯の電波がよくなるシートも買ってきちゃいましたー!1980円しましたー!

はー、思い起こせば半年前、自分は食うに困り、毎夜毎夜キャベツ太郎を貪るようにして食べていたのであり、いいんだろうか、こんな金の使い方をしていて。
レインポンチョは自分の欲しいものがなかったので、福岡に持ち越し。いや、しかし、道具を揃えるのって楽しいね。明日も買い物の続き。何を買うかというと・・靴でーす!
シューズでーす!
結構、暇でーす!

346日目 引き続き、買い物

靴GET。
自分がこの旅を始めた時に履いていた靴と全く同じものを購入した。同じスポーツオーソリティーで。
ハダシウォーカーというアシックスから出ているウォーキングシューズで、値段が1万弱するんだけど、やはり良いものは良い。履き心地といい、歩き心地といい、よく出来ている。ウォーキングシューズと一言に言っても、今世間でウォーキングが流行ってんのかなんなのか、多様のものがあり、そのほとんどの特徴としてまず挙げられるのが、ゴツい。
何故ゴツいかと言うと、クッション性、耐久性を良くするためと思われる。ほとんどのウォーキングシューズがこのクッション性と耐久性に重きを置いているために、ウォーキングシューズコーナーはゴツい靴ばかりなのだが、しかし、ゴツいというのは重く、通気性が良くない。恐らく、自分の偏見ではあるが、これらの靴は軽い運動程度の目的で作られているのではなかろうか。ウォーキングはウォーキングだが、自分みたいに旅目的で履く靴といった感じではない。自分は、ずっと履き続けられるウォーキングシューズが欲しい。
そこで、これ。このハダシウォーカーである。この靴だけがウォーキングシューズの中で異彩を放っている、というか、他のものと比べて、全く質が違うのである。特筆すべきは、生地である。メッシュなのだ。他はだいたい革である。蒸れない。これにより快適な長時間歩行が可能になる。そしてメッシュだから軽い。まさにハダシ感覚。
クッション性、耐久性はもちろん落ちるのだが、春夏秋冬、長時間、毎日歩くにはこの靴が最適であると思われる。しかし、備えあれば憂いなし。クッション性を補うために別売りのウォーキング用インソールも買ってきた。耐久性に関しては、どうせ、表がしっかりした靴でも毎日履いていればソールから壊れる。表はメッシュで十分である。加えて、ファッション性も高い品なので、これから徒歩で旅をしようとしている人にはオススメの一品だ。デューク更家もオススメしてたわ。なんだか、アシックスの宣伝みたい。

あとは、服と下着と小物を買ってきた。それと地図。
地図は、今まで使っていたものがボロボロなので、旅地図の代表格というかなんというか、ツーリングマップルって、自分がこれまで旅の途中で出会った旅人が皆持っていたような地図があるんだけど、これの九州・沖縄版を買ってきた。この地図、とにかく優しい。コンパクトだし、情報満載だし。
で、さあ、段々に準備が整ってきた感じがする。いや、はは、へっへっ、行くぜ。

347日目 思い

昨日、夢を見た。夢ってのは、なんで、ああ、変なのかね。夢の中で起こることって大抵、変よね。
どんな夢かと言うと、飛行機事故の夢なんだけど、いきなり自分は、これから離陸する飛行機の中にいて、多分、旅の途中なんだな、飛行機が走り出したんだ。そうしたらね、あの、滑走路の真ん中にビルがあって。それに激突したんだよ。機長が「うわっ、うわっ」とか言ってるのが聞こえるんだけど、うわっ、じゃねえだろっていう。見えなかったんか、っていう。そもそも、なんで滑走路にビルが建ってるんだ、っていう。
で、激突する瞬間に自分は飛行機の窓から脱出しようとしたんだけど、間に合わなくて。
死んだんだな。
そうしたら、次の瞬間、自分は幽体になってたんだ。で、幽体で自分の葬式を見に行った。
これはきっと旅に対する自分の中の不安を夢に見たんだと思う。
この旅に出る前、やはりワクワクしながら旅の準備をしていて、時々、自分を襲いくる死の恐怖というものがあって。一人暮らしのアパートで夜、寝つけずに何度も起き上がっては、お世話になった人達への遺言を書いた。何枚書いたろう。自分が一体どんな死に方をするのか。ひかれるのか、、つぶされるのか、おぼれるのか、さされるのか、ふきとぶのか、さらわれるのか、うまるのか、こおるのか、いきだおれるのか、はたまた病気か。迫りくる恐怖の中で、一人闘いながら、どんな死に方であろうと自分は夢の中で死んでいくのだから、どうか悲しまないでくれ、と幾晩も幾晩も不安になる度に書いた。そうして、自分の心の中の不安を消化してきた。
今回は再出発であり、それほどの不安もない。結構、余裕である。余談だけど、余裕がないと、人間、逆に自分を滑稽に見せようとするものである。自分の場合、元々滑稽であるのに、更に滑稽に見せようとするものだから、イタい人に見られることがある。
冒険家の堀江謙一さんが、また新たな旅に出たとニュースで見た。その胸中はどんなものだろうか。心の中にやりたいことがある。それに対して、命を賭ける。自分も、もっとシンプルに、そういう風に生きられれば、と思う。

348日目 せんたく

20080320014605
新潟で購入したLAKENの水筒。お気に入り。
3月18日。部屋の片付けがほぼ終了し、あとは出発の日を待つばかりである。といっても、この寮を出るのは29日。明日からはマツダの穴に埋めたバイトが28日までずっと入っている。29日、寮を出て、30日は広島で予定が入ってんだな、オイラ。で、31日に広島を出て、福岡へ。4月1日から始動、という予定。
昨日、友達と電話していて、いよいよですね、なんて話をした。友達が、12月の日記が見るからに辛そうだった、と言っていた。去年の12月。自分はこのブログに昔話と泣き言ばかり書いていたと思う。目の前に大きな壁があると、つい後ろを振り返るのは自分の悪い癖だ。でも、なんとか。いや、なんとかならなかったのかもしれないけど、自分は逃げなかった、それだけは胸を張れる。
今後の予定のことも少し話をした。
今年一杯でゴールに辿り着くのが、どうも無理そうである。いや、選択なのだが、冬も断行するのか、しないのか、そこなんだな。ラスト、北海道の冬はちと厳しい。野宿でいけんのか、って言ったら、いけんこともないと思う。ただ、装備を完全に整えなければいけないので面倒だ。だとすれば、函館辺りまで進み、またバイトか。なんて思うのだけど、そんなこと言っても、旅に出たら何があるか分からないのだから、自分はあまり予定を気にせずやることにした。特に最近、沖縄の離島に興味があって。焦らず周りたい。
リュックから何から、寮の洗濯機3台分の洗濯をしたので、部屋が洗濯物だらけである。というか、干しきらない。もっと考えて洗濯をしようよ、俺。

349日目 イメージ

よかった、よかった。サトシは無事、新潟にてチーコとね、うまく、うっ、うっ、ヨリを戻して、うっ。
て、感涙しながら仕事をしていた今日。漫画の話なんだけどね。
今週の週プレのマキバオーもカッコイイから、あれ見た方がいいと思う。
いやー、なんだかなー、平凡に日々が過ぎていくね。明日、床屋でも行こうかな。七三にしようかな。やっぱり、社会人として。いやー。・・・。
なめ猫って、あれ、何で猫なんすかねぇ。犬じゃいけんかったんすかね。犬じゃそのまんまか。なめハムなんかどう。なめんなよハムスター。いや、ダメか。猫って不思議だよね。なんかこう、かわいさと厳しさが顔に同居してるというか。なめんなよ、って感じで。ああ、だから、なめ猫なんかぁ。・・・。
あの、キツネ目の男って、キツネ目キツネ目って言われてるけど、これ、可哀想だよね。反論できないもん。俺はキツネ目じゃねぇって、世間の前に出れないもんね。・・・。
あのね、優しさと弱さって似てるて思うんだけど、本当は全く根が違うもので、全く抱えるものって違うんだけど、それを見極めるって難しいよな。いや、気づけるかどうか。そういうことが出来るようになるには、もっとけなさんとな、自分を。卑屈でなく、謙遜として。
言葉と表情と行動と、どれが相手に与えるイメージが一番でかいか、って、昔、新聞のコラムか何かで読んだことがあるんだけど、何だったっけかな。忘れたな。パーセンテージがあるらしいのよ。だけど、それも、受け止める人がどれだけ良い目を持ってるかによるよね。
イメージか。ややこしいな。

350日目 散髪

で!
朝から床屋に行ってきた。広島で床屋に行くのは4回目である。伸ばしっぱなしの髪をバッサリと切ってきた。まだ、びっくりドンキーのバイトがあるので、ボウズの少し手前である。これくらいの方が何するにせよ楽だ。
自分は近所の床屋をよく知らんくて、とりあえずケータイのタウンページにて、寮から1km圏内の床屋をGPS検索。この機能は旅の間に使いこなせるようになったもので、便利、実に便利である。知らない町に行っても、すぐ目的の店などを見つけられる。きっと、まだまだこのケータイには自分の知らない便利機能が眠っているはずだ。
ケータイの画面に羅列された床屋の名前を見ながら、どこにしようか選ぶ。自分は今日の床屋を名前で選ぶことにした。
30件ほどある中から選び出す。○○理容院とかいうのがいっぱいあるが、これは却下。どうも古臭い感じがして、いかにもモミアゲを切り落とされそうな気がする。あのひなびた感じの回転椅子と、店のソファーで新聞を読む店主が目に浮かんでしまう。あいよっ、今日は何にする?カリアゲ?って感じの。
そんな中、自分の目に止まったのが、「理容きかん坊」である。おっ、いいじゃない、きかん坊。なんて思って、自分はそこへ向かうことにした。ケータイで地図まで見られるので、すごく便利。自分はケータイの画面とにらめっこしながら、きかん坊へ足を逸らせた。
ところが、である。店の全容を見た瞬間に嫌な予感がした。角の錆びた看板。店前に乱雑に置かれたプランター。あれは何の植物であろうか。表からチラと中を覗くと、店主がソファーに腰かけて新聞を読んでいる。その奥にいたおばさんと目が合った。却下。自分はそのままきかん坊を素通りにした。
ダメだ。ダメである、きかん坊は。くっそう、なんて言いながら第2候補の店を探す。
これだ。次に自分の目に止まったのは、髪’ingという名の床屋であった。
いいじゃない、カミング。地図を見てみると少し離れているが、まあ、ここしかないだろう。そう落着して歩き出す。バイトの時間も迫っているし、早足で向かう。地図を見ながら、途中、小走りになったりした。
ところが、である。これがどんなに探しても見つからない。地図上に目的地を示す赤い旗が立った場所に、何もないのである。ぐるりと回ってみたが、どう見ても更地だ。どうやら、髪’ingは、もうすでにここにはないようであった。潰れたのか。引越したのか。自分は髪’ingを諦めた。
そんなことがあり、自分はケータイを見るのをやめた。やはり、こんなもの当てにしてはダメなのだ。もう、どこでもいい。自分は次に、あの床屋の前でクルクル回る3色のポールを見かけたら、無条件でそこに入ることに決め歩き出した。
で、行ってきました、床屋。ボウズの手前位の髪にしたけど、やっぱりこのくらいが、何するにせよ一番楽!

351日目 日本語

ハンガー。ハンガーって日本語で何ていうんだろう。えもん掛け、衣紋掛けでいいんだろうか、って電子辞書を調べたら、洋服掛けだそうです。で、気になったのは家電の名前。冷蔵庫、洗濯機、掃除機、って、これはよく使う言葉である。じゃあ、炊飯器。これは炊飯ジャーなんて言い方もする。ジャーって何だ、という話だ。で、ジャーを検索。
保温装置つきの広口容器、とある。魔法瓶もジャーという。つまり広口の魔法瓶はジャーポットである。で、今度はジャーポットで辞書を調べたら、シャーベットと出た。
ということで、シャーベット、これを和訳すると、また難しい。
果汁またはワインなどの酒類に甘味を加えてかきまぜながら凍らせた氷菓子、とある。
話を戻すけど、冷蔵庫と洗濯機と掃除機、これの呼び名は今でも日本語である。しかし、掃除機は若干、クリーナーに押されつつある。冷蔵庫と洗濯機、これは英訳すると前者はアイスボックスやらフリッジなんて言い、後者はウォッシングマシーン、ウォッシャーなんて言う。まだ、日本では冷蔵庫や洗濯機をそんな呼び方する人もいないだろう。冷房、暖房は、クーラーとかエアコンと競っている感じで、もしも、冷蔵庫と洗濯機、これを横文字にもっていかれたら日本人のアイデンティティーがね、失われていくようで心配である。
ね、携帯電話は、モバイルフォンに侵略されつつあるでしょう。モバゲーなんつって。
靴下はソックスともはや対等。
魔法瓶は死語である。ポットよね、ポット。

国際化は大事。でも、文化を守るのはもっと大事。日本語、大事にしようぜ。

352日目 おかんの手紙

朝、仕事に行こうかと思ったら、寮の玄関のホワイトボードに自分の名前があって。手紙?と思いながら、郵便物を見てみると、自分宛ての封筒が一通。字面を見て、誰からのものか一瞬にして理解した。
おかんからの手紙であった。おかんからの手紙はあまり好きではない。便箋に書かれた内容ではなく、封筒の表、真ん中に「高沢里詞様」と大層に書かれたこの文字を見るだけで、少し胸が苦しくなる。
高校入学と同時に親元を離れ、今まで何度、この文字を見てきただろう。中に書かれてあることは、近況だったり、時候のことだったり、他愛もないことばかりなのだが、おかんの書く字は、いつも自分を切なく、そこに何かの力で縛りつけた。
小学生の頃、自分が使っていた教科書や、筆記用具や、体操服に、おかんの字で書かれた名前。いつの間に書いたのだろう。自分が寝ている時に書いたのだろうか。高沢里詞と一つ一つ、丁寧に書かれてある。それを見つめていた小学生の自分の記憶が蘇ってきて、たまらない。あの時と変わらぬ字。時が止まればね、おかん、俺はずっとあなたのそばにいたかもしれないのに、時が経つから、俺はあなたから離れ、手紙なぞ書かせるようになってしまった。罪なもんだね、子が親の元を離れていくっていうのはさ。子として、そう思うのさ。
その手紙の内容に、自分は少なからずのショックを受けた。この旅を始めてから初めて、旅をやめようかと思った。
手紙には、去年、自分が旅に出た後に、おかんが心労から吐血し救急車で病院に運ばれ入院した旨、退院した後も今日に至るまで薬を飲み続けていることが、小さな字で書かれてあった。
知らなかった。どうやら黙っていたらしい。表向きの用件は、兄貴の結婚についてのことであったが、書かずにいられなかったのだろう。どういう気持ちでこれを書いたのだろうか。書きながら、また泣いていたかもしれない。
手紙には、帰ってこい、とは書かれていなかった。4月からまた体に気をつけて出発するように、と書かれてあり、自分は今日、この手紙のことで仕事中もソワソワして落ち着かなかった。
果たして、そこまでして自分は旅を続けるべきなんであろうか。自分は自分の体のことしか考えていなかった。自分が健康であれば、おかんも健康でいるだろうと勝手に思い込んでいた。勝気な人だけど、その分脆い人である。それは、家族だからこそ知っているおかんの性格だ。だけれど、そこまで心配しているとは思わなかった。申し訳なさ、というより、痛ましい感じがして、今日は1日何をするにもだるかった。
でも、だけど、自分は考えて、やっぱりあと1年半。1年半以内には帰るから旅を続けようと思う。初めから、全てを引きずる覚悟で出てきたのだ。全くのろくでなしかもしれないが、一度始めたことを途中で投げ出したくない。心配するなと言いたいが、それは無理なのだろう。薄情者のワガママかもしれない。でも、このワガママ、出来るまで突き通させて欲しい。

353日目 誕生

今日の朝と昼、Tくんから電話に着信が入っていて、確か今日はマツダは昼勤最終日のはず、どうしたんだろうと思い、バイトの休憩中に電話をしてみれば、電話口からTくんの歓喜の声。
子供が生まれたそうである。今日の午前1時頃、元気な男の子が。ちょうどぴったり出産予定日であり、Tくんは仕事を休んで、奥さんの横で出産を見守っていたらしい。
「ぶり、かわいいで!」
そうはしゃぐ声が、Tくんの姿を見なくても、Tくんの笑顔を伝える。
「何グラムだったん?」
「どうよ、子供が出来たってのは。どんな感じ?」
「ずっと見てたん?」
様々な質問を浴びせかけ、自分もなんだか興奮し
「いやいや、とにかくおめでとう」
なんてことを言うと、Tくんは
「ありがとう」
と言い喜んでくれたのだった。
そのまま、しばらく出産の話をしていたが、後半、話はマツダのことへと流れていった。
Tくんは、これまで紆余曲折の人生を送ってきた人で、歳が自分より若いのに、自分よりよっぽどしっかりした人である。今、マツダの中途採用で社員になることを目指して頑張っている。
自分と同じ時期に派遣会社を通してマツダに入ったTくんであったが、マツダの中途採用を希望していることを職場のリーダーに伝えたものの、Tくんは中卒であり、マツダの中途採用の条件は高卒以上で、これが壁になっていた。
以前、休憩中にKさんとこんな会話をしたことがある。
「Tくんは中卒だから、社員になるのは厳しいかもしれんで」
と言うKさんに
「学歴って、そんなに大事なんですかね」
と自分が聞いた。

「そりゃ大事よ。今は完全学歴社会じゃけ」
「でも、自分みたいな人間が高卒だからって受かって、Tくんみたいに頑張ってる人が落とされたら、それは嘘でしょう」
「仕方ないわいの、そういうもんじゃけ。それが会社よ」
「頑張ってる人を応援するのが会社じゃないんですか」
「頑張っても、高沢くん、今は学歴がなければ駄目なんよ」
「なんでですかね。会社はその人間の何を見るんでしょう」
「学歴よ。高沢くん、それがルールじゃけ。かわいそうじゃけどのう」

前例として、今までに中卒で社員になった人がいたから可能性がないわけではない、でもその人は5年かかった、というようなことをKさんは話していて、自分は
「Tくんなら大丈夫よ、頑張りんさい。頑張ったら、ちゃんと見てくれるんよ」
と応援していたのであるが、(Tくんからしてみれば、適当なことを言うと思われるかもしれないが、頑張った分の見返り、これを自分は心底信じている。だから夢は叶うのだと信じている)どうやら、それが今年の夏にもうまくいけば中途採用になりそうだ、とTくんは話していて、自分は
「よかったじゃない!」
と自分のことのように嬉しかった。
Tくんは本当に立派である。礼儀から、考え方から、仕事に対する姿勢。色々な悩みを抱えて、それでもよく笑っていた。マツダにいる時、自分は自分のことがあり、キリキリしてばっかりで、Tくんにはたくさん甘えてしまったと思う。やはり、Tくんはその頑張りをちゃんと人に認めてもらえたのである。
「広島には、まだいるの?」
「うん、今月一杯はいる」
「じゃあ、広島にいる間に会おうよ」
そういうTくんに、自分は
「そうだね!会おう。また連絡するよ」
と言って、電話を切った。
電話を切ってすぐにTくんからの写メが来て、そこには生まれたばかりの赤ん坊の写真が3枚、添付されていた。
「かわいいなぁ、Tくんのことだから早速待受画面にしてるんちゃうん?」
とメールを打てば、
「ピンポーン」
と返事。
笑いながら、仕事に戻った。

夜、ファミマ。今日はHくんと最後のシフトであったが、2人でいつも通りに仕事をこなした。毎晩、同じ時間帯に2、3度繰り返しにやってくる、しかも毎日着ている服が違う謎のお客さんの話をしたりした。
「また、どこかで会うかもね」
「ありがとう」
仕事上がり、いつものように缶ビールを1本買って、手を振り、Hくんと別れた。外では、今朝から降り続けた雨がまだ少しパラついていたが、そのまま傘を差さずに歩いて寮へと帰った。

354日目 広島の印象

広島、と聞いて、どんなことを想像するか。
埼玉県民である自分は、広島に来る前、広島の印象は広島焼き、原爆、ヤクザ、暴走族の4つであったと思う。まあ、先2つは置いておいて、下2つ、ヤクザと暴走族。はて、これは何でであろうか。いまいち理由がハッキリしないが、広島=怖い、というような印象が自分にはあったわけで、これは心当たりのある人も多いんじゃないだろうか。
これ、広島に住んでみて初めて分かったことだが、この2つの印象は間違いであった。
というか、広島の人というのは真面目な人、少年が多いように見受けられ、実際、広島県の学力というのは全国でも高い方にあるそうだ。逆なのである。むしろ事態は印象と逆で、広島に住む人というのは、自分達が全国からそういう印象で見られていることを気にしている。
自分が埼玉出身だと話すと、よく言われるのだ。
「広島って、やっぱり怖い?」
とか、
「広島弁は口が悪く聞こえるみたいね」
とか、
「仁義なき戦い、の影響なんじゃろうねぇ」
とか、
「広島は別に何もないでしょ?」
とか。
Tくんの話によると、広島は5、6年前から警察の規制が厳しくなり、暴走族は全く見なくなったとのこと。それまではあったらしいが、確かに自分が暮らしている寮からも、あのバイクの音、パラリラパラリラってやつは聞いたことがない。ただ、一度、Tくんと町の方に祭りを見に行った時に、特攻服を着た集団が歩いていたのをチラと見ただけだ。
ヤクザに関しても、Kさんの話によると、広島というのは1つの組織で仕切っているらしく、故、抗争もなく、あまり活発ではないらしい。時々、その筋らしき人を見かけることは見かけるが。
なんだか拍子抜けする感じだが、イメージと現実の誤差であろう。アフリカがサバンナばかりだと思ったら大間違い。中国が自転車ばかりだと思ったら大間違い。日本に忍者と侍がいると思ったら大間違い。みたいな。そういうのって、ある。
で、広島。いい町である。広島弁は人によっては威圧感を感じるのかもしれないが、自分は好きだ。じゃけぇ、って好き。のぅ、って好き。食べんちゃい(食べなさい)、とかすごく好き。
ね、だから、皆さんも一度来てみんさいや、広島。

355日目 隠したレシート

今年の1月だったと思うが、びっくりドンキーのバイト中、ランチタイムが落ち着いてあまりにも暇だったので、レシートを1枚、ゴミ箱から拾い、その裏に日付とちょっとしたことを書いて、店内に隠した。
びっくりドンキーをご存知の方なら話が早いのだが、この店は内装が独特な店で、一言でいうなら、おもちゃ箱をひっくり返したような感じなのだが、その内装であるところの飾りの中にレシートを折り畳んで隠しておいたのだ。
何故、そんなことをしたかと言えば、今後の人生でいつ広島に来るか分からないが、例えば10年後、広島に来ることがあるとして、その時にこのびっくりドンキーを訪れ、それを見るためである。早い話がタイムカプセルだ。
どうだろう。10年後、20年後、その時自分がどうなってるかは知らないが、ここを訪れて、まさかもうないだろう、いや、自分で忘れてしまっているかもしれない、ふと思い出した拍子にあの飾りの中を確認して、もし、それが出てきたら、なんてことを想像したら、もう涙ぐんでしまいそうである。
この広島で過ごした期間というのは、今、自分にとっては現在進行形であるから、思い出にはなっていないし、次に控えた旅のことで頭が一杯だけど、旅を終えてから思い出せば、かけがえのない日々になっているのだろうと想像できる。これからの自分を勇気づけてくれるような生活を送れたと思っている。だから、もし未来の自分が疲れてしまって、やる気がなくなってしまったら、きっとこれがカンフル剤になるだろう。
「確かに自分はここで頑張ったのだ」
そういう証として、そのメモとも落書きとも言えぬ1枚のレシートを自分はびっくりドンキーの店内に隠した。

先日、そのびっくりドンキーのバイト休憩中に、自分の正面に座っていた主婦の人が、席を立ち上がる時
「しっこに行ってくるけ」
と言ったので、自分は思わず吹き出して
「それ、おかんですやん」
というような発言をしたんだけど、今日、その発言が少し波紋を広げて面白かった。
その主婦の人に
「おかんって何よ!あたし、まだ20代じゃけ」
と怒られたのだけど、この、行動を起こす前にそれを宣言する行為って、自分はすでにおばさんの門をくぐっていると思うのだけど、そこらへん、どうだろうか。

356日目 バイトのこと

広島に来て、マツダで働きながら、びっくりドンキーとファミリーマートでバイトをした。
広島に来た当初、自分はそれまで歩きながら練ってきた冬期間のバイト計画があり、目標金額を設定した上で、この2つのバイトの面接を受けに行ったのだけど、自分がどうやってこのバイトをさせてもらえるようになったかを書かなければいけないと思う。
昼勤と夜勤を4勤2休で繰り返す複雑なシフトの中で、それに合わせて自分を使ってくれるバイトなど、はっきり言ってない。一番最初に受けたゲームセンターのバイトは、志望動機を正直に話したら落ちた。セブンイレブンは、人がいない土、日の夜勤だけならいいですよ、と言ってくれたが、これはシフトの関係上、自分から断った。CD屋にも電話をしたが、タイミングが悪く、なかなか返事がもらえずに流れ、そこでもう自分は開き直って、嘘をつくことにしたのだった。
寮の住所を自分の親戚の住所ということにして、自分は家庭の事情で広島に来て、いつまで広島にいるかは分からないが、とりあえず仕事をしなければいけず、今フリーでバイトを探しています、と言って、びっくりドンキーとファミリーマートの面接を受けた。
そして、両方受かった。
だが、当然、マツダをやりながら両方のバイトがフリーで組み込めるはずはなく、すぐにおかしなことになり、自分は両店長に事情を話して謝ったのだ。
「実は嘘をついていました。自分は今、マツダで働いていて、これこれこういうわけで、この日は出られないのです。けれど、どうしても稼ぎたくて、一生懸命やりますので、使って頂けないでしょうか」
もう来なくていいよ、と言われるのを覚悟で話したのだけれど、この返事は両店長とも同じで、
「分かった。じゃあ、高沢くんが出れる時間帯で、こっちもシフトを組んでいく」
と、そう言ってくれたのであり、
「ありがとうございます!頑張るので、よろしくお願いします!」
と自分は頭を下げて、バイト生活がスタートしたのである。
だから、この両方のバイト先には多大な恩を感じている。これまで金を稼ぐ以上に出来る限りのことはしてきた。
告白するが、マツダはバイト掛け持ち禁止なのである。だが、こちらも自分がバイトをしているのをだいぶ黙認してくれたところがあり、結局最後にクビになったのだが、クビになる前、マツダの仲間からは
「いい加減、バイトを切れ」
と言われていて、自分はどの職場にも義理があり、
「切れません」
と返事したのだが、今思えばこれがクビの最終宣告だったのかもしれない。
なんていうか、以前に「板挟み」というようなことをここにも書いたが、全くにっちもさっちもいかぬ状況に陥ってしまった。
まあ、それは置いといて、そんなわけで始めたバイトであるが、ついにこちらの方は無事、明日がファミマ最終日、明後日がびっくりドンキー最終日ということになった。本当に感謝している。仕事をしている中で、全く動けぬような日もあり、周りをイラつかせたこともあったと思うが、ここまでやらせてもらった。仕事中、自分は無口でほとんど喋ることがなかったが、一緒に働いていた仲間、全員にお礼を言いたい。おかげで目標が達成できた。ジュースの1杯でもいい。皆にそれを少し還元したいと思っている。

357日目 ファミマにさよなら

朝起きて、飯を食べて、びっくりドンキーに向かう。いつも通りに仕事をしようと思ったが、今日はなんだか仕事の出来ぬ日であった。何故だか分からぬが、自分はどの仕事をしても、最後の数日は仕事が出来なくなる。立つ鳥跡を濁さずで、きれいに終わりたいのだけど、いつも泥だらけになってしまう。なんでだろう。癖なんだろうか。直したい。
びっくりドンキー終了後、ファミマに最後のバイトへ。今日、一緒に夜勤を担当するのは1860万円のおいちゃんである。週に1回しかないおいちゃんとのコンビでラストになるのも、これ、何かの縁だろう。
おいちゃんは今日は投資の話を全くしなかった。先週、一緒に仕事をした時に、今日は30万儲かっただの、10年後は缶ジュースが1本千円になるだの、この会社の社長はすごい人なんよ、今北海道に無料の老人ホームを建設中で云々と散々言った後、
「高沢くん、もう、一口買えや。10年後、絶対後悔するで。頭下げて買うことになるよ」
と、これは以前からであったが、しつこく言うのであり、自分は
「僕が一口買えば、Hさんにいくらか入るんですか?」
と気になっていたことを率直に聞いてみた。
おいちゃんは
「・・わしのところに月9千円入ってくるのよ。でも、9千円よ。別にそれで高沢くんを誘っているわけじゃないけ。あと、こう、ピラミッドみたいになってて、一人紹介すれば色んな特典があるのよ。でも、まあ、いいけ。高沢くんはコツコツやるといいよ」
などと、しどろもどろなことを言って、それから投資の話はしなくなったのである。
どうせそんなことだろうと思っていたが、おいちゃんは自分をダシに使おうとしていたのであって、これには正直、コンニャローという憤りがある。
おいちゃんは今日、どこから聞いたのか、自分が福岡に行くという話を知っていて、
「福岡行って、何するん?」
と言うので、自分は
「ホームレスです」
と答え、そこからしばらく旅の話が盛り上がった。
トンネルの中で寝ていたら、あそこに死体があるという通報で警察がやってきたんですよ、てなことを話すと、おいちゃんは大笑いしていた。
「高沢くん、なんでその話、もっと早くしてくれんのじゃ。すごい経験してるじゃないか」
「いや、こんなこと話したって、バカにされるだけですから」
「そんなことないわいね。ただのアホかと思ったら、違うんじゃいのう」
「ただのアホって(やっぱり、そう思ってたんけ)・・」
「でも、そんなことをしてれば、どんな仕事でもやっていけるじゃろ」
「そうですね、やっていけると思います」
「なんでも幸せに感じるわいのう」
「うん、布団のありがたみが分かりますよ」
「そうかぁ。他にこんなことがあったとかないん?」
自分は、峠越えの時にVIPの外車がやって来て山に何かを運んでいた話や、何もない海沿いの道で雨が降ってきてタクシーが止まってくれた話などをしながら、おいちゃんと働いた。
で、特に何事もなくバイト終了。自分はおいちゃんが騙されている(だろうと思われる)のを見捨てて、バカだなぁと思っていたのであり、おいちゃんはおいちゃんで、そんな自分をただのアホと思って騙そうとしていたことが最後の最後で発覚し、何やってんだよこの二人は、と思われるかもしれないが、意外と息が合っていたのも事実で、歳は違えど、似たもの同士だったのかもしれない。
おいちゃんは
「最後に高沢くんにその旅の話が聞けたのは、わし、運命かもしれんのぅ。勉強になったわ」
と言っていた。
自分は着替えを済ませてから、店内で缶コーヒーを1本買って、おいちゃんに渡した。
「奢りかいね?」
「ええ、お世話になりました」
「ありがとう、頑張って」頭を下げて店を出て、もう帰ることはない帰り道を通り、歩いた。
このコンビニでも、本当に色々なことがあった。ここには書ききれないことがたくさんあった。書ききれなかったことは旅の間にでも、思い出したら少しずつ書こうと思う。

358日目 ドンキーにさよなら

ついに広島でのバイト生活が終わる日となった。今日、びっくりドンキーでのバイトが最後の仕事となる。
ということで、朝から自分は若干テンションが高かった。いつもは踏み入れない店員同士のお喋りスペースに足を踏み入れるほどであった。
自分は本当にここで無口であったと思う。聞かれたこと以外、喋らなかった。それは自分の人見知りもあるが、広島に来た時の「稼ぐために無愛想でいこう」という作戦が影響している。マツダとファミマでは常に少人数で動くので、会話をしているうちに仲良くなったが、ここだけは大人数の仕事場で、特に店員同士の会話に入ることもせず、喋らずにきた。
で、今、結論として思うのだが、やはりどんな仕事をする時も仲間との会話って重要である。何やねん、それ、って感じであるが、意思疎通というのか、意見交換というのか、そういうコミュニケーションも仕事の一つなのだと痛感した。
ただ、感謝を忘れたわけでなく、皆にお礼が言いたくて、菓子折りとかじゃなんかつまらんしなぁ、と思い、そうだ、皆の賄いを今日は自分が奢ろう、と思い立ち(びっくりドンキーでは店員の賄いとして食事メニューが半額になる)、それを実行に移したのだけど、失敗した。
あの、人に何かを奢るのって難しいよね。中には奢られるのが嫌な人もいて、これ、1対1であったなら、
「今日は、俺払うよ」
「いや、いいよ。俺払うよ」
「いいって、いいって、俺払うよ」
「いやいやいや、俺が払うよ!」
というのを勝ち抜いた方が勝者なんだけど、今日、職場で自分の奢りを宣言したところ、その相手が多く、
「いや、今日は奢りますよ」
と何度も言っているうちに、なんだか自分のやっていることがすごく白々しく、恩着せがましいことのような気がしてきて、けれど、途中で辞めるわけにいかず、最終的に自分が奢った、というより、皆に奢られてもらった、という感じになってしまった。皆に無理矢理、「ごちそうさま」と言わせてしまったようで悲しかった。
レジでお金を払いながら、
「よかれと思って、やったんですけどね。普通に菓子折りにしとけばよかったですね」
と言うと、レジの女の子に
「そうですね。その方がよっぽど」
とストレートに言われ、チョー凹みながら、びっくりドンキーを後にした。歩きながら、そういえば前もどこかでこんな失敗をしたことがあるなぁ、と思った。自分、ホント不器用ですから。こんなことばっか。

夜、今日はファミマの店長、マネージャーと街に酒を飲みに行く話になっていて、ファミマからタクシーで街へと向かった。
「宇品ともお別れですね」
川沿いを走るタクシーの車窓から、向こう岸に建つビルの屋上に大きく掲げられ、ライトアップされた看板に「I LOVE 宇品」と書かれてあるのが見え、そんなことを話しているうちに、タクシーは街の通りに到着して、一行は車からおりた。送別会シーズンの金曜日とあって、スーツ姿の団体がそこかしこにある。
自分は、先ほどの出来事とこれで広島のバイトが終わったという、寂しさを含んだ安堵感、これから旅が始まるという期待と不安、送別会で騒ぐ周りの人々の熱気に気圧され、どうもテンションが上がらず、しんみりと飲んだ。
店長とマネージャーが
「どうしたんですか、高沢さん。元気ないですね」
と言ってくれるのが、なんだかとても心にしみて、
いけねぇな、と思うんだけど、あまり言葉も出ず、ため息ばかりが漏れ、
「僕は広島が、僕は広島が・・」
と何かを言いかけて辞めた。何かを言おうとしたのだけど、僕は広島が、と言った瞬間に、この広島で過ごした7ヶ月間の楽しかったこと、辛かったこと、何気ないことがブワッと頭に迫ってきて、一言に表現出来ず、言葉に詰まってしまったのだ。
その後、カラオケへ行き、自分は久しぶりにしこたま飲んで、歌って、もう最後に歌った海援隊の「贈る言葉」はひどいもんであった。犬が歌っているようであった。
そうして、またタクシーに乗り、宇品へと帰った。店長、マネージャーと別れ、自分はいつもの寮に帰ってきて、部屋の中にぼーっと立ち、それから布団に突っ伏して、なんだか、オナニーでもしてやれ、という気持ちになったんだけど、ズボンを下げて、そのまま眠ってしまった。
アホな1日はアホで終わる。
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プロフィール

高沢 里詞

Author:高沢 里詞
埼玉県行田市出身
S57・12・7生
26歳♂
B型
パンクロッカー・詩人
行田秘湯の会会長
S・O’S(スーパーアウトドアーズ)部長
行田不毛の会会長
行田死語の会会長

注※どの会も新規会員募集は行っておりませんが、もしも会員になりたい方がいましたら密談でどうぞ。

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